2025/12/18
11月19日、中国政府が日本産水産物の輸入を停止すると日本政府に伝えてきた。台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁に反発した対抗措置だ。
海産物については中国は東京電力福島第1原発処理水海洋放出に伴い2023年8月に輸入を全面停止した。これは中国お得意の「シャープパワー」の発動だ。
「シャープパワー」とは、米国のシンクタンクが初めて使用したもので、中国が主に日米欧諸国で展開する買収・威嚇・情報操作など悪意に満ちた諸手段を批判する用語である。
中華人民共和国の建国の父、毛沢東は「政権は銃口から生まれる」とその出自を述べた通り、以下、中国のならず者ぶりを見てみよう。
中国の著作家で反体制活動家、劉暁波(りゅう・ぎょう=故人)氏は、4度目の投獄中の2010年、ノーベル平和賞を受賞したが、同年授賞を批判する中国は、ノルウェー産サーモンの輸入を禁止した。
10年、尖閣諸島の帰属を巡り対立した日本に対するレアアース(希土類)の輸出停止。12年、領海紛争中のフィリピン産バナナの検疫強化。16年韓国製品の不買運動。19年カナダ産菜種の輸入停止。20年、新型コロナウイルス感染症の原因究明を中国に求めた豪州産石炭、ワインなどの輸入規制。21年台湾産パイナップルの輸入停止。23年福島原発問題に絡ませ、日本産海産物の輸入停止。これらはすべて国際法違反である。
もっとも中国は国際法など屁とも思っていない。16年7月、フィリピンが南シナ海の領有権問題を巡り国連海洋法条約に基づき申し立てた仲裁手続きで、仲裁裁判所が示したフィリピン寄りの判断を中国は「紙くず」と一蹴している。
海外に赴任している中国人外交官は特異な存在である。かの大阪総領事のようにマフィアのような言動を振る舞うことだ。彼らは、習近平国家主席の下で「戦狼」(ウルフ・オブ・ウォー)であることを求められているからだ。以下その例を挙げる。
20年10月8日、台湾の駐フィジー出先機関は、首都スバで双十節(建国記念日)の祝賀パーティーを開催したが、そこに招待してもいない2人の中国大使館の職員が闖入、止めようとした台湾側の関係者ともみ合いになり、台湾職員1人が軽い脳震盪を起こして病院に運ばれた。
チェコのナンバー2、クベラ上院議長(当時)が台湾から招待されたが、北京側は訪台阻止のため「決行すれば、チェコの対中貿易関係に大きな支障が生じるだろう」と脅迫し続け、クベラ氏は20年1月、こうした圧力、脅迫が原因と思われる心臓発作で急死した。
哀れなのは、長きにわたり中国に小突き回されてきた韓国だ。韓国・ロッテグループが、中国・瀋陽に造成していた「ロッテワールド」を、サード(THAAD=高高度ミサイル防御体系)の報復で工事中断を余儀無くされたことから売却し、中国事業から完全に手を引いた。
16年、韓国国防省は、対北朝鮮製ミサイル防衛のためTHAADを、ロッテ系企業が運営するゴルフ場に配備する計画を米国と合意した。これに中国が自国をスパイするためのものだと猛反発。報復の矛先をロッテに定めたというのが経緯である。
これに懲りた韓国・李在明政権下の与党「共に民主党」は、外国人(現実は中国人)に対する名誉毀損を懲役刑に処する「刑法改正案」を発議した。韓国社会で噴出する「日本より嫌いな中国」を法律で抑え込むためだ。
中国の禁輸で打撃を受けたホタテ輸出は、加工場を中国から日本国内に移し、米国やベトナムなど輸出先を開拓した結果、昨年は中国抜きで前年を6億円上回る694億円にまで回復した。中国のヤクザまがいの恫喝が、かえって日本人を覚醒させている。(梛野順三)
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