2025/08/12
2025年8月、トランプ政権が導入した関税政策が施行されて半年が経過した。米国は中国や欧州
諸国などからの輸入品に対し、高い関税を課し、国内外で議論を呼んでいる。物価上昇や貿易摩
擦の激化など、その影響は多岐にわたるが、そもそも国家が関税を課す理由とは何か。この記事
では、トランプ関税の背景を振り返りつつ、関税の目的とその影響を説明する。
関税とは、輸入される商品に対して国家が課す税金のことである。物品の価格に上乗せされる
形で徴収され、輸入国の政府の歳入となる。関税には大きく分けて二つの種類がある。一つは「
従価関税」で、商品の価格に応じて一定割合の税を課すもの。もう一つは「従量関税」で、商品
の数量や重量に基づいて税額を決めるものだ。関税は、国際貿易において国の経済政策や産業保
護の重要なツールとして機能する。
国家が関税を課す目的は多岐にわたるが、主に4つが挙げられる。第一に、国内産業の保護であ
る。関税の最も一般的な目的は、国内産業を外国の競争から守ることである。安価な輸入品が市
場に流入すると、国内企業は価格競争で不利になることがある。関税を課すことで輸入品の価格
を引き上げ、国内製品の競争力を高める。例えば、トランプ政権は中国からの工業製品や消費財
に高関税を課し、米国の製造業を保護しようとした。これにより、国内での生産や雇用が維持さ
れることを期待している。
第二に、 政府の歳入確保である。関税は政府にとって重要な収入源となる。特に、税収基盤が
脆弱な国では、関税が財政を支える柱となる場合がある。トランプ関税の場合、米国政府は関税
による歳入をインフラ投資や減税の財源として活用する意図を示していた。ただし、現代の先進
国では、関税収入は全体の財政に占める割合は比較的小さい。
第三に、貿易不均衡の是正である。貿易赤字が大きい国は、関税を通じて輸入を抑制し、貿易
バランスを改善しようとすることがある。トランプ政権は、中国との貿易赤字を問題視し、高関
税を課すことで中国からの輸入を減らし、米国の輸出競争力を高める戦略を採用した。しかし、
こうした政策は相手国の報復関税を招き、貿易戦争のリスクを高める側面もある。
第四に、政治的・外交的メッセージである。関税は経済政策だけでなく、外交や政治のツール
としても使われる。特定の国に圧力をかけるために、高関税を課すことで交渉を有利に進める狙
いがある。トランプ政権は、中国の技術移転強制や知的財産権の問題を理由に、関税を外交カー
ドとして活用してきた。
トランプ関税が施行されて半年、米国経済や国際貿易にさまざまな影響が現れている。まず、
輸入品の価格上昇により、米国の消費者は家電製品や衣料品などの値上がりに直面している。特
に中国からの輸入に依存していた中小企業は、コスト増による利益圧迫を訴えている。一方、米
国の鉄鋼や自動車産業など、一部の国内産業は保護されたことで生産量や雇用の増加を報告して
いる。
しかし、国際的な影響も無視できない。中国やEUは報復関税を課し、米国の農産物や工業製品
が打撃を受けた。2025年春のデータでは、米国の対中輸出は前年比で約10%減少したとの報告も
ある。また、サプライチェーンの混乱により、グローバル企業の生産コストが上昇し、消費者へ
の価格転嫁が進んでいる。
関税のメリットは、国内産業の保護や雇用創出、歳入増加にある。しかし、デメリットも大
きい。輸入品の価格上昇はインフレを招き、消費者の負担が増す。また、報復関税による輸出の
減少は、国内経済にマイナスの影響を及ぼす。トランプ関税の場合、短期的な産業保護効果は見
られるものの、長期的な貿易摩擦の激化や経済全体の効率低下が懸念されている。関税は国家の
経済戦略において強力なツールだが、その効果は使い方次第である。トランプ関税は、国内経済
の保護を優先する「アメリカ・ファースト」の象徴として導入されたが、グローバル経済の複雑
な連鎖の中で、単純な勝敗は見えにくい。国家が関税を課す背景には、経済的・政治的な意図が
絡み合う。今後、国際協力を通じた貿易ルールの再構築が求められるだろう。
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