政治•経済 高市首相によるトランプ大統領へのノーベル平和賞推薦:狙いと外交リスク
高市首相によるトランプ大統領へのノーベル平和賞推薦:狙いと外交リスク
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2025/11/04

高市首相がドナルド・トランプ大統領をノーベル平和賞に推薦する意向を示した背景には、日米間の強固な信頼関係構築という極めて現実的な外交的狙いがある。特に、トランプ氏がかつてからノーベル平和賞に強い意欲を示していることを踏まえ、推薦という非公式な交渉材料を提供することで、今後の安全保障や経済交渉における日本の優位性、少なくとも安定性を確保しようとする意図が透ける。タイ・カンボジア国境紛争の解決や、イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意への貢献といった実績を推薦理由に挙げることで、日本の同盟重視姿勢を明確に示し、保守層へのアピールを図る狙いもあると考えられる。

この推薦は、単なる儀礼ではなく、トランプ氏が重視する外交上の礼遇を先んじて行うことで、極めて迅速に個人的な信頼関係を築こうという戦略的判断である。今後もトランプ氏が日米間の懸案事項である防衛費の負担増や通商問題について、日本が厳しい要求を突きつけられる可能性あることから、この推薦を「貸し」として活用したいという思惑が働く。具体的には、安全保障協議における日本の主張を通りやすくしたり、経済交渉での関税問題などで譲歩を引き出したりする実利を追求しているのだ。

一方で、この推薦には看過できないリスクも伴う。最大の懸念は、国際社会において米国への過度な追従と見なされ、日本の外交がトランプ依存と評価される恐れがあることだ。日本はトランプ氏と良好な関係を維持しようとするが、中国やロシアだけでなく、インドなどグローバルサウス諸国におけるトランプ氏のイメージは決して良くない。保護主義を貫き、グローバル経済を混乱させるトランプ氏に対する懸念が根強い。

ノーベル平和賞の理念は、政治的影響力よりも人類の平和への貢献を重視するため、政治的な思惑が絡む推薦は、野党や国内有識者からの外交的な追従や平和賞の政治利用といった批判を招く可能性が高い。推薦が必ずしも受賞に結びつかないにもかかわらず、国内での政治的コストを払うことになるという「割に合わないリスク」も考慮する必要がある。この判断は、外交的実利と国内での政治的信頼のバランスが問われる、極めて綱渡り的な政策といえるだろう

(ジョワキン)

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