国境の守りと空白の地:外国人による土地取得と離島国有化の急務
2026/03/31
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今週は予定を急遽変更して、いま上映中の映画の紹介を(何しろ僕も1分くらい出ているものでwww)。 かつてアーチャリーという名で知られた麻原彰晃の3女、松本麗華のこの6年間を追いかけたドキュメンタリーで、監督は長塚洋。死刑やオウム真理教をテーマに撮っている人だ。 映画のチラシには「娘なことは、罪ですか?」とある。彼女はその属性ゆえに、小中学校に入れず、合格した大学からは入学を拒否される。銀行口座も作れない。そんな中で懸命に生きることを模索する。弟を殺された被害者と話し、その対談本を出したり、父の故郷を訪ね初めて親戚に会うが、3時間余り話した後、涙ぐむ(このシーンはジンとくる)。かと思うとボディビルの大会に挑戦したり、沢登りに勤しんだり。 我々が知らない彼女がこの中にいる。 6月22日までは新宿ケーズシネマ。7月5日から横浜シネマリン、11日から「あつぎのえいがかんkiki」をはじめ順次全国で。
2025.06.16
天明末期から寛政初期にかけて相次いだ天災や政変を背景に、戯作の作風が享楽的なものから次第に政治的批評・風刺がきいたものに変化してゆくのは、もともと移ろう人心に敏感な媒体だけに、ごく自然のなりゆきだったろう。 そこで版元の先頭を走るのはやはり蔦屋重三郎だった。ただし大河『べらぼう』劇中では平賀源内を通じて時の権力者・田沼意次と蔦重との同志的繋がりが描かれていたが、この先、幕府当局は一転して蔦重を力で「締め上げる」存在と化していく。 ここでは再び江戸城・幕府内に目を移して、この期間の政争の一部始終を見てみよう。田沼意次の10代将軍家治の嫡男・家基および直接の配下だった平賀源内の‶暗殺死″、その源内が先頭に立つはずだった蝦夷地調査隊についてはすでに触れた。 意次が積極的に進めた殖産興業政策は、悪役イメージとは程遠い。窮乏した幕府の財政再建のために、意次はコメの収穫高を上げること、貿易拡大のため開国することを構想した。その一環である蝦夷地調査団の目的は、新田開発の可能性や鉱物資源の有無の確認、ロシアの南下政策への対応、海産物の増産による長崎での貿易拡大だった。 蝦夷地の調査は少し先の1785(天明5)年から10カ月年かけて行われ、蝦夷地本島(現北海道本島)の新田開発によって実に583万石が得られると試算されている。当時の幕府直轄領の石高約400万石を大幅に上回っていた(つづく)。
2025.06.16
リクルート事件の捜査への疑問 香村 リクルート事件の時に後藤田さんは、「俺のところには未公開株は来なかった」というようなことはおっしゃってましたけど、自分にはなぜ来なかったと考えてたんでしょうか。 平沢 それは私にはわかりませんけど。少なくともあのリクルート事件は、捜査が本当に正しかったかどうかという疑問を多くの人が今なお持っています。あの事件は、政界全体が大きく揺れ動いた事件ですが、本当にあの事件の捜査は正しかったのかどうか。捜査当局の狙いは何だったのか。多くの人が疑問に思っています。 香村 あのリクルート事件で、藤波孝生が逮捕されて失脚するわけですけど。本命は中曽根康弘の秘書なんかがたくさん株もらってるわけですね、未公開株ね。本来はそちらに行ってもおかしくないのを、身代わりみたいな形で逮捕されたんじゃないかと。まあ、憶測があるんですね。 平沢 私は、藤波さんは気の毒だと思う。私は藤波さんからも聞き、藤波さんの秘書からも詳しく聞いていますが、聞いた限りで感じたことをいうと、誰か政治家を検察は挙げなきゃならなかったんで、そこで藤波さんを持ってきたということでないか。藤波さんは自分じゃなくて誰かが受け取っても、それについて自分に責任があるという人です。藤波さんはお前の責任だとする批判が来てもあまり反論しない人です、男らしくて。ですから、あの人はみんなからいいように利用されたと私はそう思っています。いずれにしろ一番清 廉潔白な人がターゲットになってしまった。立件しやすかったということでしょうが、何としても釈然としないものを多くの人が持っています。 香村 藤波さんはあの事件で失脚しなければ間違いなく衆議院議長にはなれましたね。 平沢 衆院議長じゃなく総理になった可能性もありました。 香村 総理になりましたか。 平沢 あの人は労働大臣とかやって、それでもうあと外務大臣とかそういう主要なポストをやり、そして最後は総理だと言われてましたから。あの人は派閥のようなグループを作っていましたからね。 香村 新生クラブ。 平沢 毎週木曜日の朝8時に新生クラブの部屋に議員が40~50人集まるんです。9時半頃までです。もう部屋は狭くて、多くの人は廊下にはみ出す。そのぐらい多くの支持者がいたんですよ。それだけの方が集まって藤波さんを応援していたんです。しかし、リクルート事件で藤波さんはそれまで投資してきたものを全部失ってしまった。 香村 早稲田の雄弁会らしいけど、雄弁家という感じはしませんでしたね(笑)。 平沢 あの人はなぜか雄弁っていう感じはしないです。 香村 しないですね。俳句とか文人的なとこは。 平沢 ほんとおとなしい方で、どこにいても……。藤波さんのかばん持ちでそばにいる時は、藤波さんはいつも何か考えてるから、あまりしゃべりかけない方がよいと言われ、私も話しかけることなく黙ってることが多かった。その黙ってる時に藤波さんは、俳句なんかを考えて。すごい文化人です。 香村 そういう派閥というか政策集団を作って、子分を養成する。そのためには一般の政治家、派閥の領袖は配下に金をばらまくわけですけど、藤波氏なんか、そんなにばらまいてましたかな? 平沢 いやまいてない。まいていれば私の方にも少しは来たでしょ。(笑) 香村 後藤田さんはそういう…… 平沢 金まくことはしなかった。普通、政治家の秘書になると、政治家からどさっともらうということをよく言うんですけど、それはなかったですね。後藤田さんとか藤波さんからは、ゴルフクラブとか洋服をもらったことはありましたが、キャッシュや商品券をもらうことはなかったですね。(笑)
2025.06.16
野球評論家の佐野慈紀氏が巨人の打線の「頼りなさ」を不安視している。 今季、開幕から勝ち星がつかず苦しんでいた戸郷翔征投手が8日の楽天戦(東京ドーム )で7回3安打無失点、2勝目をマークした。 すでに5月25日のヤクルト戦で今季初勝利をあげていたが、この試合は今季最長とな る7イニングを消化。佐野氏も「久しぶりにいい戸郷投手を見ましたね。これまではフォ ークの変化が早かったんですよ。それが、しっかりとベース前で変化していたので、これ から良くなっていくと思いますね」 チームも一時期のどん底期を脱した感もあるが、佐野氏は「まだまだ投手陣も打撃陣も 物足りなさはあります」と言う。 「投手だったらこの選手が引っ張る、打者だったらこの選手が引っ張るんだ、というもの がまだ見えてこない。エースが活躍していないと、現在調子がいい投手にも影響します」 と佐野氏。 最後は「打線に爆発力がないところが、いまの順位を表しているような感じがしますね 」と締めくくった。
2025.06.15
6月3日、韓国で実施された大統領選挙において、進歩派の李在明(イ・ジェミョン)氏が勝利 を収めた。この結果は、韓国の国内外の政治・経済情勢に大きな影響を与えると予想される。李 氏はこれまで一貫して進歩的な政策を掲げ、特に日本に対する批判的な姿勢を示してきたことで 知られている。しかし、現在の韓国を取り巻く安全保障環境や経済的課題、そして国内の政治的 バランスを考慮すると、李在明新大統領が過度な反日姿勢を貫くことは難しく、現実的かつ建設 的な対日外交が求められる状況にある。 李在明氏は、京畿道知事や城南市長としての実績を背景に、経済格差の是正や社会福祉の拡充 を訴え、幅広い支持を集めた。特に、若年層や中低所得層からの支持が厚く、進歩派の基盤を固 めた。しかし、選挙戦では保守派との熾烈な争いが繰り広げられ、李氏の過去の強硬な発言や政 策が議論の的となった。特に、歴史問題や対日関係をめぐる発言は、国内の保守層や中道派から 懸念の声が上がっていた。 李氏の勝利は、韓国社会の分断を反映している。進歩派は経済的平等や社会改革を求める声に 応える一方、保守派は安全保障や国際協力を重視する立場から、李氏の外交姿勢に注目している 。特に、若年層や中道派の有権者は、過度な対外批判やイデオロギー色の強い政策には冷ややか な反応を示しており、李氏がどのように現実的な政策を打ち出すかが注目される。 現在の東アジア情勢は、韓国にとっても厳しい安全保障環境を突きつけている。中国の海洋進 出は南シナ海だけでなく、東シナ海や黄海においても顕著であり、韓国の海洋権益にも影響を及 ぼしている。また、台湾海峡をめぐる緊張は、米中対立の激化とともに地域の不安定要素となっ ている。さらに、北朝鮮の核ミサイル開発は依然として解決の目途が立たず、最近では北朝鮮と ロシアの軍事的接近が新たな脅威として浮上している。このような状況下で、韓国は単独で安全 保障を確保することは難しく、近隣国との協力が不可欠である。 特に、日本との関係は安全保障面で極めて重要である。日韓両国は、米国を共通の同盟国とす る枠組みの中で、北朝鮮の脅威に対抗するための情報共有や軍事協力を行ってきた。2016年に締 結された日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)はその象徴であり、両国の安全保障協力の基盤 となっている。しかし、李氏の過去の反日的な発言や、歴史問題をめぐる強硬な姿勢は、日韓関 係に緊張をもたらす可能性は排除できない。 経済面でも、日本は韓国にとって重要なパートナーである。両国は半導体や自動車、電化製品 などの産業で競合しつつも、相互依存関係にある。経産省によると、日本にとって韓国は世界第3 位の輸出先であり、韓国にとって日本は世界第4位の輸出先であり、両国は経済的にも相互依存 関係にある。近年、韓国の若年層を中心に日本文化への関心が高まっており、K-POPや韓国ドラ マが日本で人気を博する一方で、J-POPやアニメ、ファッションも韓国で広く受け入れられてい る。このような文化交流は、両国の民間レベルでの結びつきを強化し、対日関係の改善に寄与し ている。 李在明氏が大統領として直面する最大の課題は、理想主義的な進歩派の理念と、現実的な外交 政策のバランスを取ることである。過度な反日姿勢は、国内の支持基盤である進歩派の一部を満 足させるかもしれないが、若年層や中道派からの支持を失うリスクがある。また、国際社会での 韓国の立場を弱め、特に米国との同盟関係にも影響を与える可能性がある。米国は日韓の協力を 重視しており、両国の関係悪化は米国のアジア戦略にも悪影響を及ぼす。 李氏は、歴史問題や領土問題を完全に棚上げすることは難しいものの、過度な対立を避け、経 済や安全保障での協力を優先すると考えられる。例えば、北朝鮮のミサイル発射への対応では、 日韓の情報共有が不可欠であり、日韓GSOMIAの維持・強化が求められる。また、経済面では、 グローバルサプライチェーンの安定化や気候変動対策での協力も重要である。これらの分野で日 本との協力を深めることは、韓国の国益に直結する。 李在明新大統領の対日外交は、韓国の将来を左右する重要な要素である。過度な反日姿勢は国 内の分断を深め、国際的な孤立を招くリスクがある。一方で、現実的な対日協力は、韓国の安全 保障と経済的安定を強化し、若年層や中道派の支持を得るだろう。李氏が過去の発言をどのよう に調整し、どのような外交政策を打ち出すのか、国内外の注目が集まる。日韓関係は、歴史的な 課題を抱えつつも、相互依存と協力の重要性が増している。両国が過去の対立を乗り越え、未来 志向の関係を構築できるかどうかは、李在明政権の外交手腕にかかっている。現実を見据えた柔 軟な姿勢が、韓国と日本の新たなパートナーシップを築く鍵となるだろう。
野球評論家・佐野慈紀氏が阪神タイガース・佐藤輝明選手の好調理由を分析した。 サトテルの打棒がタイガースを勝利に導いている。 本拠地・甲子園球場で行われた8日のオリックス戦。3点リードで迎えた8回に森下の 申告敬遠で1アウト満塁となったところで佐藤が打席に入ると、2球目の高めストレート をバックスクリーンに17号満塁弾を放った。試合も8ー1で勝利した。 佐野氏は「佐藤輝が覚醒してますね!」と絶賛する。 「昨年までと違って、今年は率も上がってきているんですよ。振り回すというイメージが あった方もいるかもしれませんが、コンパクトにアジャストした結果、ホームランも出て いる」とその進化を解説した。 チームは交流戦首位、ペナント争いでも2位DeNAを離し、首位を快走している。 「阪神は初カードの日本ハム戦がどうなるかな、と見ていたんですが、乗り切りました。 死角がないのでこのまま行くかもしれませんね」 トラの独走が見えてきた。
2025.06.13
宅配代行サービス「ウーバーイーツ」の配達員が、働く上で必要なアカウントを運営会社「ウーバーイーツジャパン」(東京)から一方的に停止されたなどとして同社に損害賠償を求めて東京地裁に提訴した後、同社が解決金を支払う形で4月に和解していたことが判明した。運営会社によるアカウント停止を巡っては、「一方的に停止された」とする配達員が続出しており、ウーバー側が非を認めて金銭の支払いに応じるのは異例だ。他の配達員のケースへの影響も必須といえる。 関係者によると、ウーバーイーツジャパンは、配達員に稼働するためにアカウントを付与し、アプリで管理している。配達員の健全な労働を担保する狙いとみられ、指針で定めた不適切な行為などが確認された場合、アカウントは停止される仕組みとなっている。ただ、配達員側に全く落ち度がないとみられるケースでも、ウーバー側が一方的にアカウントを停止したとされ、配達員にとっては死活問題となっていた。 今回の和解したケースでは、配達員として稼働していた都内の男性は2022年、心当たりがないのに、ウーバー側から一方的に通知されてアカウント停止に至った。男性はその後、ウーバー側にアカウント復旧を求めても応じてもらえなかったため、代理人弁護士を通じて対応を要請したところ、ウーバー側は、アカウント停止はシステムの誤検知が理由だったとして、アカウントを復活させた。 だが、男性がアカウント停止期間の数か月の間に働いていれば得られたはずの逸失利益の支払いにウーバーが応じなかったため、男性は損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。ウーバー側はしばらく争っていたが、一転して今年3月に和解案に応じる姿勢となり、解決金を支払う内容の和解が4月に成立したという。 立場の弱い配達員の主張について、ウーバー側が責任を認めて解決金を支払った意義は小さくないだろう。ただ、アカウント停止が不当だと主張する配達員は他にも多くおり、ウーバーは引き続き、今回の和解案件以外についても、誠実な対応を尽くすべきだろう。
2025.06.13
憲法は合憲と主張 香村 後藤田さんは北方領土問題とか沖縄問題、例えば日米合同委員会の問題ですね。それに対して、ご意見がありましたか? 平沢 アメリカに対して、ある程度、自立性というか独自性を持てというか、要するにアメリカのポチにならないで、しっかり独立国日本としてやっていかなければだめだと。これはいつも言ってました。今の時代から、あの時代を見たら余りに日本はアメリカに忠実過ぎると思うでしょう。 香村 後藤田さんとしては、改憲問題はどういうふうに考えていたんですかね? 憲法改正について。 平沢 当時は憲法改正を言っただけで閣僚の首が飛んだ時代です。直接には聞いてませんが、後藤田さんは間違いなく、安全保障の問題では現行憲法支持だと思います。後藤田さんからすれば、憲法九条などはよくできている、大変な犠牲を払って、日本はやっといい憲法を持ったという考え方でないですか。日本は最近、敵基地攻撃や集団的自衛権、武器の輸出など、今まで行われていた規制がどんどんなくなっています。どれ一つとっても、後藤田さんならば目玉を三角にして怒ったでしょう。私は警察を辞めて、政治家になってからも後藤田さんのところに定期的に行ってましたが、既にこの時に後藤田さんは「戦前に戻りつつある。これからの日本はどうなるのかね」と盛んに言ってました。 香村 田中角栄と少し時代認識が似てると思うんですけど、結局、自分たちの世代で戦争を知っている人間がまだ生きてる時代であれば、戦争が起こる可能性というのは、まあ少ないだろうと。ただ戦争を全く知らない世代がたくさんを占めた時には、少し心もとないというような発言をですね。 平沢 規制がないとブレーキが効かなくなる、日本は憲法に関係なく、外国と同じように戦争をする国になってしまうということを心配していたのではないですか。後藤田さんだけじゃなくて、あの宮澤喜一さんなんかもそうでしたけど、戦争を知らない世代がこの国の舵取りをするようになった時に日本は本当に大丈夫かなと心配していた。今の若い人はみんな戦争を知ってるわけじゃない。ゲームで知っているだけだと繰り返し言っていた。 香村 あの方にとっては、もう知らないこともないぐらい情報通だと思うんですけど、いわゆる核の密約というものについてはどう考えていらっしゃったんでしょうか? 平沢 私はそこを聞いたことはありません。推測するに、そういう密約みたいなものは、もしあったということであれば、今と情勢が大きく違うから何とも言えないが、それでも後藤田さんは烈火のごとく怒ったでしょう。 香村 本人の認識としては、核は密約があると。 平沢 そのこと自体より、密約したりする体質があり、それがどんどんエスカレートするということを心配したのでしょう。歯止めがあって、そこから一歩も出ないように押さえ込んでいても、簡単にそれを崩すことができてしまう。前に進むことができるとなると、規制の意味は全くなくなる。それを防ぐには実効性のある歯止めをかけなきゃならないし、その歯止めを緩めるときは、公の場で、きちんとした議論を経て、そして国民の支持を得てやらなきゃならない。それをしないで一部の人だけでやると、また戦前みたいなことになってしまうんじゃないかということを大変心配していたといえます。 香村 先ほど世論調査を非常に重視されていたということですね。つまり世論、国民の意見がどこにあるかということを把握すると、これに基づいて世論に訴えていかなくちゃだめだという―― 平沢 参考にしてるんですね。世論調査だから必ずしも100%正しいわけじゃないけど、これを極めて重く受け止めて、内調から情報提供を受けていたということです。
2025.06.12
実は、蔦重が手掛けた黄表紙の代表作『江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)』の作者・山東京伝は、絵師・北尾政演の戯作者としてのペンネームである。同書は執筆も挿絵も京伝が手掛けたものである(以降は山東京伝の名で記す)。 実際の京伝はイケてない主人公・艶二郎とは正反対、長唄・三味線もうまい美男で、吉原での遊びが高じて月4~5回しか帰宅しない遊び人として名を馳せた。妻と死別した後、2度も遊女を身請けしている。このドル箱作家であり売れっ子絵師であった京伝は、その後も10歳以上年上の蔦重とともに長く歩んでいくことになる。 ところで、天明期は日本も江戸も、絶好調の蔦重やその周辺のように元気一辺倒の時代では全くなかった。それどころか、三大飢饉の一つ・天明の飢饉を始めとした様々な天災、そして政変や事件に見舞われていたのだ。以下に列挙してみよう。 1783(天明3)年:浅間山の噴火、天明の飢饉の始まり 1784(天明4)年:老中田沼意次の嫡男・意知殺害 1785(天明5)年:超インフレで一般庶民の生活困窮 1786(天明6)年:田沼意次失脚。10代将軍家治死去、家斉11代将軍位に就く 1787(天明7)年:江戸を始め、全国で打ちこわし多発。松平定信が老中首座に、田沼意次死去 老中・田沼意次が権勢を誇った天明の時代が一転し、松平定信が権力を握る質素倹約と緊縮財政の寛政期に入るまでの世相は、黄表紙を手掛ける蔦重にとってはビジネスチャンスでもあった。(つづく)
2025.06.12
社会の木鐸たる新聞社には強い公共性・公益性が求められ、それだけ社員の社会的責任は重いといえる。にもかかわらず、毎日新聞グループホールディングス元内部監査室長の高倉友彰・元社員(4月に懲戒解雇)は6月5日、10歳代の少女に現金を渡してわいせつ行為をしたなどとして児童買春・ポルノ禁止法違反で東京区検から東京簡裁に略式起訴された。高倉氏の事件は自首で発覚したことから、警視庁は逮捕せずに書類送検にとどめていたが、社内の風紀を取り締まる内部監査室長時代の犯行というから驚かざるをえない。警視庁や毎日新聞の一連の対応は適切だったのか。 ■警視庁は逮捕せず書類送検 事件が起きれば、捜査機関は法と証拠に基づいた対応を進め、特定した容疑者を逮捕するかどうかは、主に逃走・証拠隠滅の恐れがないかなどを中心に判断する。今回の事件では、高倉氏は内部監査室長だった2024年9月、少女にわいせつな画像を撮影させてスマホに送らせたほか、現金を渡して東京都内のホテルでわいせつ行為におよんだとされる。 捜査関係者らによると、本人が自首した上で容疑を認めていたことから、警視庁は逮捕せずに任意捜査を進め、容疑が固まった段階で書類送検した。 任意捜査とはいえ、事件の性質上、警視庁はスマホの履歴や残された画像など全て徹底的に調べただろうが、やはり容疑者を逮捕して身柄を拘束しない任意捜査には限界があるのも事実だろう。 高倉氏は、大手新聞社に社員で、さらには50歳代の内部監査室長という社内のコンプライアンスを担う重要なポストに就いていた人間だ。まともな思考回路であれば、児童買春などの犯罪に手を染めることは考えられず、背景にはどんな事情があったのか、本来は逮捕した上で徹底的に捜査を尽くすべきだったのではないだろうか。罪名から常習性が疑われるのも言わずもがなだ。 ■新聞社としての矜持や自覚なし 毎日新聞の対応も適切だったとは言い難い。高倉氏を懲戒免職にした上で簡単な謝罪コメントを公表しているが、単なる若手一社員の不祥事ではなく、コンプラ責任トップ犯罪だということを忘れていないか。まだモノの分別がつかない10歳代の少女をターゲットにした悪質な犯罪であり、本来は然るべき立場の人間が記者会見で謝罪し、説明責任を尽くすべきだったはずだ。毎日新聞には報道機関としての矜持や自覚がもはやないのだろうか。他社を批判することなど到底許されない。
2025.06.12









