政治•経済 経済制裁のドミノ、日中間の新たな冷戦勃発か
経済制裁のドミノ、日中間の新たな冷戦勃発か
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2025/11/28

高市早苗首相が台湾有事を存立危機事態と断言した発言は、中国側の激しい反発を招き、日中関係は急速に冷却化している。中国外務省が首相発言の撤回を要求し、拒否すれば「全ての責任を負う」と警告するなど、外交ルートでの応酬は激しさを増す一方だ。既にその報復の一環として、中国は日本産水産物の輸入停止という経済的な措置を発動したが、これは今後予想されるさらなる経済制裁の序章に過ぎない。

中国が日本に対して次にどのような経済制裁を発動するかを予測する上で重要なのは、その制裁が中国側のダメージを最小限に抑えつつ、日本経済への打撃を最大化できる分野である点だ。水産物の輸入停止は象徴的かつ比較的容易な措置であったが、今後の制裁はより広範かつ深刻な影響をもたらすことが予想される

最も懸念されるのは、サプライチェーンの中核をなす分野、特に日本が中国に大きく依存しているレアアースなどの重要鉱物資源の輸出規制である。中国は世界のレアアース供給の多くを占めており、これを制限すれば、日本のハイテク産業や自動車産業は深刻な部品不足に陥る。これは、中国が過去に他国に対して用いたことのある「経済の武器化」の常套手段である。

また、ハイテク製品に関連する制裁も考えられる。日本の半導体製造装置や高精度部品は中国の製造業にとって不可欠だが、中国はこれらの輸入に制限を加えたり、非関税障壁を設けることで、日本企業の中国市場におけるシェアを奪い、代替品の調達を促す可能性がある。一方で、中国に進出している日系企業の活動そのものに対する規制強化や営業妨害も現実的な脅威となる。通関手続きの遅延、税務調査の強化、環境規制の厳格化など、法令遵守を名目とした間接的な圧力は、日本企業のビジネス環境を著しく悪化させるであろう。

さらに、中国からの観光客の規制も日本経済にとって大きな打撃となる。既に中国政府は国民に対し日本への渡航自粛を呼びかけているが、これが団体旅行の全面的禁止などにエスカレートすれば、観光、小売、交通業界は甚大な損失を被る。

今回の緊張は、単なる外交問題ではなく、台湾海峡を巡る安全保障問題が直接的に経済の領域に波及したことを意味する。中国は、台湾問題における日本の立場を揺るがすため、今後も段階的かつ戦略的に経済的な圧力を強めてくる可能性が高い。日本政府は、経済安全保障の観点から、サプライチェーンの脱中国化や重要物資の国内備蓄を加速させるなど、長期的な対策を急ぐ必要があるが、当面は中国の強硬な経済外交に晒され続ける厳しい局面が続くであろう。これは、日中間の経済関係が、外交・安全保障の緊張によって根本から再構築を迫られる新たな冷戦の始まりを予感させる出来事であると言える。

(ジョワキン)

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