政治•経済 トランプ政権の発足から1年 世界を混乱させるトランプ主義
トランプ政権の発足から1年 世界を混乱させるトランプ主義
政治•経済

2026/01/31

ドナルド・トランプ大統領が歴史的な返り咲きを果たし、第2次政権が発足してから1年が経過した。2025年1月の就任以来、世界は再びアメリカ第一主義の荒波に揉まれ、既存の国際秩序は根底から揺さぶり続けられている。この1年で明らかになったのは、トランプ氏の変幻自在で予測不能なディール(取引)外交が、かつてない規模で世界の政治・経済・安全保障の再編を促しているという現実である。

言うまでもなく、経済面において、世界を最も震撼させたのは「関税」を武器とした保護主義の徹底である。就任直後から打ち出された中国への高関税に加え、同盟国を含む全輸入国に対する一律関税の導入、さらには最近のグリーンランド領有問題を巡る欧州諸国への報復関税の示唆などは、グローバルなサプライチェーンを分断させている。この強硬姿勢は、米国内の物価高を招く一方で、製造業の国内回帰を強力に促す「トランプ・エコノミクス」の再来となった。各国は自国産業を守るための対抗措置や、米国を介さない多国間連携の強化を余儀なくされており、自由貿易体制は瓦解の危機に瀕している。

安全保障の領域では、米国が「世界の警察官」から完全に撤退し、自国の実利を最優先する姿勢が鮮明となった。ウクライナ情勢においては早期終結を掲げて軍事支援の絞り込みを行い、NATO加盟国に対しては防衛費負担の大幅な増額を冷酷に迫っている。これにより、欧州やアジアの同盟国は、米国の「核の傘」を含む安全保障上の確約に疑念を抱き始め、独自の防衛力強化や地域内連携の模索を加速させている。特にグリーンランド購入構想を再燃させた動きは、北極圏の資源と航路を巡る米中露の覇権争いを激化させ、新たな地政学的対立の火種となっている。

一方で、トランプ政権の実利重視は、これまでの外交上のタブーを打ち破る側面も持っている。既存の枠組みを壊し、リーダー同士の直接交渉を重視する手法は、硬直化した国際関係に予期せぬ流動性をもたらした。しかし、1年を終えた現在、世界に広がっているのは混乱と二極化である。米国が国際協調から背を向け、内向きな政策に舵を切ったことで生じた権力の空白を、中国やロシアが埋めようとする動きも顕著だ。

結局のところ、トランプ政権の1年は、米国を再び偉大にするための破壊的な再構築の期間であったと言える。世界はもはや、米国が提供する安定の上に胡坐をかくことは許されず、不確実性が常態化した「トランプ・ワールド」において、自律的な生存戦略を立て直すという厳しい試練に直面しているのである。

(ジョワキン)

TIMES

政治•経済