筆を折った朋誠堂喜三二、切腹した?恋川春町
連載•小説
2025/08/14
続いて、11代将軍家斉と松平定信を、源頼朝と畠山重忠になぞらえて徹底しておちょくった『
文武二道万石通』の作者・朋誠堂喜三二は秋田藩の江戸留守居役。幕府の目を怖れた藩主・佐竹
義和(よしまさ)から強く叱責されたと言われている。
蔦重をずっと支えてきたこの大人気作家は、これを最後に喜三二の号を他人に譲って筆を折った。以降は狂歌、狂詩、狂文の世界に入ったという。
さらに悲劇的な結末を迎えたのは、蔦重を支えたもう1つの柱、恋川春町だった。ターゲットと
なった『鸚鵡返文武二道』は、定信の文武両道の奨励を徹底して皮肉った戯作。天下泰平が続
き風紀の乱れた醍醐天皇の世で、菅原道真の子・菅秀才が源義経、源為朝、小栗判官といった
腕利きたちを呼んで一般庶民に武芸を奨励するが、それを誤解した人々がことごとく奇天烈な
行為を始める、という内容だった。
同書をリリースした3か月後、春町は幕府から出頭命令を受けた。病気を理由にそれを断った春
町だが、その3か月後に死去した。切腹したとも言われている。享年46。
そして幕府の手は、当然ながら蔦重本人にも伸びてきた。(つづく)
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