高市早苗首相が通常国会の冒頭で衆議院を解散し総選挙を行う意向を明らかにしている。石破茂政権時代に行われた衆院選と参院選では大惨敗を喫して自民党は衆参で過半数を割り込む状況。政権運営上、野党に何らかの協力を得ることが不可欠な状況にある。これは飽くまで石破氏を旗頭に選挙を戦った結果である。高市氏に責任はないかと言えば同じ自民党の幹部であるからゼロではないが希薄だと言える。高市首相にとって自身が招いた状況ではないし、多くの同士が落選の憂き目にあっている。高市氏が自民党総裁選に立候補した際の推薦人20名の中でも茨城5区石川昭政氏、愛知7区鈴木淳司氏、大阪19区谷川とむ氏、新潟5区高鳥修一氏、長野1区若林健太氏、宮城1区土井亨氏、埼玉13区三ツ林裕巳氏、比例杉田水脈氏ら8名が落選して浪人中だ。自民党全体では2024年10月の衆院選で56議席、2025年7月の参院選で13議席を失っている。政治資金の不記載問題があったにせよ実に69議席を石破茂政権時に失ったことになる。高市氏が同僚議員たちを早期に復活させてあげたいと慮る心情は容易に察することができる。なにしろ、高市内閣の支持率は78%に上る。20代の支持率に至っては90%を超えている。NHKの調査によると自民党の政党支持率は32%(1月時点)、自民党に次ぐ支持率の立憲民主党が7%であることから圧倒的な政党支持率を得ている。高市氏がこの好機を逃すわけもなく衆議院の解散を決意したわけだ。 この自民党の圧勝ムードの中、数少ない高市政権の攻めどころはやはり予算。通常国会が選挙で停滞してしまうと今年度予算の審議も成立も日程的にずれこむ可能性が高い。昨年の臨時国会で組成した補正予算では物足りない。高市氏が公約としている積極的な財政出動の効果は本予算の執行次第である。高市氏が矢継ぎ早に政策実現を進めてきたことは称賛に値するが物価高対策や賃上げ、基礎控除額の恒久的な見直しなど目先の課題は残されている。高市氏としては支持率が高いうちに衆院選で勝利し自民単独で過半数越えの議席を確保し、政権運営の基盤を強化し、政策実現を円滑に進めたいという目論見だろう。 公明党と袂を分かった高市自民党であるがたいした影響はないのではないか。公明党の支持率は3%以下、連立した日本維新の会より低い。公明党の中では自民党から完全に離れるわけにはいかないどっちつかずの選挙区も多い。比例中心の選挙で小選挙区では公明党はコマ不足。公明党は恐らく自主投票の方針になると予想されるが自民党に流れる票は多いはずである。 というわけで自民党圧勝の下馬評が覆ることはないと思料する。(坂本雅彦)