政治•経済 反日急先鋒だった李在明が大統領就任後に親日へ転換した理由
反日急先鋒だった李在明が大統領就任後に親日へ転換した理由
政治•経済

2025/09/21

韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は、2025年6月の大統領選挙で勝利し、第21代大統領に就任した。かつて「反日の急先鋒」として知られ、日本を「敵性国家」と呼び、福島第一原発の処理水放出に反対してハンガーストライキを行うなど、強硬な対日姿勢を鮮明にしてきた李氏が、就任後わずか数カ月で親日的な姿勢に転換したことは、多くの注目を集めている。この劇的な変化の背景には、国内外の政治的・経済的要因、そして戦略的な計算が存在する。本稿では、その理由を三つの観点から考察する。

選挙戦略と中道層の取り込み

李在明氏の対日姿勢の変化は、2025年の大統領選挙における戦略的転換に端を発する。前大統領・尹錫悦氏の非常戒厳令宣言とその後の弾劾・罷免による政治的混乱の中、李氏は厳しい選挙戦を強いられた。世論調査では一時支持率が低下し、保守派候補の猛追を受けたため、従来の強硬な反日姿勢を抑え、中道層の支持を獲得する必要があった。反日感情は一部の革新派支持者に訴求するものの、中道層や経済協力を重視する有権者には敬遠されがちだ。李氏は選挙戦で「日本は重要なパートナー」と発言し、文化交流や経済協力を強調することで、幅広い支持を確保。結果、僅差で勝利を収め、親日的なイメージを打ち出す基盤を築いた。

安全保障と国際環境の変化

李氏の姿勢転換には、国際情勢の変化も大きく影響している。2025年、韓国は北朝鮮のミサイル開発や中国の影響力拡大、さらには米国の保護主義的姿勢の再来という複雑な安全保障環境に直面している。日米韓の三国協力は、北朝鮮への抑止力や地域安定のために不可欠であり、反日姿勢を維持することは韓国の国際的孤立を招くリスクがあった。前政権が進めていた徴用工問題の解決策や日韓首脳会談の継続など、日韓関係改善の流れを継承することで、日本からの投資や技術協力を維持し、米国の信頼を得る狙いがあった。8月の訪日では、日本との「未来志向の関係構築」を強調し、歴史問題よりも現実的な協力に焦点を当てた。

国内世論と若年層の変化

韓国国内の世論も、李氏の親日転換を後押しした。特に、若年層を中心に反日感情が薄れ、日本への好感度が上昇している。K-POPやドラマを通じた文化交流や、日本への観光人気の高まりが背景にある。過激な反日姿勢は、グローバル化を重視する若者や経済成長を求める国民の期待と乖離しつつある。李氏はポピュリストとして知られ、国民感情を敏感に捉える政治家だ。反日を煽るよりも、経済やAI産業など未来志向の課題に焦点を当てることで、支持基盤の拡大を図った。また、自身の党内で強硬な反日路線よりも現実的な外交を求める声が高まっていたことも、姿勢変化を後押しした。

今後の展望と課題

李在明大統領の親日転換は、選挙戦略、安全保障、国内世論の変化が複雑に絡み合った結果である。しかし、過去の強硬な発言から、この変化が一時的なポーズではないかという懐疑的な見方も根強い。国内の反日感情や歴史問題への配慮から、政策の一貫性を保つことが求められる。また、米中対立や北朝鮮問題の進展次第では、再び反日的な姿勢が表面化する可能性も否定できない。日韓関係の安定には、両国が歴史認識を尊重しつつ、経済や安全保障での協力を深化させることが不可欠だ。李氏の「実用外交」がどこまで本質的な変化を伴うのか、今後の動向が注目される。

 

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