2025/04/30
和歌山の「アドベンチャーワールド」(白浜町)は4月24日、現在いる4頭全てのパンダを6月ごろに中国四川省のパンダ繁殖基地に返還するとした。理由は日中共同で行われている「ジャイアントパンダ共同保護プロジェクト」の契約が8月で切れることになっていて、特にメスの良浜(ラウヒン)が24歳で高齢なことから、時期としては本格的な夏を迎える前の6月頃までとの判断が適当とされたという。
だが果たして額面通り受け取れるだろうか。他の3頭、8歳の結浜(ユイヒン)、6歳の彩浜(サイヒン)、4歳の楓浜(フウヒン)は将来のパートナー探しでの帰国だという。確かに現存全頭がメスなので、パートナーがおらず繁殖が行えないという理由はある。だがアドベンチャーワールドは、12回の繁殖で17頭の育成に成功していて、返還と同時に新たな貸与が行われるのが、保護の上でも民間外交の観点でも最も好ましい。だが残る東京上野動物園の2頭も、来年8月までの返還期限となっていて、となると「国内ゼロ」が極めて現実的になる。
そこで当然頭をもたげるのが、中国側による「パンダ外交」の政治利用の意図だ。言うまでもなく、トランプが中国への「追加関税145%」をブチ上げつつも「中国次第」と方針転換を示し、どちらが先に歩み寄るかというただただメンツのみをかけたチキンレースを繰り広げている真っ最中のアドベンチャーワールドの発表だっただけに、むしろ政治利用の意図が無いと考えるのはむしろ不自然だ。
「追加関税によりもともとあった米中経済戦争は一気に過熱、中国は対抗措置としてアメリカからの輸入品には84%の関税に引き上げましたが、加えてレアアースの輸出規制も強化した。レアアースは中国が精製での世界シェア92%と独占状態で、そこには埋蔵量もさることながら、精製での環境汚染おかまいなしという中国ならではの強みがある。レアアースはハイテク製品や軍事技術に欠かせないので、これを川上で止めるのは効果てきめんというわけです」(経済部記者)
そしてそれは日本に対しても例外ではない。思い出されるのが2010年、当時、尖閣諸島で中国漁船が日本の巡視艦と衝突した事件で、中国は日本へのレアアース輸出を停止するという措置に出たことだ。
対日本軟化で招き寄せられる日本の国会議員
「この時の日本の困惑ぶりが中国の成功体験としてあり、レアアースの締め付けを来るべき対アメリカでも使えるカードとして切る用意をしてきたのは明らかです。また似た措置として、福島での処理水放出への対抗措置として、日本の海産物の輸入を制限したことも思い浮かべられますが、こちらは対アメリカ戦争での日本懐柔策として、輸入再開への向けての動きが急ピッチで進められようとしています。レアアースという鞭と、海産物というアメを使い分けているというわけです」(同)
そしてアドベンチャーワールドの発表があったのと同じ時期、日本からは公明党の斉藤鉄夫代表が中国を訪問して、共産党幹部と関税措置について話し合ったり、レアアース輸出規制の見直しを求めたりしているが、これこそパンダ外交における「人寄せパンダ」の役割を演じているようなものだ。また27日からは森山裕一幹事長を含めた超党派の日中友好議員連盟も中国を訪問、アメリカへの牽制材料に使おうとしている。
その意味では、今回のパンダ返還も鞭の方に思われる。とすれば地元和歌山とアドベンチャーワールドそしてパンダ・ファンにとっては、とんだばっちり以外何物でもないということになる。
TIMES
政治•経済






