2025/11/22
子供たちが大好きなぬいぐるみの中でテディベアは圧倒的に人気がある。1902年の秋、米国のセオドア・ルーズベルト大統領は熊狩りに出かけた。傷を負った子熊を見つけたので、かわいそうだからと助けた。その美談が記事で報じられ、ルーズベルトの愛称「テディ」の名を戴いた子熊のぬいぐるみが売り出されると大ヒットした。
なお、同氏の誕生日10月27日は「テディベアの日」だ。ちなみ米海軍の空母ニミッツ級の4番艦セオドア・ルーズベルトの艦名の由来となった人物でもある。
クマのプーさんのぬいぐるみも人気があるが、某国では禁止である。理由はその国の独裁者と風貌が似ていて揶揄されるからだ。
日本ではついに鈴木健太秋田県知事が、ツキノワグマ対策として自衛隊の派遣を要請した。ただし、その支援内容は「駆除」そのものではなく、罠の設置や見回り、駆除個体の輸送や解体処理といった後方支援に限られる。
「銃の扱いに慣れた組織なのになぜ撃たないのか」との批判も高まっているが、自衛隊が野生動物の駆除に関わるには、自衛隊法と鳥獣保護法という法的制約があるので無理なのである。ゴジラ対策として自衛隊出動が議論されたのと同じ理屈だ。ただし、過去には旧軍や自衛隊が実際に“害獣駆除”に出動した事例も存在する。
大正4(1915)年、北海道苫前町三渓で起きた三毛別羆(さんけべつひぐま)事件で、ヒグマが開拓民の集落を2度にわたって襲い、死者7人、負傷者3人が出た悲惨すぎて、あまりに有名な人食い熊による殺傷事件である。
日本の生態系は津軽海峡(ブラキストン線)で大きく分けられる。同線の北側は固体のでかいエゾシカ、キタキツネ、ヒグマ。南側は日本シカ、本土キツネ、そしてツキノワグマ。報道ではクマとしか言わないがヒグマとツキノワグマは別物だ。
ツキノワグマは人間を敵と見るが、ヒグマは餌と見る。ツキノワグマはあの強大なツメのある手で顔を狙うので遭遇した場合、致命傷となる頭、顔、腹を下に臥せば命だけは何とかなるが、ヒグマはそうはいかない。伏せても手から食べるか、頭にしようか食べる順番しか考えない。ヒグマには遭遇しないことしか身を守る術はないほど危険な動物である。
三毛別羆事件では、旭川に駐屯する旧陸軍歩兵第28連隊の将兵30人が出動した。ヒグマ対策では、海上自衛隊や陸上自衛隊が複数回ヒグマ駆除を実施している。またトド駆除とエゾシカ対策でも自衛隊が関わった。
だが、これまで穏健と見られたツキノワグマに関しては自衛隊の出動要請はなかった。欧州女性に「あなたが一人で森の中を歩いていた。その時、あなたは男性に会うのと、クマ(欧州にいるのはヒグマ)に会うのとではどちらがいいですか」という質問を出した。すると大多数の女性は「クマ」と答えたという調査結果がある。
だがもはやツキノワグマでさえテディベアではないという生態系の混乱期がやってきている。(梛野順三)
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