2025/08/16
2025年、第二次世界大戦終結から80年が経過した。戦後の国際秩序は、自由主義や国際協力を
基盤に構築されたが、近年、その枠組みは揺らぎ、世界は新たな分断の時代へと突き進んでいる
。地政学的緊張、経済的格差、技術競争、文化的対立が絡み合い、国際社会はかつてない試練に
直面している。
冷戦終結後、米国を中心とする一極支配が続いたが、中国やロシアの台頭により、多極化が進
んでいる。米中対立は貿易戦争から技術覇権争いへと移行し、特にAIや半導体の分野で激化
。2022年のウクライナ侵攻以降、ロシアと西側諸国の関係は冷戦期を彷彿とさせる対立に回帰し
た。NATOの拡大やインド太平洋地域での軍事演習の増加は、緊張を一層高めている。こうした大
国間の競争は、小国を巻き込んだ代理戦争や地域紛争のリスクを増大させ、グローバルな協力を
困難にしている。
経済面では、グローバル化の恩恵が不均等に分配された結果、国内および国家間の格差が拡大
。先進国では中間層の没落や若者の貧困化が進行し、反グローバリズムを掲げるポピュリズムが
勢力を増している。欧米では移民排斥や保護主義を訴える政治勢力が台頭し、EUや米国では分断
的な政策論争が過熱。一方、グローバル・サウスでは、経済発展の遅れや気候変動の影響が深刻
化し、先進国への不信感が高まっている。こうした格差は、国際協調の基盤であった信頼を侵食
している。
デジタル革命は世界を結びつける一方で、新たな分断を生み出した。インターネットは国境を
越えた情報共有を可能にしたが、ソーシャルメディアはフェイクニュースやプロパガンダの温床
となり、世論の分極化を加速。国家間のサイバー戦争や監視技術の競争も激化し、データ主権を
巡る対立が顕著だ。中国の「グレート・ファイアウォール」や欧米のプライバシー規制は、イン
ターネットの「スプリンターネット化」を象徴している。AIの軍事利用や倫理的懸念も、技術の
進歩が分断を助長する要因となっている。
文化や価値観の違いも分断を深めている。民主主義と権威主義の対立は、価値観の衝突として
現れ、国際的な対話の障害となっている。気候変動やジェンダー、移民問題を巡る議論でも、各
国の優先順位や文化的背景の違いが協力を阻害。ソーシャルメディア上でのエコーチェンバー効
果は、異なる意見の共存を難しくし、対立を増幅している。
戦後80年の節目に、世界は協力を再構築できるのか、それとも分断がさらに深まるのか。気候
変動やパンデミックのような地球規模の課題は、単一国家では解決不可能であり、国際協調の必
要性は明白だ。しかし、大国間の不信感や国内の分断がそれを阻む。解決策の一つは、局地的な
協力の積み重ねだ。地域レベルの経済圏や技術標準の共通化、気候変動対策での協働など、小さ
な成功が信頼を回復する契機となり得る。分断の時代を乗り越えるには、対話の場を維持し、共
通の利益を見出す努力が必要だ。戦後80年の歴史が示すのは、人類が危機を乗り越える力を持つ
一方で、誤った選択が破滅的な結果を招くリスクだ。世界は今、岐路に立っている。
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