国境の守りと空白の地:外国人による土地取得と離島国有化の急務
2026/03/31
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狂歌ブーム元年となった1783(天明3)年当時、三大狂歌師と呼ばれていたのが四方赤良のほか唐衣橘州(からころもきっしゅう)、朱楽菅江(あけらかんこう)の3人。このうち四方と橘州がその作風の違いから厳しく対立していた。貴族風の温和で雅な作風の橘州は、江戸っ子らしい機智に富んだ赤良のそれを公然と批判した。 それはお互いの狂歌連というサロンどうしの対立にも波及する。赤良・菅江編『万載狂歌集』と並ぶ『若葉集』は橘州が編さんしているが、赤良は意図的に編者から外されている。対立の根はそれだけ深かったのだ。 この赤良・橘州の間を取り持ったのが、他ならぬ蔦重だった。 1785(天明5)年、蔦重は狂歌本を次々と世に出す。まず『故混馬鹿集』――無論、『古今和歌集』のパロディ――が先の『若葉集』『万載狂歌集』と並び称されるほどの大ヒットとなったが、重要なのは次の『狂歌評判/俳優風(わざおぎぶり)』だ。『俳優風』に掲載する狂歌の選者に菅江だけでなく犬猿の仲だった赤良、橘州の名がいっしょに並んでいるのである。 蔦重が赤良、橘州の仲介役として連れてきたのが、『俳優風』にピックアップされた狂歌師の最高位の称号を得た「尻焼猿人(しりやけのさるんど)」という狂名を持つ人物だった。 その正体は、何と日本美術史に残る「琳派」の大物、酒井抱一だった。(つづく) 主な参考資料:松木寛著『蔦屋重三郎 江戸芸術の演出者』日本経済新聞社 鈴木俊幸『蔦屋重三郎』平凡社
2025.05.30
野球評論家の佐野慈紀氏が「西武の復活」について語った。 佐野氏は昨季、歴史的な低迷から今季〝奇跡の復活〟を遂げているライオンズに「やっぱり、やっぱり、西武が強いんですよ! 去年、優勝候補に推して、さんざん周りに突っ込まれたんですけど!」と苦笑交じりに切り出す。 特に好調なのが投手陣だ。昨季、まさかの開幕11連敗を喫し、シーズン通して勝ち星がなかった高橋光成(こうな)も待望の勝ち星をあげた。 「光成投手も勝って、今井投手も無双状態。隅田投手もいい。投手陣が安定していて、打線がかみ合えば、いまの順位は決してブラフじゃないと思いますよ」 王者ソフトバンクがいまいち調子が上がってこない中で、西武にもチャンスがありそう。今シーズンは〝レオの乱〟から目が離せない!?
2025.05.30
親会社元副社長がインサイダー事件で有罪判決を受けた「アイ・アールジャパン(IRジャパン)」に対し、再び司法当局による捜査のメスが入った。証券取引等監視委員会が5月下旬、同社社員がインサイダー取引に関与したとして、金融商品取引法違反容疑の関係先として強制調査に乗り出したのだ。IRジャパンは上場企業の株主対応支援を手がける会社として知られるが、今回は、社員が未公表の重要事実を外部の知人に漏らし、不正な株取引に関わった疑いがあるという。知人は億単位の不正取引を行ったとされ、今後は監視委が刑事告発し、東京地検特捜部が立件する可能性が高い。 ▼証券取引等監視委が強制調査 関係者によると、IRジャパンの社員は、顧客が絡む公表前のIR(企業による投資家向け広報)情報を知人に漏えいするなどし、インサイダー取引に関わった疑いが持たれている。 IRジャパンは、東証プライム上場の「アイ・アールジャパンホールディングス」の子会社。上場企業の合併や買収、株式公開買い付けなどに関するコンサル業務にあたっている。 IRジャパンホールディングスを巡っては、元代表取締役副社長がインサイダー取引に関与していたことが判明。監視委の強制調査を受けた後、元副社長が東京地検特捜部に金商法違反(インサイダー取引推奨)容疑で逮捕・起訴され、23年10月に有罪判決が確定している。 IRジャパンは業務の性質上、社員や役員らが企業のM&Aなど未公表の機密情報に触れる機会が多いため、一般企業よりも高い倫理観が求められる。今回の疑惑は、顧客からすれば未公開情報が不正取引に悪用された形で、極めて悪質性は高い。 元副社長に有罪判決が下されて2年も経過していない中、社員による同種疑惑が浮上している現状は、会社としてガバナンスの欠如を浮き彫りにさせているともいえる。 元副社長の事件を踏まえ、効果的な再発防止策は打たれていなかったのか。今回の強制調査は、一社員による個人犯罪として実施されているが、会社グループ全体として重く受け止めるべきだろう。
2025.05.30
2020年から世界的に蔓延し、猛威を奮ってきた新型コロナウイルス。徐々に感染者数も減っていき、感染症法上の扱いが季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行してから5月8日で2年が経過したが、いまだに新型コロナの「後遺症」に苦しむ人は多い。激しい倦怠感から通勤ができなくなった大人や不登校になってしまった子供たちも後を絶たず、深刻な影響が続いている。行政による支援の拡充は必須だ。 ▼WHO定義は「別病気では説明できない症状が2か月以上」 新型コロナ後遺症について、世界保健機関(WHO)は「感染から3か月時点で別の病気では説明できない症状があり、それが2か月以上続く」と定義している。ただ、分かりやすい明確な症状として定められていないこともあり、病院によって「新型コロナ後遺症」と判断するか否かの判断が割れているのが実情だ。このため、身体があまりにだるくて病院に行ったものの、原因不明と判断された患者が病院を転々とし、数件目に診てもらった病院でやっとこさ「新型コロナ後遺症」と診断されたケースも少なくない。 ▼中高生は「思春期特有問題」で片付けられがち 特に影響が甚大なのは、子供たちだ。新型コロナ後遺症については、先述の通り医師によって判断にばらつきが生じがちなこともあり、厚労省などがまとめた全国的な患者数のデータはない。だが、患者グループらによると、小中学生や高校生で、急に朝起きられなくなったり強い倦怠感に襲われたりと、コロナ後遺症の疑いのあるケースは少なくなく、半年~数年単位で学校に行けなくなるという子供もいるという。病院によっては「思春期特有の問題」として処理し、コロナ後遺症と判断されず、不登校期間が長期化するなど深刻な事態も起きている。 コロナ後遺症を適切に診断するため、医療体制の充実が不可欠ともいえる事態となっており、国は全国規模で後遺症の実態調査に乗り出すべきだろう。 後遺症が治らないまま、登校できなくなったり通勤できなくなったりする期間が長期化すれば、高額な治療費など経済面でも苦しむ恐れが高まってくる。 治療費の補助も含め、国や自治体が後遺症患者の支援策を拡充していく必要がある。新型コロナウイルスの猛威はまだまだ終わりそうにない。
野球評論家の佐野慈紀氏が〝混セ〟をリードする阪神タイガースについて語った。 藤川新監督率いるタイガースは接戦が続くセ・リーグで安定した戦いぶりを続けている。 佐野氏は「ピッチャーが揃っているのはもちろんなんですが、やっぱり走力なんですよね。先の塁に対しての意識が高い」と話す。 「やっぱりピッチャーにとっては煩わしいものなんですよ。次の塁を積極的に狙われるというのは。元々、走る選手が多いチームですが、ベンチの考えが選手に伝わってると感じます」 走ることへの意識は「もしかしたら、前任の岡田監督の〝遺産〟かもしれませんね」と岡田前監督がチームに植え付けた意識の部分が大きいのではないか、という。 熱血ぶりが目立つ藤川監督には「ああやって感情を表に出して、チームを鼓舞する監督は〝闘将〟星野元監督以来じゃないですか。おとなしい選手が多いチームにはいいエッセンスになっているのでは」と語った
2025.05.28
ああ、排他的経済水域が10分の1の韓国についに追いつかれてしまうのか 水産大国ニッポン今や見る影もない (写真 高級魚ハマダイが日本の水産業の最後の砦か? Wikipediaより) コメと同様に日本の食糧安保への危機感が募る。日本の水産物生産量(漁業と養殖)は減り続ける一方で、世界では水産物の需要が増加したことで、輸入量も減るというWパンチに見舞われている。ところが、生産量が減り続ける日本とは対照的に世界全体では増え続けている。その理由は、漁業大国ノルウェーに見られる資源管理の徹底だ。国連食糧農業機関(FAD)の2023年の数字によると、日本の排他的経済水域(EEZ)は447万平方キロメートルと世界第6位の広さを誇るが、わずか48万平方キロメートルと日本の10分の1しかない韓国に水産物の生産量で肉薄されている。23年の統計だから今年すでに抜かれているかもしれない。ノルウェーにはすでに21年に抜かれている。ノルウェーのEEZも日本の半分しかない。23年の日本の生産量(漁業と養殖)は、かつての世界1位から11位と転落が続いているのだ。 韓国は日本と同様の条件下にある。だがなぜ韓国は増え続け、日本は減り続けているのだろうか。第一の理由は養殖業の伸びだ。85年時点では日本の養殖生産量は韓国より多かったが、06年に一気に追い抜かれた。第二には資源管理ができていないことで、これが日本漁業衰退の最大原因だ。ズワイガニ、ベニズワイガニ、ワタリガニなどの甲殻類は、右肩下がりに漁獲量が下がり続ける日本に対し、韓国は多少上下があるものの85年と比較してあまり減少していない。韓国は24年11月に日本のズワイガニ輸出に苦情を入れた。慰安婦問題のようなイチャモンではない。韓国ではズワイガニのメスの漁獲を禁止しているのに、日本からメスや基準に達しない小さなズワイガニ33トンが輸入されたという内容だ。韓国は、資源の保護を考えて卵を産むメスは漁獲していない。だが日本は漁獲している。ズワイガニはオスとメスで大きさも価値も大きく異なる。小さなメスを安く輸出し、韓国業者の競争力を削いだという指摘だ。米国やカナダなどでも獲ってもメスは海に帰し産卵させることで資源保護に役立てている。欧米やオセアニアなどの資源管理が機能している国々では、こういったいわば違法な水揚げによる資源の枯渇を防ぐ仕組みができている。スルメイカやハタハタ、イカナゴ、シシャモなどすでに獲れない魚種が出始めている。資源管理しないと、数年は良くても資源が減って漁が成り立たなくなっていく。 実はいま東京都で本マグロが年間40トンも水揚げされるようになっている。都内と言っても東京湾のはるか南、八丈島や三宅島、神津島などの伊豆諸島だ。神津島、大島、新島などでも本マグロは揚がっている。本マグロは、太平洋ではかつて資源が減少傾向にあったため、国際管理機関である中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)が関係国の漁獲枠を削減。この保護策が奏功し、親魚をはじめマグロ資源が増加してきた。これに伴い、24年のWCPFC年次会合では、30キロ以上の大型魚の漁獲枠が50%拡大された。高級魚・キンメダイも新島や神津島などで水揚げが順調に推移している。このほか、伊豆諸島で水揚げされるタカベや小笠原諸島のハマダイといった高級魚も「東京ブランド」の候補に挙がっている。だが、調子に乗って獲りまくれば、いつか来た道…になる。
2025.05.28
官房機密費 香村 それと内閣官房長官の時に、官房機密費というものを扱うわけですね。それで今、石破内閣において、いわゆる商品券の配布問題を巡って、いろいろ政治と金の問題がスキャンダルになって、それはまだ尾を引いてるというわけですけど、当時、官房機密費なんかは、平沢さんは具体的に…… 平沢 官房長官室の金庫に、現金が入っていたと思います。私は金庫の中まで見ていませんので詳しくは分かりません。官房長官はその金庫を管理していました。金曜日の夕方になると官邸の参事官、当時は厚生労働省から来ていましたが、その人が全部チェックしていました。足らない時は補充していたと思います。そのお金の使い道は官房長官の判断です。例えば、政治家だけでなく役所の人に対しても、海外に重要な仕事で行く時などは相応の額を出していたと思います。現金は法務省の関係者にもマスコミ関係者にも出ていたことがあったと思います。後藤田さん自身もいい情報を掴んだり、いい結果を出したりするにはある程度の金が必要だ。国のプラスになる場合には金も必要だ、という考えだったと思います。 香村 最近は、官房機密費は年間12億3000万とか言われてますけど、当時はどんなもんでした? 平沢 私は額は知りません。 香村 後藤田さん自身は自分で配らなくて、平沢さんとか他の人に“持ってけ”とかいう形で―― 平沢 他の二人の秘書官は知りませんけども、少なくとも私には指示がありました。官房長官から「気をつけて持って行け、直接本人に渡せ」と言われて風呂敷包みを運んだことはあります。中味は知りませんが、あとで届いたか否かを電話で確認していましたから、大事なものだったと思います。 香村 役所の秘書官は全部で四人だったんじゃないですか? 平沢 いや、そのうちの一人は後藤田さんの政務秘書官です。後藤田さんの政務秘書官の他に役所の秘書官が三人いて、私はその中の一人です。ですから秘書官は合わせると四人になります。役人の秘書官三人のうち、当番の日は担当の秘書官が後藤田先生が行かれる全ての場所に同行します。三原山の噴火の時、あの時は、私しか官邸にいなかった。三原山が大爆発したということで、後藤田さんがまず言ったことは、「今日中に大島にいる人を全員島外に避難させろ」ということでした。役人はみんなぶつぶつ言ってたけども、後藤田さんから言われたら仕方がないとわかっている。その後藤田さんが最後に言ったのは「責任は全部俺が取る」。これを言うから、役人はみんな安心して一生懸命やったのです。 香村 その官房機密費っていうのは、衆議院議長にも渡すんですか。国対委員長に渡す時もあれば、野党政治家に渡したりとか―― 平沢 これはわかりません。私はそれがお金かどうかも、中を見てないのでわかりません。金庫にいくらあるかもわかりません。ともかく国会でもし資金が必要となれば金は党から出るのでないですか。使途はね、例えば昔の官邸はものすごく開けっぴろげで、官房長官の秘書官室にマスコミが平気で入ってきて、自分の机のように電話をかけまくったりしてました。だから、マスコミは官房長官や秘書官が今、何をしているか、おおむね分かっていたと思います。 香村 官房機密費の原資は、外務省からも流れてきているということですね。 平沢 そのお金はどこかから持ってこなきゃならないわけです。どこから持ってきたか、それは私にはわかりません。 香村 田中角栄なんかは自前の金で配ってたということですね。 平沢 田中元総理は、いっぱい持ってますからね。 香村 結構、裏金も作って――(つづく)
ホストの本来の目的は女性客にお金を落としてもらうことだろうが、恋愛感情を悪用して多額の借金を背負わせた女性客に売春などをさせることは到底許されまい。悪質なホストの規制に向け、女性客に売春や性風俗店勤務を要求することなどを禁じる改正風営法が5月20日、衆院本会議で可決・成立した。改正法は6月下旬には施行され、悪質ホスト対策が強化される見込みだが、警察当局には厳格な運用が求められる。 ■借金まみれに 悪質ホストを巡っては、客の恋愛感情につけ込み、高額なシャンパンなどを次々に注文させて売掛金(ツケ)による借金まみれにする行為が社会問題化。女性客の中には10歳代もおり、規制のため法改正に向けた議論が進んできた。 改正法では、客の多額のツケを負わせないために料金に関する虚偽説明をすることや、客に抱かせた恋愛感情につけ込んで飲食させる行為、客が注文していないのに飲食などをさせることを禁止した。違反すれば、営業停止などの行政処分の対象となり、すでに警察庁は都道府県警に改正法を活用した取り締まり強化について指示している。 取り立て対策についても、ツケを払わせるために「払わないと実家に行くぞ」などと客を脅したり困惑させたりする行為を禁じた。さらに、料金の支払いのために売春や性風俗店での稼働を要求することも禁止し、違反した場合は罰則も設けた。 悪質なホストクラブを巡る警察への相談は後を絶たない。警察庁によると、昨年は2776件で、この3年で約700件増加。ホストから売春を迫られたなどのケースが多いという。 ■潜在化を警戒 今回の法改正は、ホストらへの牽制効果が期待されており、ホストクラブの適正な運営にはつながるはずだ。ただ、ある警察関係者は「売春などを迫る悪質なホストは潜在化していき、あの手この手で女性を言いくるめ、警察に相談させないようにするだろう」と警戒感を強めている。絵に描いた餅にならないよう、各都道府県警察による取締強化はもちろん、特に10代の若い女性客らが搾取の対象にならないよう、啓発事業も重要になるだろう。
2025.05.27
万博ルポ②『缶や瓶は持ち込めません』 パビリオンに並ばずに入れるラストチャンスの当日予約に、俺と母は奇跡を祈りながら夢洲駅に到着した。 「阿部寛のポスターや!ここで写真撮って!」と母はいきなりミャクミャクを無視して阿部寛の炊飯器の巨大な広告に大興奮!母にとっては阿部寛もパビリオンの一つなのだろうか。そのまま東ゲートへ移動して一時間程並ぶと、入口でセキュリティチェックスタート。 「お客様、ペットボトルは可能ですが缶や瓶は持ち込めません」 「えー!」 買ったばかりの缶コーヒーを没収される母。 「私がテロに見えるんかいな」と笑っていたが、見えなくもない。 ようやく中へ入ることになったが、同じタイミングで入った人は、ウォー!と全員走り出す!なぜ人はゲートを抜けたら走りたくなるのか。 一方、俺と母は抽選情報をスマホで見る為、一端、ベンチに座った。そして・・・最後の抽選にも外れた! 先ほどまでゲートで並んでいたので、ベンチが最初のパビリオンみたいだった。 (つづく)
2025.05.27
田中角栄を非常に評価 香村 ところで先ほど後藤田さんはハト派で、比較的社会党に近い考えというようなことおっしゃいましたけど、どうですか、防衛問題、外交問題をめぐって。中曽根さんはどちらかというと岸信介に近くて、結構サポートしてもらったようなことがあったらしい。GNP1%では三木武夫が固執したわけですけど。後藤田さんは岸信介、あるいは三木武夫に対してどういうような考えというか、関係性はどうだったんですか? 平沢 私は岸信介さんの奥さんは知っていますが、岸信介さんにはお会いしたことがありません。 香村 ただ、後藤田さんは、岸信介が安保闘争の時に総理だったことから、戦前の彼のイメージが悪すぎるから、安保も過激化したというような発言はされてますけどね。 平沢 そうですか。 香村 それと中曽根さんが総理になった時に「戦後政治の総決算」というものを謳ったわけですよね。それでその後、「日米の運命共同体」とか、「日本は不沈空母だ」発言をされてるわけで、これに対して後藤田さんがかなり反発されたわけですかね。 平沢 直接的には知らないですけど。ともかく防衛費はこれ以上増やすのはどうか。警察とか自衛隊は力を持ってるんだから、常に謙虚でなければダメだ。これが後藤田さんが言っていたことです。 香村 後藤田さんは、中曽根康弘と田中角栄というものを「出色の総理大臣」だと、非常に評価されてますね。 平沢 その通りです。特に田中角栄さん。大変に評価してました。田中さんの事件がありましたでしょ、ロッキード。あの時は捜査当局をずいぶん攻撃していました。捜査当局は部分だけで総合的に見ることができないとも言っていました。三木内閣は事件の徹底解明を掲げていましたが、この三木さんの対応についても大いに疑問を持っていたと思います。 香村 中曽根康弘も大変な政治家だというふうに評価してるんですけど、中曽根康弘と後藤田さんとの、この首相と官房長官の関係というのは何と言いますか、昔の総理大臣になぞらえると、佐藤栄作と保利茂みたいな関係ですかね。 平沢 よく言っておられたのは、中曽根さんは確か昭和16年の内務省採用で、後藤田さんが昭和14年です。役所は一年違ったら大変な違いで、少しでも後輩が前に出てはダメとされています。その先輩の後藤田さんが後輩の中曽根さんの下で働くことになるわけで、普通はありえないことですが、これが日本のためになるんだったらということで、自分は引き受けたということを言ってました。そういうこともあって、納得がいかないことを中曽根さんがやれば、自分は絶対に許さないし、その時は自分はいつでも辞める覚悟だと。 香村 モノの本によると、中曽根康弘が田中角栄と同じトイレ入っていた時ですね、中曽根康弘が田中角栄に「後藤田を貸してくれないか」と。派閥は違うんだけどね。田中派から引っ張って来るのを認めてくれないかということで、お願いした。それで田中角栄も逡巡しながら、最終的には「分かった。貸しましょう」ということになったというようなことらしいんですよね。それだけ中曽根が後藤田というものを、その才能というか人格というものをものすごく評価していた。 平沢 ともかく後藤田さんという人は、人事にかけては天才です。異論の人を大切にし、側近で仕事をする人を、「命をかけても自分はこの人のために働く」という思いにさせる。この点で後藤田さんのような人はなかなか他にいないといえる。中曽根さんからすると、後藤田さんが近くにいると極めて安心できる布陣になるから、自分としてはどうしても「後藤田さんが欲しい」となる。 香村 後藤田さんは後藤田さんで、中曽根というのは人使いが非常にうまいというようなことを語っていますね。例えば、行革の問題で土光敏夫(東芝元社長、経団連会長)さんを引っ張ってきて、国民的な行革ムードを高めたというようなことでね。人使いが非常にうまいというようなことをおっしゃってますね。
2025.05.27










