国境の守りと空白の地:外国人による土地取得と離島国有化の急務

 日本の安全保障が多角的な脅威にさらされる中、とりわけ深刻な懸念として浮上しているのが、外国人や外国資本による重要土地の買収問題である。北海道の広大な森林、水源地、さらには自衛隊基地や米軍基地に隣接する土地が、不透明な背景を持つ資本によって次々と取得されている現実は、国家の主権と国民の安全に対する静かなる侵食と言わざるを得ない。2021年に成立した「重要土地利用規制法」は、注視区域や特別注視区域を指定することで一定の抑止力を期待させるものであったが、その適用範囲や実効性には未だ課題が多く、法の網目を縫うような買収工作が絶えないのが実情である。 この問題において、最も脆弱かつ緊急を要するフロントラインが「国境離島」である。日本は広大な排他的経済水域(EEZ)を保持しているが、その根拠となる離島の多くが管理不全の状態に置かれている。登記簿上の所有者が不明であったり、相続放棄によって実質的な管理者が不在となっていたりする土地は、外国資本による「点」の支配を許す絶好の隙となる。もし、国境付近の無人島や離島の一部が敵対的な意向を持つ主体に取得され、合法的な私有地として拠点化されれば、そこは日本の法的権限が及びにくい「安全保障上の空白地帯」へと変貌する恐れがある。  したがって、日本政府が最優先で取り組むべきは、所有者のいない、あるいは所有者が特定できない離島の迅速な国有化である。現行の民法や不動産登記法、あるいは所有者不明土地法に基づいた手続きでは、権利関係の整理に膨大な時間を要し、刻一刻と変化する地政学的リスクに対応しきれない。国境離島については特例を設け、一定期間の公告を経て所有者が名乗り出ない場合には、国家が強制的に収容・管理できる強力な法的枠組みを構築すべきである。これは私有財産権の尊重という民主主義の原則と、国家存立の基盤である領土保全という至高の命題をいかに調和させるかという問いに対する、現実的かつ断固とした回答でなければならない。 さらに、国有化は単なる手続きで終わってはならない。国有化した後の島々に海洋観測装置や通信設備を配備し、自衛隊や海上保安庁による監視・巡回を常態化させることで、名実ともに「実効支配」を強化する戦略が必要である。土地を守ることは、そこにある資源と海域を守ることに直結する。土地取得問題に対する防衛策を強化し、離島の管理を国家の手に取り戻すことは、次世代に平和な国土を引き継ぐための最低限の義務である。今、政治に求められているのは、法の不備を嘆くことではなく、主権の空白を埋めるための迅速かつ果断な執行力である。 (ジョワキン)
政治•経済

2026/03/31

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福島県双葉・大熊両町と青森県六ケ所村にソッポを向く国民の身勝手
福島県双葉・大熊両町と青森県六ケ所村にソッポを向く国民の身勝手

のど元過ぎれば…国民意識なんて勝手なものだな 今でも原発被害に悩まされている地域のことなど何処かな (写真 伊沢史朗双葉町長 双葉町HPより)  原発への意識が変わってきている。2021年には「即廃炉・積極的廃炉」の廃止派が6割を超えたが、25年は35%とほぼ半減し、活用派は58%に達した。活用派の半数以上が「運転延長」を望み「増設」も全体の1割を超えている。原発は「トイレのない高級マンション」と言われるが、変わらないのはそのトイレ問題だ。国民は「除染土壌搬入場所」と「使用済み核燃料最終処分場」を福島県と青森県に押し付けたまま知らん顔を通している。まず「除染土壌搬入」問題を取り上げる。14年前の東京電力福島第1原発の水蒸気爆発は巨大な後遺症を残した。放射線が降り注いだ土地の除染土壌の搬入は、22年3月で終了したもののその最終処分の見通しが立っていない。  福島県双葉・大熊両町に中間貯蔵施設を建設することが決まった15年、政府は30年後の45年までに除染土を福島県外に運び出すことを約束した。中間貯蔵・環境安全事業株式会社法には「中間貯蔵開始後30年以内に福島県外で最終処分を完了する」と明記されている。中間貯蔵施設に積み上がった土壌は東京ドーム11杯分の1400万立方メートルに達している。こうしたことから22年に環境省が東京都新宿区、埼玉県所沢市、茨城県つくば市の3カ所で再利用を検討していると発表して、新宿と所沢で説明会を開催したところ、周辺住民や地元町会が猛反発した。その後、除染土の受け入れを表明した自治体はなく宙に浮いた状態だ。いわゆる「迷惑施設」の誘致には困難が伴うことが珍しくない。が、双葉町の伊沢史朗町長には、「福島で作られた電力を消費してきた首都圏で、この問題に関心を持ってもらいたい」との考えがある。新宿区、所沢市、つくば市は「住民の見識でノー」を錦の御旗にして、その考えにそっぽを向いた。  次に青森県だ。原発から出される使用済み核燃料など高レベル放射性廃棄物の最終処分場は、まだ日本には存在しない。全国の原発から出た高レベル放射性廃棄物は、一時貯蔵施設のある青森県六ケ所村に運び込まれて今年で30年が経過した。この最終処分場の選定も難航している。宮下宗一郎青森県知事が時事通信のインタビューで、「国が主体性を持って事業者と連携して解決していく課題」と政府の決断を迫っている。17年には全国の地層の特徴を示した「科学的特性マップ」が公表された。つまり「廃棄物埋設に安全な場所の地図」だ。20年に北海道の寿都町(すっつちょう)と神恵内村(かもえないむら)、24年に佐賀県玄海町で第1段階の文献調査が始まり、北海道の2町村は適性が認められた。第2段階の概要調査、第3段階の精密調査に関してもスムーズな展開を願ったが、ここでストップしたままだ。原発反対派の中には、核軍縮運動の流れを引き合いに出して「処分地を提供することは核拡散を認めることになる」と意味不明な理由を挙げて妨害するバカ者もいる。しかし今後、AI(人工知能)などがより普及し、電力を原発1基分丸飲みする国内外のデータセンターが各所にできれば、電力需要の著しい増加が予想される。高レベル放射性廃棄物の出ない核融合炉などへの転換も含め、政府や事業者は原子力研究開発の意義と未来を提示し、粘り強く国民を説得しなければならない。  

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2025.05.27

大好評連載 椎野礼仁の『TANKA de 爺さん』   第9回
大好評連載 椎野礼仁の『TANKA de 爺さん』   第9回

五郎丸(2015年ラグビーワールドカップ日本代表)その2   場内の悲鳴と歓声つんざいて駆けよウィング約束の地へ 残り2分13点差、悲しげな視線を交したのではないな 負けられぬ負けてはならぬ試合だったこれまでの日々を失わぬために 男にはもうできることはなにもない彼我の力の差をかみしめるしか    先週、ある歌人のラグビーの歌に出会って、打ちのめされたと書いた。その人とは寺山修司であり、歌はこれである。 ラグビーの頬傷は野で癒ゆるべし自由をすでに怖じぬわれらに    一体、他のだれが、ラグビー短歌の中に「自由を怖じぬ」などという言葉を入れ込むことができただろうか。しかもラグビーをやった男の密かな矜持を、この歌は見事に射抜いているのだ。ラガーだった俺の心根をどうして寺山が言い得るのか。歌人としての力、才能徹底的に感じさせられた。  そうだ、来週は、寺山修司について、少し書いてみよう。

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2025.05.26

飛ばない「エアフォースワン」にトランプ大統領がしびれを切らしカタール機に乗り換え
飛ばない「エアフォースワン」にトランプ大統領がしびれを切らしカタール機に乗り換え

やれやれ、トランプ大統領専用機がやむを得ない事情でカタール機を使用するんだと… (写真 ロナルド・レーガン大統領夫妻を乗せたVC-137 Wikipediaより)  米国ファーストを掲げるトランプ米大統領が、大統領専用機「エアフォースワン」を中東のカタールから譲り受けたボーイング747に乗り換える。トランプ氏は5月中旬、カタール王族が使用した「空の宮殿」を受け取る計画を発表したが、民主党と一部の共和党議員は、4億ドルの飛行機を受け取るのは腐敗の印象を与え、安全保障上の重大な懸念を引き起こすと批判した。が、これまで大統領専用機として使用されてきたB747は、35年以上使用されており、昨年退役し入れ替わるはずだった。ところが入れ替わる気配さえない。そもそもトランプ氏がカタールの申し出を受け入れたのは、ボーイングからの新しい大統領専用機納入が何年も遅れているからだ。  ウォール・ストリート・ジャーナル紙の予測では、≪28年か29年まで準備が整わない可能性がある≫≪ボーイング社内では、サプライチェーン(供給網)やその他の問題により、35年まで納入が遅れる可能性があるとの見方も出ている≫と報じた。会計検査院(GAO)は22年7月の報告書で、当時、計画が予定より2年遅れたのは、ボーイングが「内装設備」の納入業者との契約を、業績不振と深刻な財務問題を理由に解約したためであることを明らかにした。ボーイング社は、新たな業者を探さなければならなくなり、そのためにスケジュールが延びた。さらに、両機の配線をすべてやり直す必要があったことや、大統領が関わる計画であるため、作業員は高度なセキュリティーチェックに合格しなければならないが、適格者を見つけるのが困難だったことなどから、さらなる遅れが生じたと報告している。  ところで大統領の中東歴訪はドバイ、カタール、サウジアラビアだった。各地で歓待をうけたほか、超大型投資の発表が続いた。ドバイには、80億ドル予算となると次男のエリック・トランプがぶち上げたトランプホテルを建設、カタールにはヴィラ&ゴルフコース建設に55億ドルが投じられる。カタールから見れば、B747の無償提供など安いものだ。  

連載•小説

2025.05.26

新連載 没後20年、戦争を危惧した後藤田正晴いまありせば  元官房長官秘書官 平沢勝栄が語る 第2回
新連載 没後20年、戦争を危惧した後藤田正晴いまありせば  元官房長官秘書官 平沢勝栄が語る 第2回

中曽根さんと後藤田さんの防衛外交問題 香村 中曽根(康弘首相)さんと後藤田さんとは、防衛外交問題についての見解はかなり異なっていたと思うんですけどね。 平沢 そうですね。かなり違うと思います。 香村 その辺の意見のすれ違いをぶつけ合うことなく、お互いに、腹に納めていたということですかね。 平沢 後藤田さんは、安全保障の限りで言うと当時の社会党の考えに近いところがありました。だから社会党の女性議員から「私のところの委員長になって下さい」などといった発言が出たのでしょう。片や中曽根さんは自民党の中でもかなり右寄りと言えました。後藤田さんがいつも言っていたのは、自分は中曽根さんのところで仕事をしていると。だから、中曽根さんと私の意見が違った場合は、当然のことながら、中曽根さんの指示に従う。しかし重要なことで、これだけは絶対譲れない、あるいは自分の首をかけてでもこれだけは守らなければならないといった問題については、相手が中曽根さんであろうと誰であろうと、自分は自分の意見を言わせてもらうということをよく言っていました。 香村 その一つの例が、イランイラク戦争の時に、ペルシャ湾に掃海艇を派遣するかしないかをめぐって、後藤田さんは首をかけて、閣議でも反対するんだというようなことをおっしゃってましたね。 平沢 これについては、私はたまたま中曽根さんと後藤田さんのやり取りの場にいたからよく知っています。後藤田さんが中曽根さんのところに行くというのでついて行ったら、旧官邸の中曽根さんの狭い総理室でした。後藤田さんは中曽根さんと掃海艇の派遣のことで言い争いをしていたのです。中曽根さんが「掃海艇だけは派遣しないとアメリカが・・」と言うと、後藤田さんは「それは分かるが、行けば必ずエスカレートしてどんどん派遣が行われる。日本はその心配があるんだ」というようなことを言ってました。結局、最後は中曽根さんが諦めました。 香村 折れましたね。 平沢 その場面で、後藤田さんは「分かりました。私は辞表を持ってきましたから」と中曽根さんの前で言うわけです。結局、中曽根さんとしては、後藤田さんを閣外に追いやったら大変なことになる。従って円満にやるには、ここで自分が譲るしかない。それで譲ったと思います。その結果、中曽根内閣は続きました。私は自分に逆らう人を最も側近の官房長官というポストに就けた中曽根さんの度量の大きさには、ただただ驚くばかりでした。私は政治家になってから、中曽根さんに「なぜ後藤田さんのようなうるさい人を側近に置いたのか」聞いたことがある。その答えは「官僚を抑えられる。危機管理ができる。そして、意見を直言してくれる」だった。 香村 中曽根氏にとっては、後藤田さんは内閣の大黒柱でした。後藤田さんがいなければ内閣は維持できないといった実力を後藤田さんは持っていたということですかね。 平沢 まあ、そういうことでしょうね。後藤田さんは毎週、内調(内閣情報調査室)を呼んで、国民の皆さんはどう思ってるか聞いていました。その時の内調の室長は警察庁出身の谷口守正さんです。谷口さんは後藤田さんに呼ばれて徹底的に世論調査をやり、自分のやってい ることに間違いはないという確信を得たのだと思います。因みに、谷口さんは徳島の警察本部長の時に後藤田陣営の人を260人以上選挙違反で検挙している。その捜査の責任者を後藤田さんは自分の側近に置いたわけで、後藤田さんの度量の大きさにはただただ驚きます。 香村 それと防衛問題ですね。軍事費、防衛費ですね。対GNPの1%を超えてはならないと。ところが、結果的に1%を超えた。その時も後藤田さんは強く反対している。 平沢 反対どころか、反乱ですね、後藤田さんは。国会には自衛隊の応援団が多くいました。村上正邦(元労相)さんがその筆頭だったと思います。皆さん大勢で官房長官室に来ては「1%なんかなんだ。1%で日本を守れるか」てなことを言っていた。片や後藤田さんは「俺の目の黒いうちは1%超えはダメだ」と。後藤田さんは戦前のような過ちをさせない最後の砦の一つが1%と思っていたのでないか。これを一度超えたら、歯止めがきかなくなるので1%は守らなければと考えていたのだと思う。そのことをずっと言い続けてきたが、結局、最終的には「諸外国に比べ極端に少ない防衛費では日本を守ることはできない」として、1987年度から、わずかだが1%を超えています。後藤田さんがいつも言っていたのは、「役人は、一度予算をつけるとその後はただひたすら増やし続ける」と。政治家は自衛隊に対していい顔をしようとする。選挙などでいろいろと世話になっているからだ。後藤田さんが言っていたのは、「防衛庁の応援団の人たちは分かっているのかな。そして、警察予算で増員を求めて応援する人たちは、明日にでも警察に捕まりそうな人たちが多い」などと我々に言っていた。警察官を増員したいということで、当時の山田英雄警察庁長官は、何度となく私に電話で、「なんとしてでも後藤田さんを口説いて、増員を認めてもらってくれ」と言ってきた。長官としては当然のことだ。しかし後藤田さんは最後まで増員反対を通していた。後藤田さんの考えは徹底していて、とりわけ自分の出身官庁の警察庁には厳しかった。後藤田さんは「役所の人員に無駄が多いことを俺はよく知っている」と繰り返し言ってました。警察庁の幹部はともかく人員を増やすことだけ考えて、減らすことは考えない。だから俺は反対なんだと言ってました。後藤田さんは警察官の増員や防衛予算の増額にはしっかりした根拠がない限り絶対反対といった立場に立った急先鋒でした。予算の1%を最後まで主張し続けた一人でもある。予算担当者は1%からあまり出ないようにしなければならなくなったことから随分苦労したと思います。 香村 数字の操作ですね。(つづく)

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2025.05.26

佐野慈紀のシゲキ的球論    右肩違和感のドジャース佐々木に「7月に戻ってくればいい」と助言
佐野慈紀のシゲキ的球論  右肩違和感のドジャース佐々木に「7月に戻ってくればいい」と助言

野球評論家の佐野慈紀氏が「右肩インピンジメント症候群」で離脱したドジャース佐々木郎希投手に〝スロー調整〟をすすめた。  佐々木は9日のダイヤモンドバックス戦後に右肩の違和感を訴え、インピンジメント症候群と診断された。  佐野氏は「僕もやったことあるんですが、投手にとってはある意味避けられない症状。特に佐々木投手は関節の柔軟性があるので、なりやすいのかもしれません。振り返れば初登板から全体のバランスも悪く、本来の出来ではなかった。まずはしっかり治すこと。何度も繰り返さないことが大事です」と語る。  ドジャースは先発陣不足が悩みの種だが、佐野氏は「それぞれの国の野球文化がある。日本にいれば『チームに迷惑がかかる』という気持ちがどうしても出てくるが、もうアメリカにいるのだから、自分のやり方を貫くことに集中したほうがいい」とマイペースを貫く方がいいという。  「やっぱり勝負は7月、8月なんです。しっかり投げられる体を作って!」とエールを送った。

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2025.05.25

新連載 没後20年、戦争を危惧した後藤田正晴いまありせば  元官房長官秘書官 平沢勝栄が語る 第1回
新連載 没後20年、戦争を危惧した後藤田正晴いまありせば  元官房長官秘書官 平沢勝栄が語る 第1回

≪聞き手 本誌 香村啓文≫ 香村 私は昭和52年に「政策集団シリーズ」という企画もので、当時、新生クラブの代表だった藤波孝生さんにインタビューしました。平沢議員は昭和60年に、藤波さんの秘書官をやられましたね。八ヵ月ほどおやりになられて、その後、内閣改造で後藤田(正晴)さんの秘書官もやられた。この人事は大臣官房でやるわけですか? 平沢 これは警察庁の人事で、最後は後藤田さんと藤波さんにそれぞれ打診して決められたかもしれません。藤波さんが靖国神社の公式参拝とか日航機の事故の発生のあと一段落したあわただしい時期でしたね、私がいたのは。 香村 藤波さんが官房長官の時(1983.12.27~85.12.28)の後藤田さんのポストは? 平沢 おそらく初代総務庁長官(1984.7.1~85.12.28)だったと思います。 戦争と中国が生涯のテーマ 香村 今おっしゃられたように、靖国神社参拝を巡ってだいぶ揉めましたね。その時は後藤田さんは官房長官じゃないんですけど、その後、後藤田さん自身が長官になって、靖国神社の総理参拝を厳しく批判しましたね。 平沢 後藤田さんは、「中国と喧嘩しちゃいかん」というのが口ぐせでした。靖国神社を参拝すれば必ず中国と争いになる。戦争中、中国には多大な迷惑をかけたが、靖国神社でまた中国を心配させることになる。だから靖国参拝はダメだというのが、後藤田さんの考え方でした。後藤田さんの考え方の根底にあるのは戦争で日本は中国に多大な迷惑をかけたが、その中国といかにして仲良くやっていくかということでした。特に、後藤田さん自身が戦争で台湾に行ったこともあり、戦争だけは絶対にやっちゃいけないが口ぐせでした。ちょっとしたことでも争いが起こると、政治家や軍人などは、その小さな出来事を拡大して戦争をやりたがるが、戦争だけは絶対にやっちゃいけないと。このことを後藤田さんは繰り返し言っていました。戦争を知らない、あるいは戦争を経験したことがない政治家が、この国の舵取りをする時代が来た時に日本は大丈夫だろうか、大変に心配だ。後藤田さんが繰り返し言っていたのはこのことでした。 香村 それで靖国神社の参拝には批判的でした。同時にA級戦犯ですね。戦争中の戦争指導者で、東京裁判で戦犯になった人たちに対しては、結果責任があるということをおっしゃってたようですね。 平沢 結果責任ということは言ってはおられたが、公の場では私は余り聞いていません。要するに政治家は結果責任が大事だということです。靖国参拝にしろ何にしろ、やればどういう影響が出るか。これをよく考えてからやらなきゃダメだ。ただ安直になんでもいいからといって政策に飛びつくんじゃなくて、必ず影響が出るので、その出てきた影響が日本にとってプラスかマイナスかを、よく考えてやらなきゃならないと。このことは繰り返し言ってました。(つづく)

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2025.05.25

新教皇レオ14世の行く手を遮るロシアと中国
新教皇レオ14世の行く手を遮るロシアと中国

新教皇レオ14世戴冠、ああ、しかし、ここでも水を差すのか、ロシア&中国 (写真 新教皇レオ14世 カトリック中央協議会HPより)  米国人初のローマ教皇はレオ14世を名乗る。「レオ」と名の付く教皇というと西暦800年のレオ3世によるフランク王国カール大帝への戴冠で有名だ。このいわゆる「カールの戴冠」により、カールは神聖ローマ帝国の初代皇帝となる。キリスト教の理想を世俗の最大の権力者として委託された形で、その後の西欧世界に安定をもたらした。新教皇は移民問題などでトランプ米政権に批判的だが、一方で「西欧の現代文化が『福音と矛盾する信念を育んでいる』として、LGBTなど性的少数者の権利に慎重な発言をしたほか、ジェンダー教育推進にも反対したとされる」(時事通信報道)など保守的な側面もある。  新教皇は、2つの難問との対峙しなければならない。第一にロシア正教会の最高指導者モスクワ総主教のキリル1世と会見し、ウクライナの停戦および終戦の実現を説得できるかどうかだ。そんな中、ウクライナのゼレンスキー大統領は12日、教皇レオ14世と電話会談をした。また15日には、バチカンにウクライナ・ギリシャ・カトリック教会のキウイ大司教スビアトスラフ・シェフチュク氏を迎えている。そして2人はレオ14世との会見に感謝の意を表した。キリル1世はロシアのプーチン大統領のウクライナ戦争を「形而上学的な闘争」と位置づけ、ロシア側を「善」として退廃文化の欧米側を「悪」とし、「善の悪への戦い」と説いてきた。キリル1世は09年にモスクワ総主教に就任して以来、一貫してプーチン氏を支持してきた人物だ。  次に中国である。15日、世界のキリスト信者の迫害状況を発信してきた非政府機関、国際宣教団体「オープン・ドアーズ」は、ウィーンで報道向けのステートメントを発表し、「中国共産党政権が今月初めから中国での外国人の宗教活動をさらに厳しく取り締まる法を施行し、中国当局の宗教統制政策は、新たな次元に引き上げられた」と批判した。新法は「外国人の宗教活動に関する管理規則」と称し、具体的には、中国当局は外国人宣教師による説教、伝道、その他の宣教活動を禁止し、教会の礼拝に参加するにも政府の許可が必要と定めている。宗教を認めない共産主義政権下においては、中国のキリスト教徒は、国家公認の「愛国教会」に加入するように強いられている。中国では1958年以来、聖職者の叙階(聖職者任命)はローマ教皇ではなく、中国共産党政権と一体化した「中国天主教愛国会」が行い、国家がそれを承認してきた。これに対しバチカンは司教任命権を主張し、一方の「天主教愛国会」任命聖職者の公認を久しく拒否したが、18年9月、中国側の強い要請を受けて、愛国会出身の司教をバチカン側が追認する形で合意した。この合意は2年間の有効期限が設定されており、20年と22年に延長された。そして今回、両者はその有効期限を倍の4年間に延長することで合意した。なお、この合意の正確な内容はずっと非公開となっている。ところが中国当局は、フランシスコ教皇の崩御とレオ14世選出の間の空位期間に、上海市と新郷市で2人の新しいカトリック補佐司教を一方的に任命している。この動きは、司教任命に関する18年の合意に反する行為だ。  またバチカンは毛沢東が1951年、バチカンの最後の外交官を国外追放して以来、中国とは国交関係がない一方、台湾とは外交関係を維持している。フランシスコ教皇は昨年9月、中国側との対話について、「満足」としたが、欧米諸国ではバチカンの中国共産党政権への対応の甘さを指摘する声が小さくない。中国側の狙いはバチカンが台湾との国交を断絶し、中国共産党政権との国交を締結することだ。レオ14世は、ロシアと中国とどう向き合うのか注目される。

政治•経済

2025.05.25

トランプ対中貿易戦争の目的はフェンタニルなどの合成麻薬排除にある
トランプ対中貿易戦争の目的はフェンタニルなどの合成麻薬排除にある

トランプ大統領はなにがなんでも〝フェンタニル〟を撲滅させたいようだ  (写真 米国麻薬取締局(DEA)紋章 Wikipediaより)  米国の薬物・麻薬の過剰摂取による死者数は、ガザ紛争の犠牲者の数や、ロシアとの戦争によるウクライナ側の犠牲者の数を上回っていると推察される。欧州はウクライナ戦争の停戦のために米国に積極的な関与を期待しているが、トランプ米大統領は「ウクライナ戦争は欧州の問題だ」と強調している。これはウクライナ問題に無関心だからではない。トランプ氏にとって米国内の薬物・麻薬戦争という「内戦」での勝利が何よりも第一だからだ。  米国疾病対策センター(CDC)によると、薬物の過剰摂取による死亡者数は昨年約27%減少し、10万人を下回って8万391人となり、2019年以来の最低水準を記録した。しかし、死亡者の半数以上は依然としてオピオイド(麻薬性鎮痛剤)に属する致死性の高い合成麻薬フェンタニルによるものだ。麻薬取締局は、23年の薬物過剰摂取による死亡者数約10万7000人のうち70%がフェンタニルなどの合成麻薬の乱用によるものであると発表したことがある。それほどフェンタニルは米国を蝕んでいるのだ。  トランプ米大統領は就任直後、「中国がメキシコ経由で米国に麻薬を大量に密輸しており、時にはコカインや他の物質が混ぜられている」と非難し、これが中国に120%の懲罰的関税を課した理由ともなっている。トランプ氏は就任3週目に、米国の最重要輸出国の3カ国メキシコ、カナダ、そして中国に関税を課した。メキシコとカナダに対しては、関税停止の見返りに、米国への麻薬密輸を阻止するために国境に1万人の兵士を派遣するなどの対策を約束させた。トルドー首相(当時)はまた、カナダがメキシコの麻薬カルテルをテロリスト・リストに載せ、米国と協力して「組織犯罪、フェンタニルの密売、マネーロンダリングと戦うための特別部隊を設置する」と発表した。 米国麻薬取締局(DEA)によると、中国は「米国に密輸されるフェンタニル関連化学物質(麻薬用前駆物質)の主な供給源」という。これらは通常、小包配送で米国に送られる。また財務省の報告書によるとフェンタニルの違法生産と流通により、密売人は24年に14億ドルの利益を得たと推定され、そのほとんどが米国の銀行を通じて流出したという。報告書は、フェンタニルの取引に関与している主なカルテルを、シナロア・カルテルとカルテル・ハリスコ・ヌエバ・ジェネラシオンと特定しているが、この2つの麻薬カルテルはメキシコでのフェンタニルのサプライチェーン(供給網)をほぼ支配しており、中国から調達した麻薬用前駆物質と製造装置を使用し、秘密実験室で製造されていると述べている。フェンタニルの取引には、フロント企業を使った化学製品ブローカー、マネーミュール(カネの運び屋)、米国を拠点とし、中国のサプライヤーからフェンタニルの麻薬用前駆物質を購入する仲介者が関与している。  ところで、関税率をめぐる米中の貿易交渉が5月10日から2日間スイスで開催された。米国からはベッセント財務長官とグレアUSTR代表。中国からは何立峰副首相が出席し、結果的にアメリカは関税率115%の「値引き」に応じた。そして日本のマスコミは報じていないが、フェンタニル問題も取り上げられ、中国の王小洪・公安相も会議に派遣されたとウォールストリートジャーナルは伝えている。  

政治•経済

2025.05.25

外食で初の1兆円の大台 ゼンショー「ネズミソ汁事件」をはねのける
外食で初の1兆円の大台 ゼンショー「ネズミソ汁事件」をはねのける

ネズミソ事件も跳ね返しちまった!「すき家」はいまや我が国のインフラ!? (写真 すき家の店舗(関目店)Wikipediaより)  「ネズミの死骸入り味噌汁で会社は潰れるだろう」。ゼンショーホールディングス(以下:HD)傘下のすき家は、1月に起きた「ネズミソ汁」騒動の余波が長引き、ほぼ全店を数日間閉鎖したり、24時間営業を廃止して店の清掃を行うなどの対策を取った。店舗の閉鎖に営業時間を短縮すれば、当然「売上減」に直結するはずだったが、5月13日、HDが発表した2025年3月期の連結決算は、売上高1兆円を突破して、日本の外食産業で初の大台超えを果たした。メディアはすき家の事件で「2割の大減少」と報じたが、蓋を開けてみれば大方の予想は大きく外れ、すき家の4月全店売上高はわずか2割減で済んだ。実際はかなり「軽傷」だったわけだ。今や世界中に店舗を持つHDが、国内における「すき家業態」のみであれば、今回の混入騒動のダメージはもっと大きなものになっていたはずだ。ちなみにHDの予測によれば、2026年3月期の上期は減益予想の見通しだが、下期では再度増収予想だとしている。上期の減益はネズミ混入事件の余波だろうが、その復活もすでに見込んでいるわけだ。  売上高1兆円を突破できた大きな要因はM&Aによる事業拡大だ。なか卯やロッテリアなどのほか、23年には北米・英国で持ち帰り寿司チェーンを展開するスノーフォックス・トップコの全株式を取得した。こうした事件以前からの好調ぶりもあって、予想よりも軽微な影響で済んだのだろう。見逃せないのはすき家の立ち位置だ。その強さの1つに立地がある。同業ライバル他社の吉野家や松屋と比べた場合、すき家は地方や郊外に店舗が多い。実際、店舗数の分布を見てみると、松屋は全店舗のうち約半数近くが関東圏に集中している。吉野家は松屋よりは全国に分布しているものの、例えば四国の全店舗数は28店舗であり、すき家の60店舗に対して展開力が弱い。他の地方でも往々にしてすき家の方が圧倒的な店舗数を誇っている。  これは、すき家が吉野家や松屋への差別戦略として、郊外のファミリー層をターゲットにして店舗展開を行ってきた歴史があるからだ。地方には「すき家しかない」という地域さえある。そうなるともはや「すき家」は日本のインフラとして機能しているといえる。「インフラ」に好きも嫌いもない。「すき家」しかないから行くだけの話だ。すき家は1982年の創業以来初となる社長交代も発表した。スノーフォックス・トップコ買収など、グループの海外展開をけん引してきた実績を持つ小川洋平副社長が社長に昇格する。ネズミは完全に除去された。  

社会•事件

2025.05.24

日本よ一度でいいからアメリカにノーと言ってみろ
日本よ一度でいいからアメリカにノーと言ってみろ

いい加減にしてくれ!アメリカへの〝御みつぎ〟 それおれ達からしぼり取った〝税金〟だぜ!誰が出していいって言ったよ! (写真 ロックフェラーセンター)  ドル基軸体制は日本が支えていることをトランプ米大統領は知らない。日本のフォローイングポリシーは、米国から「赤字を支えるために米国債を買え」「金利を据え置け」「為替レートを変えるから従え」と言われればすべてハイハイと頭を下げてきた。追随とは「隋」(中国の国家)に従うことであり、聖徳太子の遣隋使以後、中国の制度や文化をマネたという意味だから、現代日本語は「追随」を「追米」に変えるべきだ。アメリカから関税圧力を掛けられている今、日本の交渉は、世界最大の米国債保有国であることを武器に「売却するぞ」と脅せば良い。なぜ日本政府が唯々諾々と、いずれ紙屑になりそうな可能性をある物を抱えているかといえば、財務省にそういう大胆な発想をする御仁がいないからだ。米国が不動産不況に直面するや日本にロックフェラーセンターを買えと恐喝し、高値で買わされ、後日安値で買い戻された。  リーマンショックでは旧三菱銀行と野村證券が、リーマンなどへの出資救済を要請された。三菱銀は90億ドルの巨額を投じてモルガンスタンレーに出資し、野村證券はリーマンのアジア、欧州部門を2億5000万ドルで買収させられ、8000人の社員も引き受けた。この巨額支出の決定は米国からの1本の電話、わずか一晩で決定に至った。  ベトナム戦争では、米国が勝手に戦争をおっ始めながら、後始末は日本任せだった。カンボジアも「北爆」の巻き添えを食いナパーム弾や枯れ葉剤を撒かれたが、日本は同国の戦後復興を任され、地雷を撤去したのも日本だった。その後のカンボジア支援金額は日本がほとんどを担ったが、政治的にも経済的にもカンボジアから日本は駆逐され、完全に中国圏に支配されている。  湾岸戦争では尻ぬぐいの機雷掃海をやらされた。その日本に対して、米国が苦況に陥るとスーパー301条とか年次改革要求とかを突き付けられ、日本はアメリカのATM化し、米国債の最大の債権者である日本がアメリカ経済を支えてきた。ドル基軸体制は、日本が支えているといっても過言ではない。  アメリカがけしかけて始めたウクライナ戦争など日本は無関係なのに1兆7000万円の負担金が回ってきた。すべては重負担に喘ぐサラリーマンから財務省が毟り取ったカネからである。    

政治•経済

2025.05.24

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