国境の守りと空白の地:外国人による土地取得と離島国有化の急務

 日本の安全保障が多角的な脅威にさらされる中、とりわけ深刻な懸念として浮上しているのが、外国人や外国資本による重要土地の買収問題である。北海道の広大な森林、水源地、さらには自衛隊基地や米軍基地に隣接する土地が、不透明な背景を持つ資本によって次々と取得されている現実は、国家の主権と国民の安全に対する静かなる侵食と言わざるを得ない。2021年に成立した「重要土地利用規制法」は、注視区域や特別注視区域を指定することで一定の抑止力を期待させるものであったが、その適用範囲や実効性には未だ課題が多く、法の網目を縫うような買収工作が絶えないのが実情である。 この問題において、最も脆弱かつ緊急を要するフロントラインが「国境離島」である。日本は広大な排他的経済水域(EEZ)を保持しているが、その根拠となる離島の多くが管理不全の状態に置かれている。登記簿上の所有者が不明であったり、相続放棄によって実質的な管理者が不在となっていたりする土地は、外国資本による「点」の支配を許す絶好の隙となる。もし、国境付近の無人島や離島の一部が敵対的な意向を持つ主体に取得され、合法的な私有地として拠点化されれば、そこは日本の法的権限が及びにくい「安全保障上の空白地帯」へと変貌する恐れがある。  したがって、日本政府が最優先で取り組むべきは、所有者のいない、あるいは所有者が特定できない離島の迅速な国有化である。現行の民法や不動産登記法、あるいは所有者不明土地法に基づいた手続きでは、権利関係の整理に膨大な時間を要し、刻一刻と変化する地政学的リスクに対応しきれない。国境離島については特例を設け、一定期間の公告を経て所有者が名乗り出ない場合には、国家が強制的に収容・管理できる強力な法的枠組みを構築すべきである。これは私有財産権の尊重という民主主義の原則と、国家存立の基盤である領土保全という至高の命題をいかに調和させるかという問いに対する、現実的かつ断固とした回答でなければならない。 さらに、国有化は単なる手続きで終わってはならない。国有化した後の島々に海洋観測装置や通信設備を配備し、自衛隊や海上保安庁による監視・巡回を常態化させることで、名実ともに「実効支配」を強化する戦略が必要である。土地を守ることは、そこにある資源と海域を守ることに直結する。土地取得問題に対する防衛策を強化し、離島の管理を国家の手に取り戻すことは、次世代に平和な国土を引き継ぐための最低限の義務である。今、政治に求められているのは、法の不備を嘆くことではなく、主権の空白を埋めるための迅速かつ果断な執行力である。 (ジョワキン)
政治•経済

2026/03/31

最新記事

尖閣諸島を開拓した日本男児
尖閣諸島を開拓した日本男児

私財を投入し村までつくった偉業を忘れるな 沖縄県石垣市の尖閣諸島は、近年、海底に眠る豊富な鉱物資源などの存在が明らかになったことから中国が領有権の主張を強めると同時に、同国海警局の大型艦艇による領海侵入が常態化している。だが、この海域は、古くから八重山地域の漁師たちの漁場として栄えてきた日本固有の領土だ。  「日本政府が、『尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的にも国際法上も明らか』」と断言できるのは、かつて古賀辰四郎という人物が、私財を投入して、この列島の開拓に人生を注いだ歴史的な事実があるからです。辰四郎は1856年、筑後国(現在の福岡県)に生まれた。82年になると、事業で得た資金を元手に当時未開の孤島であった尖閣諸島の開拓に乗り出します。日清戦争が終わった95年、台湾が日本領となったことを契機に、政府は尖閣を沖縄県に編入することを閣議決定。辰四郎に尖閣諸島の30年間の無償貸与を認めたというのがその歴史です」(歴史問題に詳しいライター)  辰四郎は魚釣島にカツオ節工場やアホウドリの羽毛加工工場、肥料工場などを次々と建設していった。同時に多くの従業員も来島し、最盛期には魚釣島・南小島・久場島に合計で280人以上の人々が定住し「古賀村」と呼ばれるまでに発展した。  これらの功績から辰四郎は沖縄の人々から「産業の父」と呼ばれ、1909年には藍綬褒章を受章。18年に63歳で死去した。石垣島には彼を称える「古賀辰四郎尖閣列島開拓記念碑」が残されている。尖閣が明確に日本領である根拠を残した彼の後世への貢献は、計り知れないものといえるが、それも風前の灯火だ。

社会•事件

2024.12.18

なぜ、学生が103万円で働かなくてはいけないのか?
なぜ、学生が103万円で働かなくてはいけないのか?

「野党各党は壁をとっぱらえとかいうが、根本おかしいと思う。なぜ学生が103万円まで働かないといけないのか」と宣った政治家がいる。自民党の政調会長である小野寺五典衆議院議員である。「授業料の減免を受け、大学構内の寮に住み、奨学金とバイトで生活費を捻出した。  だからこそ、学生には学業に専念できる国の支援が必要と思っている。学生には安心してさまざまな活動に励み、視野を広げて社会人基礎力を磨いてほしい」と主張した。札幌の講演会での発言であるが、この発言が大いにバズっている。小野寺五典議員のXは瞬く間に50万回以上が閲覧され、2千人以上の反論が投稿される事態となっている学費無償化も実現せず、給付型奨学金も不十分である現状を知りながら放置し、衆院選での国民民主党の基礎控除額の見直しを図る政策が国民の大きな支持を受けるとみるやこのようなことを平気で言いだす。小野寺五典議員はそのようなことを言うのだったらもっと早く実現していればよかったのではないか。衆院選の大敗北以前にはいつでも実現できるだけの勢力を誇っていたのだから。  そうは言うものの、筆者は大学授業料の無償化や給付型奨学金には否定的である。未だに社会は学歴重視。学歴が必要だと考える者の多くが「社会的信用やステータスアップ」。   「学歴で判断する企業の多さ」などを理由に挙げる。大卒の生涯賃金と高卒の生涯賃金では大いに違う。男性は3千万円、女性は6千万円も差が開く。(労働政策研究・研修機構)大学の授業料が4年で500万円だとして凄まじい高収益を生んでいることになる。なにも大学授業料無償化をしなくても十分に元は取れる。  生まれた家庭の経済的な格差を埋める為としての給付型奨学金も必要ない。人的資本形成と大学での高等教育は関係ない。貸与型奨学金の充実を図ることで十分である。貸与型奨学金を利用した者は多額の借金を背負わされた状態で社会に出ることとなるから、その負担を解消する、または軽減するべきだという理屈もしっくりこない。社会に出て学費として背負った借金ですら返済が困難になるような所得しか得られない大学なんて行く必要があるのか。もしくは、そのような状況に陥るような収入しか得られない会社にしか就職できない大学に行く必要があるのか。  大学の授業料なんてものは投資のようなものであり、投資はその投資によって得られる効果を見極めて行うもののはずである。定員割れの大学もあるが、そのような大学には公的資金を支給するべきではない。あと、推薦入試やAO入試に給付型奨学金も貸与型奨学金も馴染まない。  いずれにせよ、小野寺五典議員は大学教育が私的な自己投資であることを理解していない。大学教育が労働生産性に寄与することがないということはIMFの調査でも明らかになっている。国民の所得向上に関する見直しと自身の苦学生自慢を同一視するのはもってのほか、小野寺五典議員のみならず、これまで多くの自民党政調会長の認識がプアだから我が国の富が失われ弱体化したのだ。(紅 良作)

政治•経済

2024.12.18

追跡スクープ 39年前に取り逃がした男をついに逮捕 その2
追跡スクープ 39年前に取り逃がした男をついに逮捕 その2

 ところで、人気アウトロー系YouTuberの懲役太郎(58)が、「デイリー新潮」の中で、後藤に会っていたと語っているが、その時期というのが、事件が起きてから3年ほど経過した頃のことだ。  その頃、懲役氏は愛知県にあった山口組とは別組織の3次団体で組長の運転手をしていたという。愛知県というのがこのレポートのミソだ。  当時弘田組系菱心会の竹内照明組員(現:三代目弘道会会長、六代目山口組若頭補佐)は、竹中組長暗殺の報復部隊を結成し、そのリーダーに就いた。  まだ20代半ばの年頃時代だ。報復部隊は、まず後藤組若頭の知人を拉致し、津市のホテルに監禁した。その身柄を餌に、若頭本人を呼び出して拳銃を突き付け、黒いセドリックに押し込んで拉致する。  「後藤組の若頭に後藤の居場所を吐かせるべく拷問を繰り返したが、当人は口を割らなかったという。後藤は、竹中四代目が射殺されてから1ヵ月も経たない1985年2月23日、山口組本部の岸本才三組長宛に詫び状を郵送しています。≪今般、私達の犯したことで山口組に多大な迷惑をかけたことをお詫び申し上げます。また、世間に不安を巻き起こしたことを反省し、後藤組一同カタギになります≫。  警察にも解散届を提出して、若頭らの開放と引き換えに自首するはずだったのですが、そのまま逃走、行方をくらました のです」(業界事情通)。  その後、2年ほどは様々な噂が流れたが、どこかで捕まって殺されたとか、死んだという噂が出た時点から、それ以上の話は湧き出なくなり、山一抗争も忘れ去れていく。  報道によると「今後、事件について(後藤から)任意で事情を聞くことはできる」(9月3日付読売新聞)そうだが、竹中射殺事件の担当である大阪府警や警察庁にとってはいまさら何を聴取する?という心境だろう。  後藤の突然の逮捕劇に、一番驚いているのは、弘道会関係者かもしれない。懲役氏の話が事実なら、追尾していた後藤栄治は愛知県内にいたのだから。  「灯台下暗し」である。

社会•事件

2024.12.17

核抑止力の願いは絶たれたか
核抑止力の願いは絶たれたか

ノーベル平和賞受賞で「核の傘」は封印?  被団協(日本原水爆被害者団体協議会)がノーベル平和賞を受賞した。平和賞を決めるのはノルウエーで、同国は「第2次大戦の連合国共同宣言に署名した国」だ。  共同宣言は、第2次大戦の連合国を正式に結成する主要な条約だが、ノルウエーは、アメリカの広島・長崎への原爆投下に対し、否定のコメントを何らしていない。平和賞の政治性の強さは衆知の事実で、2009年には米国の現職大統領だったオバマが、単に「核なき世界」という演説をしただけで、それ以外何の平和実績もないのに平和賞を受賞したことでも明らかだ。 「それから半世紀前の1974年には、日本の佐藤栄作元首相が受賞しています。授賞理由は、元首相が首相在任中の1967年に『核兵器を持たず、作らず、持ち込ませない』という非核3原則を提唱したことでした。1960年代というのは、中国が核武装を本格化した時期で、日本もそれに対応して核武装をすべきとの議論が内外に沸き起こっていました。佐藤元首相は中国の核武装を否定したかったのですが、当時、米国の核兵器が日本に持ち込まれていたのは衆知だったのです。が、米ソ冷戦が終了で、米軍は日本に核を持ち込む必要はなくなり、非核3原則は文字通り忠実に守られるようになったのです。以後中国は核大国化し、東アジアに深刻な脅威をもたらしています」(外交関係者)  現在日本に米国の核兵器を配備すべきという核共有の議論が起きている。その最中に被団協が受賞したのは、国際政治上の巨大なグローバル勢力が影響しているとみて間違いない。  「石破新首相は総理就任直前に米国のハドソン研究所に論文を寄稿して、核共有を検討すべしとの考えを明らかにしていたのですが、総理就任が決まってからはトーンダウンし、今回の受賞で事実上、封印せざるを得なくなったでしょう」(同)  中国、ロシア、北朝鮮が核軍拡を進める中で、東アジアの核抑止力を維持する唯一の方策が封印されたわけで、石破政権が仮に短命に終わったとしても、次の政権がノーベル平和賞の威光を無視して核共有の議論を進めることは困難になった。

社会•事件

2024.12.17

北九州市・小倉のマックで中学生殺傷事件 官民一体で飲食店も防犯強化を
北九州市・小倉のマックで中学生殺傷事件 官民一体で飲食店も防犯強化を

 家族連れや子どもからお年寄りまで訪れる飲食店で、まさか殺人事件が起きるとは誰も想定していなかったかもしれない。北九州市小倉南区のマクドナルドで12月14日夜、何者かに中学3年生の男女2人が刺され、女子生徒が死亡した。塾帰りで最後尾に並んでいたところを襲われた2人。公開されている犯人像の情報は「身長1メートル70センチくらいの40歳代くらいの男」で、生徒2人との接点は見つかっておらず、無差別殺傷事件の可能性が高い。亡くなった女子生徒や遺族、学校関係者の無念や衝撃は計り知れない。福岡県警による早期の犯人検挙はもちろんだが、「まさか」の事態に備え、ファストフード店やファミレスなど飲食店での防犯対策の強化が迫られている。 ▼無差別狙いか  多くの客が訪れる平穏なはずの飲食店チェーンでの凶行に世の中に衝撃が走った。福岡県警の発表などによると、男はわずか30秒程度の間に2人を刺して逃亡。県警は小倉南警察署に91人態勢の捜査本部を設置し、男の行方を追っているが、16日17時現在では、男も犯行に使われた刃物も見つかっていない。 犯人が生徒2人のみに狙いを絞っていた可能性は否定できないが、命に別条はないとみられる男子生徒は救急搬送時、刺した男について「知らない人」と説明したといい、県警は店に侵入した男が最後尾にいた2人を無差別に刺した疑いが強いとみている。 無差別殺傷事件というと、2008年6月に秋葉原の歩行者天国で17人が殺傷された通り魔殺人事件など、多くの人が行き交う繁華街や駅などでの「通り魔」という印象が強いだろう。歩行者天国での事件も想定外の惨劇だったが、食事や軽い飲食目的で誰もが出入りしやすいファストフード店での殺傷事件は、まさに「死角」だったともいえる。 大型ショッピングモールなどの場合、フードコートも含めて警備員が巡回にあたるのが一般的だ。ただ、普通の飲食店チェーンでの強行犯への対策となると、防犯カメラやレジ付近の緊急ボタンなど最低点の防犯設備はあるものの、アルバイトの従業員らの意識も含めて十分とは言い難いのが実情だ。もっとも、飲食店チェーンは客の出入りが激しく、全ての客を疑ってかかるのは不可能だろうし、出入り口に常に警備員を置くといった対策は人件費などとの兼ね合いからも現実的ではない。 ▼警官による定期巡回  今回の事件では、被害者も店員も含めて誰にも落ち度はなく、店側が防犯対策について責任を追及されるような話でもない。SNS上には事件に関する臆測も飛び交っているが、無根拠の情報を発信することは許されないし、飲食店チェーンにおける現状の防犯対策の不十分さをことさら批判するのはもちろん筋違いだろう。 ただ、生徒2人は客として並んでいたところを襲撃されており、被害者も店員らも完全に「無防備」の状態だったのも事実だ。ファストフード店やファミレスももちろん、人気飲食店など、大勢の客が集まる店は、「まさか」への警戒をどうすればいいのか。警官による定期的な巡回なども含め、官民一体となった対策強化が求められる。

社会•事件

2024.12.16

追跡スクープ 39年前に取り逃がした男をついに逮捕 その1
追跡スクープ 39年前に取り逃がした男をついに逮捕 その1

「灯台下暗し」で山口組弘道会もビックリ?  9月2日、長崎県警は、長崎県松浦市の元市議会議員に対する名誉棄損容疑で、同県諫早市に住む無職の男性(75)を逮捕した。この男性は、1985年に山口組四代目竹中正久組長、同組若頭・中山勝正、ボディガードとして帯同していた山口組系南組組長・南力ら3人を射殺した殺人容疑で指名手配され、その後39年間も逃亡を続けた「後藤栄治」(本名:宮本榮治)だった。  竹中四代目射殺事件をおさらいしておこう。  1984年6月、山口組は三代目組長・田岡一雄亡き後に跡目争いが起こり、四代目組長になった竹中正久の襲名に反発した山広組山本広組長らが山口組を割って出て一和会を結成した。この一和会の中核組織である山広組若頭だったのが、同組傘下の後藤組組長だった後藤栄治である。  「事件が起きたのは、1985年1月26日のことです。暗殺には、2系統から19人のヒットマンが合流して『暗殺部隊』を形成したのですが、後藤はそのリーダーでした。竹中四代目が囲っていた大阪府吹田市内にある愛人のマンションの部屋を突き止め、その2階の1部屋をアジトとして借りていたのは、一和会でも後藤とは別組織の組長でした。後藤は、その組長に直談判し、ぜひとも自分に殺害実行を譲ってほしいと懇願し、この組長は申し出を承諾、アジトをはじめ武器を提供したのです。結果この組長は、もうひとりの指示役と認定され、暴力団発砲事件の量刑が軽かった当時でも死刑が求刑され、無期懲役の判決を受けました。後藤については前出の3人を射殺した事件の指示役ですから、求刑されたとすれば間違いなく死刑だったでしょう。この事件で実行犯に襲撃を指揮した山広組内同心会会長の長野修一と一和会系悟道連合会会長・石川裕雄は、無期懲役の実刑判決を受け、長野は熊本刑務所に、石川は旭川刑務所に服役中です」(ヤクザライター)  当時、殺人の公訴時効は25年。1985年発生の殺人事件は、2010年に時効となるが、この年の4月27日、「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」が成立・同日公布され、殺人罪の時効が廃止されている。事件がもし3ヵ月後だったら、後藤は一生追われる身だった。  「分裂当初、山口組の構成員は約5000人、対する一和会は約6000人と数的優位にあったもの一和会側の有力組長らが次々と引退し、組織は弱体化した。そこで起死回生の一手として企てたのが竹中四代目の殺害計画だったのです。結局1989年3月になって、山口会長が自らの引退と一和会の解散を警察に届け、山口組に謝罪し抗争は終結しました」(同)。  山一抗争は映画や出版物になって今やレジェンド物語となっている。後藤や長野、石川は俳優が演じているが、中でも石川は、極道の間では英雄視されている。  「ヤクザを辞めてカタギになりますと一筆書けば仮釈放になるのに、それを書かず生涯極道を貫く姿勢」が極道たちの胸を打つという。名古屋を本拠とする竹中四代目山口組傘下、弘田組の弘田武志組長は、山口組と一和会との義理に悩んだが、「断固山口組に残るべし」との司忍若頭(現:山口組六代目組長)の進言を聞き入れ、引退を決意した大物組長の一人である。その後、苦渋の選択をした弘田組長の意志を継承し、司若頭が立ち上げたのが現在の弘道会だ。(その2に続く)

社会•事件

2024.12.16

セクハラに耐える女性経営者
セクハラに耐える女性経営者

スタートアップ企業の危ない現実 今年7月「過去1年間にセクハラ被害を経験した女性起業家が 52・4%」というインターネットによるスタートアップ業界の現状につい ての調査結果が発表された。 回答した女性153人のうち47・7%、女性起業家に限定すると 52・4%が「過去1年以内にセクハラ被害を受けた」と回答したのである 。被害の内容は不適切な発言や身体的接触のほか、望まない関係や見返りを 強要される「対価型セクハラ」が30%に上った。ザックリ言えば、「カネ を出すからやらせろ」という時代劇に登場する悪徳高利貸しのような言動が 乱立している。 「スタートアップ」は革新的なビジネスを生み出そうとするため、リスクを 取って短期間での成長を目指す。そのため金融機関よりも個人投資家やベン チャーキャピタル(VC)などから資金を調達するのが一般的だ。 「業界内で著名な個人投資家から、『投資するから月100万円で愛人関係 を結ぼうよ』と言われたというケースをみると、女性CEOが準備していた事 業計画書もろくに見ずに、いきなりこう切り出されたという話や、会社経営 の窮状を訴えた際、『500万円出すからやらせろ』と言われたケースもあ ります」(カウンセラー) スタートアップは投資家からの資金調達を繰り返しながら成長し、ほぼ 10年でIPO(新規上場)や事業の合併・買収(M&A)を目指すが、ここま でこぎつけられるのはごく一部。その入り口で思わぬ壁にぶつかるというの は日本経済にとってマイナス以外の何物でもない。 そんな折り、女性起業家の支援を事業とする国内VC専業最大手のジャフコ グループの社内でセクハラ事件が起きた。 「被害を受けたのは女性契約社員で、10月11日に代理人を務める2人の 弁護士が記者会見を開きました。それによると19年12月、同社オフィス 内で開かれた忘年会の後、帰宅しようとした女性をジャフコ幹部の男性Aが『 もう帰るのかよ』と呼び止め、女性のマフラーで首を絞めた。男性社員Bはそ の間に女性の体を触るなど強制的にわいせつ行為に及んだのです。女性は会 社の人事担当に被害を通報し、セクハラと認定されたAについては、5営業日 の出勤停止と出勤停止期間中の無給。Bには減給という処分が下ったのです 」(同) 国が投資額を2027年度までに10兆円規模にすると打ち出す「スター トアップ5カ年計画」など、本格的な支援が始まるなかで、こんなことが起 きているようでは、日本経済は停滞したままだろう。

社会•事件

2024.12.16

連載小説 「大阪ロマンボーイズ」第4回 坂本雅彦
連載小説 「大阪ロマンボーイズ」第4回 坂本雅彦

トルコを旅行中のある日、こんなことがあった。 「おい、坂本、アンカラって思ったより遠いな」 「そうですね、4時間近く乗ってるっすよ」 「長すぎるよな」 「そもそもイスタンブールからアンカラに行くのになんで国際線なんでしょうね」 「・・・・あれ、坂本、これアンマンって書いてあるぞ」 「アンマンってどこですか」 「しもた、アンカラとアンマンと間違ってチケットを買ったんじゃ」 アンカラに行ってブルガリアやモロッコのビザを取得するだけなのに間違ってヨルダンの アンマンに行ってしまったこともあった。ワイルドだろぉ、で済ますには大き過ぎるミス だった。そのミスよりも、若狭さんはアンマンのイミグレーションでエロ本を没収された ことの方が悔しかったようだ。安宿のベッドの中で若狭さんのすすり泣く声が聞こえたよ うな、そんな気がした。 若狭さんは倉敷の仕出し屋の息子で聞くところによると相当のボンボンである。妹も神戸 に住んでいるがやくざと結婚してしまって両親を怒らせてしまったようで、お金持ちの両 親の寵愛を彼が一身に受けることになったということらしい。若狭さんはバイトは一切し ていない。大学の授業も受けない。とにかく、寝ているか、酒を飲んでいるか、麻雀をし ているか、という生活だった。いつ若狭さんの部屋に行ってもいるので俺たちの溜まり場 になっていた。ときどき居留守も使うのだが、「一生、結婚できないお前に女を紹介して やるからこのドアを開けろ」と藤田さんや椎野さんや高野さんが呼びかけると簡単に屈し てドアが開く。若狭さんは好待遇の大学生活を4年で終わらすにはもったいないと言って 単位をわざと取らずに温存していた。大学から首を言い渡されるまでは留年するといきが っていた。

連載•小説

2024.12.15

高齢者の労災事故が急増 国が法改正で対策強化へ 企業対策必至
高齢者の労災事故が急増 国が法改正で対策強化へ 企業対策必至

 高齢者の労災では、転倒などの事故のほかに、過重労働で倒れる人も後を絶たない。令和5年度に脳や心臓の疾患で労災認定を受けた60歳以上は54人で全体の四分の一を占めた。厚労省も手をこまねいているわけではない。令和2年には、高齢者の労災を防ぐため、企業に必要項目などを記した指針を策定。働き手の健康状態の把握やスロープ設置、職場の段差解消、熱中症対策用の休憩場の設置などの対策を呼びかけている。さらに、こうした具体的な対策を講じた企業に補助金を出す「エイジフレンドリー補助金制度」も始めた。 ▼企業の対策は低迷  ただ、企業による取り組みは広がっておらず、厚労省の令和5年の調査では、約7800ある企業のうち具体的な対策に乗り出していたのは2割にとどまった。  労働者不足で高齢者の働き手に対する需要が高まる中で、厚労省は高齢者の労災対策のさらなる強化が必要と判断。対策に二の足を踏む企業の尻を叩くべく、労働安全衛生法を改正し、現在は指針で示している具体策を努力義務とするよう法制化する方針を固めたのだ。来年の通常国会に同法改正案を提出し、早期の改正を目指す。  罰則のない努力義務に過ぎないとはいえ、法制化される意義は小さくない。高齢者の労災対策を怠っている企業の従業員が労災に遭った場合、従業員側は不法行為を理由に損害賠償を求めやすくなるためだ。従業員と労災を巡って損害賠償に発展すれば、企業のイメージダウンは避けられず、企業側は必然的に対策強化に迫られる。

補正予算案に国民民主党の主張は盛り込まれず  国会生中継#3
補正予算案に国民民主党の主張は盛り込まれず  国会生中継#3

予見できる事業費までなぜ補正予算に計上するのか  GX経済移行費や新たな防災減災など国土強靭化に係る予算は補正予算ではなく本予算で 計上するべきである。補正予算での計上が常態化すると本予算の予算計上と執行が曖昧に なる可能性もある。  能登半島沖地震の復興予算であるが、高橋洋一氏らは今更、遅すぎるというが政府は既 に7回の予備予算、合計7150億円を支出している。確かに災害は予見しがたい出費にあた るだろうから国会は事後承認となる予備費の使用でも許される。だが、既に災害発生後 、11か月以上が経過した後に補正予算で改めて約2600億円を計上するのなら最初から補正 予算を組めばよかったのではないか、国会軽視だと言われてもしようがない。 コロナ禍以降、国の基金は一気に膨張、財源は潤沢にある  さて、政府や財務省は財源不足を声高に言うがそんなはずはない。財務省の資料から、 本年度の税収の上振れは3.83兆円、税外収入の上振れは1.87兆円、国債規定経費削減1.63 兆円となっており合計7.33兆円が財源として確保できる。これだけあれば「103万円の壁 」の撤廃に係る減収はカバーできる。残り13兆円は国債を発行しても良いし、国の基金の 残高が2022年末で16.6兆円になっていることからそれを活用しても良い。(紅 良作)

政治•経済

2024.12.12

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