政治•経済 激化する中東情勢 そもそもなぜイスラエルとイランは対立しているのか?
激化する中東情勢 そもそもなぜイスラエルとイランは対立しているのか?
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2026/03/20

 2月末以降、中東情勢はかつてない緊張の極致に達している。連日のように報じられる軍事衝突のニュースを前に、我々は根本的な疑問を抱かざるを得ない。なぜ、直接国境を接してもいないイスラエルとイランが、これほどまでに激しく対立しているのか。その歴史を紐解くと、かつての密月から宿敵へと変貌を遂げた劇的な転換点が見えてくる

驚くべきことに、1950年代から70年代にかけて、両国は極めて良好な関係にあった。当時のイランは親米のパフラヴィー王朝下にあり、アラブ諸国に囲まれるイスラエルにとって、イランは数少ない戦略的パートナーであった。エネルギー供給や軍事協力において両国は手を取り合い、中東における「親米・非アラブ」の軸を形成していたのである。

この関係を根底から覆したのが、1979年のイラン・イスラム革命である。ホメイニ師によるイスラム指導体制が成立すると、イランは外交方針を180度転換した。新政権は米国を「大サタン」、イスラエルを「小サタン」と呼び、パレスチナ解放をイスラム世界の聖戦として掲げた。イランにとってイスラエルは、イスラムの聖地を不法占拠する、排除すべき異分子へと定義が書き換えられたのである。

以降、両国の争いは影の戦争の様相を呈していく。イランはレバノンのヒズボラやガザ地区のハマス、イエメンのフーシ派といった武装組織を支援し、イスラエルを包囲する「抵抗の弧」を構築した。これに対しイスラエルは、自国の生存を脅かす脅威として、周辺国の親イラン勢力への空爆や、イラン国内でのサイバー攻撃、核開発に関わる科学者の暗殺などで応酬してきた。

そして、対立を決定的なものにしているのが核開発の問題である。イスラエルにとって、自国の消滅を公言する国家が核兵器を保有することは、ホロコーストの記憶を呼び覚ます生存の脅威そのものだ。2025年以降、イランが国際原子力機関(IAEA)の査察を制限し、核開発の透明性が失われたことで、イスラエルの焦燥感は頂点に達した。「イランが核を手にする前に叩く」という軍事的な論理が、現在の直接対決を招く最大のトリガーとなったのである。

今日、かつての影の戦いは表舞台へと引きずり出され、一触即発の事態が続いている。イデオロギーの対立、地域覇権を巡る争い、そして核という究極の脅威。これらが複雑に絡み合った結果、両国はもはや後戻りのできない臨界点に達したと言える。この火種は中東全体を飲み込み、エネルギー価格の高騰や地政学的リスクとして、私たちの生活にも確実に影を落としている。この紛争の行方を注視することは、世界の平和と安定の行方を見届けることに他ならない。

(ジョワキン)

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