連載•小説 茅ケ崎で見つけたダチョウガールズ
茅ケ崎で見つけたダチョウガールズ
連載•小説

2026/02/01

金曜日の仕事終わりに茅ヶ崎までわざわざスケットボールを観に行った。B3リーグの湘南ユナイテッドの試合を観るのは初めてではなかったが茅ヶ崎に行くのは初めてだ。茅ヶ崎市役所の北隣にある茅ヶ崎総合体育館で試合は行われた。招待席は満員だが有料席は空席が目立つ。目立つというか空席がほとんどだ。元気一杯に踊りながら客席を煽るチアガールたちの精神が折れてしまわないか心配になるくらいだ。試合の結果は湘南ユナイテッドが東京ユナイテッドに完敗。盛り上がったのはラフプレーで選手以上にヘッドコーチ同士がエキサイトした時くらい。

試合が終わりおずおずと帰路につく。茅ヶ崎駅北口のエスカレーターを登っていると降り場にいた小学生の女の子3人組が私の後ろに乗る女性に呼びかける。

「お母さん、どうぞ、どうぞ、こちらへ」
「お母さん、お待ちしてました、どうぞこちらへ」
「お母さん、こちらへ、どうぞどうぞ」

なるぼど、このダチョウ倶楽部のような娘達はエスカレーターで私の後ろに立っている女性の子供たちだったんだ。エスカレーターを降りた母親は娘達の誘導に連れられて行く。そこに母親の後からエスカレーターを降りた男性が娘達に加わる。

「とってもお綺麗なお嬢さん、どうぞどうぞ、こちらへ」

この男性は子供たちの父親だった。父親は子供たちの猿芝居に加わった。母親は苦笑いを浮かべながら皆の誘導に乗せられる。父親と子供たちが母親を誘導した先にあったのは子供たちの楽園であるマクドナルド。母親が呆れたように言う。

「あなた達ったら、恥ずかしいわね、やめて、もう!マック怒鳴るど!」

「ママ、やさしい」「ママ、きれい」「ママ、素敵「」

「しょうがないわね、ハッピーセットだけよ」

「あざ」「あざっす」「っす」

父親が

「俺は夜マック、倍てれてれやきバーガー」

母は呆れて

「もう、倍バーイ」

 

近くで見ていた私は店を変えて

MOSのオニオンフライデーセットを食らっといた。

(坂本雅彦)

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