国境の守りと空白の地:外国人による土地取得と離島国有化の急務

 日本の安全保障が多角的な脅威にさらされる中、とりわけ深刻な懸念として浮上しているのが、外国人や外国資本による重要土地の買収問題である。北海道の広大な森林、水源地、さらには自衛隊基地や米軍基地に隣接する土地が、不透明な背景を持つ資本によって次々と取得されている現実は、国家の主権と国民の安全に対する静かなる侵食と言わざるを得ない。2021年に成立した「重要土地利用規制法」は、注視区域や特別注視区域を指定することで一定の抑止力を期待させるものであったが、その適用範囲や実効性には未だ課題が多く、法の網目を縫うような買収工作が絶えないのが実情である。 この問題において、最も脆弱かつ緊急を要するフロントラインが「国境離島」である。日本は広大な排他的経済水域(EEZ)を保持しているが、その根拠となる離島の多くが管理不全の状態に置かれている。登記簿上の所有者が不明であったり、相続放棄によって実質的な管理者が不在となっていたりする土地は、外国資本による「点」の支配を許す絶好の隙となる。もし、国境付近の無人島や離島の一部が敵対的な意向を持つ主体に取得され、合法的な私有地として拠点化されれば、そこは日本の法的権限が及びにくい「安全保障上の空白地帯」へと変貌する恐れがある。  したがって、日本政府が最優先で取り組むべきは、所有者のいない、あるいは所有者が特定できない離島の迅速な国有化である。現行の民法や不動産登記法、あるいは所有者不明土地法に基づいた手続きでは、権利関係の整理に膨大な時間を要し、刻一刻と変化する地政学的リスクに対応しきれない。国境離島については特例を設け、一定期間の公告を経て所有者が名乗り出ない場合には、国家が強制的に収容・管理できる強力な法的枠組みを構築すべきである。これは私有財産権の尊重という民主主義の原則と、国家存立の基盤である領土保全という至高の命題をいかに調和させるかという問いに対する、現実的かつ断固とした回答でなければならない。 さらに、国有化は単なる手続きで終わってはならない。国有化した後の島々に海洋観測装置や通信設備を配備し、自衛隊や海上保安庁による監視・巡回を常態化させることで、名実ともに「実効支配」を強化する戦略が必要である。土地を守ることは、そこにある資源と海域を守ることに直結する。土地取得問題に対する防衛策を強化し、離島の管理を国家の手に取り戻すことは、次世代に平和な国土を引き継ぐための最低限の義務である。今、政治に求められているのは、法の不備を嘆くことではなく、主権の空白を埋めるための迅速かつ果断な執行力である。 (ジョワキン)
政治•経済

2026/03/31

最新記事

フリーランス新法が先月に施行 取引先に報酬額明示など義務化
フリーランス新法が先月に施行 取引先に報酬額明示など義務化

 「フリーランス・事業者間取引適正化法」が11月に施行された。同法は、企業などに属さず個人として働くフリーランスを保護するのが目的で、取引先の企業に対し、報酬額の明示やハラスメント対策実施などを義務づけた。フリーランスが安心して働ける環境整備の加速化に期待が寄せられるが、新法の内容に関する周知が進んでおらず、どこまで実効性が確保されるのかは不透明だ。 ◆社名公表や罰金も  政府の統計によると、フリーランスは副業として携わる人も含めると約462万人に上り、就業者全体の約7%だ。時間や場所に縛られない働き方に魅力を感じる人が増え、配達員や美容師、イラストレーター、イラストレーターや配達員、美容師など幅広い業種に広がっている。  一方でトラブルは後を絶たず、政府が2020年に設置した第二東京弁護士会が請け負う「フリーランス・トラブル110番」には、報酬の不払いなどの相談が続出。2023年度は約9000件に上り、24年も相談が相次いでいるという。  フリーランスを含めた下請け業者に書面を交付しなかったり、報酬額を明示しなかったりするなどの行為は、以前から下請法で禁じられているが、フリーランスと取引する企業には資本金1000万円以下が多いため、下請法の対象外となっている。このため、フリーランスに対する保護を強化すべきとの機運が高まり、2023年4月に「フリーランス・事業者間取引適正化法」が成立した。  新法は取引先に対し、仕事内容や報酬額、支払期日などの契約条件を書面・メールで明示することや、ハラスメントの相談窓口の設置などを義務づけた。違反内容に応じ、公正取引委員会や厚生労働省が勧告や命令などを行い、従わなければ社名公表や50万円以下の罰金の対象となるのが特徴だ。 ◆公正取引委員会が厳格に監視すべき  手厚い保護が法的には可能になったが、フリーランスと取引先ともに認知が進んでおらず、実効性に課題が残る。新法施行を控え、政府が今年5月に実施した調査では、「新法の内容を知らない」と回答したのが、フリーランス側では7割を超え、取引先側も5割超となった。昨年4月の新法成立から施行まで1年半以上の期間が設けられたのは、周知のための準備期間だったはずだが、認知不足が浮き彫りとなった形だ。  あるフリーランスは「いくら新法が守ってくれるとはいえ、フリーランス側から取引先に色々と苦情を伝えるのは、立場の弱さからもハードルは高い」「面倒なやつだと思われると、業界内で干されかねない」ともこぼしており、やはり取引先が適切に対応しない限り、トラブルは減らないだろう。 施行された新法を絵に描いた餅にしてしまっては、意味がない。公正取引委員会や厚労省には、新法に違反する企業に適切な対応が取れるよう、下請法と同様に厳格な監視態勢が求められる。

政治•経済

2024.12.26

価格競争に勝つのはどこか  外食業界に訪れた選別の嵐   業界大異変その2
価格競争に勝つのはどこか 外食業界に訪れた選別の嵐  業界大異変その2

サイゼリヤにみる価格戦略  そんな一方、同じ外食にあっても好調なのがサイゼリヤだ。同社が9日に公表した24年8月期決算では、売上高が22・5%増、純利益は58%増の81億円で、過去最高の数字を叩き出しているので、まさに絶好調とでもいう勢いだ。  サイゼリヤと言えば、周辺環境がどうなろうと「値上げをしない」ことでデフレ経済の象徴的存在としてよく話題となってきた。22年には、その手頃感がデートで用いるにはどうかと、「サイゼリヤのデート論争」なるものまで起こったほどだ。だがそれぐらい、頑なに値上げを拒んできた同社の姿勢はファンの心をつかみ続けてきた。ただ何もしないままでは到底通用しないので、値段は据え置きながらサイズダウンを行ったり、7月10日には優待を廃止したことで、株価が急落するなどということもあった(もっとも廃止と同時に増配が行われているのだが)。 「同社はコスト高に対し、メニューや内容量の見直しで対応。その上手さについては、顧客離れにつながるどころか逆に、『それでも安い』といったお得感で、『量が減った分はほかの注文をしても……』と顧客に思わせ、結果、複数のメニューを頼む顧客を囲い込むという効果によってむしろ、客単価を毎年引き上げることに成功しています」と、同社推しの証券マンも感心する。  だがそれだけでは、過去最高益とはなかなかならない。そこには別の大きな理由がある。実際、国内に限れば営業利益は約15億円の赤字なのだが、これをカバーして余りあるのが、中国、台湾・シンガポールのアジア事業だ。特に約500店舗を展開する中国を中心に、会社全体の約8割にも当たる約116億円の営業利益をこの地域で稼ぎ出しているのだ(前期比約37%プラス)。中国と言えば世界的なインフレとは別に、コロナ禍からの立ち上がりが悪かったところに、不動産バブルの崩壊もあって個人消費が大幅ダウン。「貧乏人セット」なる、3元(約60円)の朝食に人気が出るほど、デフレ経済真っ只中だ。つまり同社は、インフレにも価格据え置きで対応し、デフレならば独断場とばかりに強みを発揮しているというわけだ。  そしてこの追い風の下、さらなる勝負を仕掛けようとしている。「中国では1000店舗の出店を目標に、広州の工場建設は既に着工されています。また国内でも、岐阜県で新工場を稼働させるべく、10月17日には地元の地権者などと覚書を交わしました。同社は23年5月に青森・五所川原市に初出店したかと思えば、既に5店舗を展開するなど、地方の出店攻勢に出ています。岐阜の工場建設では、まだまだ手薄な東海・北陸の出店を増やし、10年後には現在の1000店舗から1500店舗にするとしています」。  インフレの厳しい経済環境の下、捨てる神あれば拾う神もあるといったところか。(以下、続く)

社会•事件

2024.12.26

今年2回目の政治資金規正法の改正法が成立  政治とカネを追う
今年2回目の政治資金規正法の改正法が成立  政治とカネを追う

 6月に改正したばかりの政治資金規正法の再改正案が与野党から9本も衆議院に提出された。10月の衆議院選挙では国民民主党が躍進する一方で自公政権が過半数割れとなり臨時国会では少数与党となっている。自民党には国民が厳しい審判を下したということ。その一要因になったのが自民党安倍派を中心とした裏金疑惑。裏金とは人聞きの悪いこと、要は収支報告書への不記載が明るみに出たことを言う。衆院選での自民党の大敗から政治資金に対する規制が物足りないと多くの国民が考えているのだと各党が認識しての反応であろう。 政策活動費の廃止  衆議院に提出された政治資金規正法関連の改正案9本のうち3本が可決し衆議院を通過した。ほとんどの改正案に明記されていた政策活動費の廃止について単独の改正案となった立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、無所属クラブ、日本共産党、参政党、日本保守党による案には自民党、公明党、共産党、れいわ新選組、参政党、日本保守党が賛成した。  改正案には「政治団体の経費の支出は、当該政治団体の役職員又は構成員に対する渡切りの方法によっては、することができないものとすること。」と「政治資金の収支の報告に当たっては、真実の記載をしなければならず、収支の状況を明らかにしないようにするため支出の相手方として政治団体の役職員又は構成員を記載する等政治活動の公明の確保に支障を及ぼすような記載をしてはならないこと。」と明記された。政策活動費は政党が議員に支出する政治資金。党での役職に応じて党勢の拡大や政策立案、調査研究の目的で使われる。政治資金規正法で政策活動費の定義がなく、具体的に何に使ったのかを公表する義務がない。そのことからブラックボックス化していた。6月の同法の改正では項目ごとの使いみちや支出した年月を10年後に公開することとなっていたことから10年間はブラックボックスのままであった。本法案が成立すると政策活動費を充ててした支出の項目別の金額及び年月の収支報告書への記載に係る規定及び政策活動費の使用状況の公開等に関する制度の検討に係る規定を削除することになりブラックボックスに入ってしまう政党の渡切りの支出もなくなる。 外国人、外国企業へのパーティ券の販売禁止  自由民主党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、公明党、参政党が共同で衆議院に提出し可決した政治資金規正法改正案では外国人によるパーティー券の購入禁止や収支報告書をデータベース化して検索しやすくする制度などを規定している。また、政党交付金の交付の決定を受けている政党に基準日に所属する衆議院議員又は参議院議員が政治資金又は選挙に関する犯罪に係る事件に関し起訴された場合に議員が当該事件に関し刑に処せられたときは当該額の政党交付金の交付をしないこととする制度を設けることが規定されている。さらに、収支報告書のオンライン提出が義務化された。この法案にはれいわ新選組、日本共産党、有志の会、日本保守党が反対した。れいわ新撰組は政治資金パーティーの開催自体を禁止するべきだとしていることから反対。日本共産党は「日本法人で5年以上上場している外資企業」を禁止の対象から除外し温存したことを批判し反対。共産党は政党交付金を受け取っておらず政党交付金の廃止こそが腐敗政治を一掃すると主張している。日本保守党は政治資金パーティは必要とする立場であることのみ主張してきたが外国人によるパーティ券購入も肯定していたことが今回初めてわかった。立憲民主党が主張していた企業、団体献金の禁止を含む法案は令和7年3月まで特別委員会で協議を続けて結論を出すことになった。(紅 良作)つづく

政治•経済

2024.12.26

地方税が減ると交付金が増える仕組み #2
地方税が減ると交付金が増える仕組み #2

税負担→貧困化 矛盾をなくせ!  マスコミは多くの自治体が地方税の減収を懸念して国民民主党の103万円の壁の引上げに対して否定的もしくは無責任だと非難しているように報道しているが、実はそうではない。多くの自治体の首長はこの政策に理解を示している。政策自体は国民の手取りが増えることから歓迎しているが、地方自治体の財政状況にも慮った推進を図って欲しいというスタンスにある。つまり、マスコミは相変わらずの偏向報道をしている。地方自治体の論調としては所得税控除額の引上げを歓迎しつつも税収減に関する対策を要望している段階であるということ。  ただ、地方自治体は本来そのような心配は不要であるはず。各自治体によって行政サービスの質は若干の隔たりがあり、その格差を是正する為に地方税交付金が支給されている。地方税の税収が減り行政サービスが支障をきたす場合においては国からの地方税交付金が増える。よって、地方税が減収になっても地方交付金が減ることはなく、むしろ、増える可能性があるということ。地方税が減ると交付税が増えるのは制度の目的上、然りである。  ただし、単純に機械的に地方税収の減収分をそのまま国が補填するとはいうことはない。地方交付税の法定率分等で不足する財源を特例加算(国)と臨時財政対策債(地方)により折半で負担するというルールが存在する。近年は不足が生じない状態が続いていた為に不足分の折半ルールは利用されていなかった。だが、今回の大幅な控除額の見直しは国も地方自治体も施行当初は多額の税収減に見舞われる可能性がある。そうなった場合は地方自治体の税収も無傷ではいられない。現行のルールでは不足分の半分が地方自治体の減収となる。それを補う経済効果が直ちに生まれない限り税収減は避けられない。折半の対象財源は臨時財政対策債を発行するか、財政調整基金か、減債基金か、その他特定目的基金かを取り崩すことも検討の必要性が出てくるかもしれない。過去10年間で基金全体の残高は約4.8兆円増加し、基金に積み立てを行わない地方団体の手元流動性といえる実質収支の黒字額も同期間の単年度黒字の累積により約1.5兆円増加している。これらを利用することで国への支援の多寡を検討することも必要である。今国会では地方交付税法改正案が出されている。政府が何らかの措置を事前に行うことも考えられる。法案の中身は現時点(11月27日)ではわかっていない。もしかしたら、今年既に行われた定額減税を、規模を縮小して再び実施するのかもしれない。確かに非課税世帯等に3万円を配るという案が出ていた。住民税を利用した減税として配るなら地方交付税法の改正が必要となる。  つらつらと書き綴ったが、基礎控除と給与所得控除の引き上げは30年ぶりとなる見直しなのだから政府も地方自治体も前向きに取り組んで欲しい。30年間にわたり賃金は上がらずデフレ経済は企業の体力を奪った一方で、税負担だけは上がり続け国民は貧困化した。今を起点とし国も自治体もピボット能力を発揮し失われた30年を取り返すべく前向きかつ全力で取り組んで頂きたいものだ。(紅 良作)

政治•経済

2024.12.25

大企業の巨額献金にひれ伏す自民党  石破新首相の変節で経済失速へ 連載提言3回
大企業の巨額献金にひれ伏す自民党 石破新首相の変節で経済失速へ 連載提言3回

大企業優遇による経済停滞  90年代後半以降の低金利政策の端緒は、不良債権で傷付いた銀行の救済だった。低金利はゼロ金利となり、マイナス金利となり、20年以上続いている。  2000年度末の家計の金融資産は約1400兆円だった。その後増え続け、昨年末に2100兆円を超えた。その半分以上が預貯金であり、仮に金利が2%付いていれば、預金者は、20年間で500兆円以上の金利を得ていたことになる。銀行はこれだけの金利支払いを免れて来たのだ。「当時、銀行は救済を受ける代わりに、米英のような投資銀行を目指すとか、担保主義によらず、産業創出を担う融資を行える能力を付けると言われましたが、合併を繰り返して規模が大きくなっただけで、旧態依然として優良企業中心の融資であり、担保主義も脱することができず、経済成長を促す存在になっていません」(前出・経済誌記者)。  前出、自民党への献金総額1位は三菱UFJフィナンシャルグループ、2位はみずほフィナンシャルグループだが、メガバンクのもう1つ、三井住友フィナンシャルグループも4位である。銀行だけではなく、2000年以降の自民党政権による大企業優遇について、企業の内部留保問題を早くから指摘したマクロ経済学者はこう指摘する。「アメリカで、マイクロソフト、グーグル、アマゾン……と新興企業が成長して主力になる間に、日本は旧来型の大企業の救済または優遇を優先し、新産業は育ちませんでした。今、AI(人口知能)の世界では、技術力も人材も、日本は米国にも中国にも敵いません。この20年の間に開いた差は、簡単には埋まらないでしょう」。 円安放置で経済停滞続くかそして現在の円安だ。  22年の自民党への献金額上位には、歴代の経団連会長企業がずらりと並んでいる。円安で利益が増えるのは、経団連に加盟する輸出型大企業だ。一方で輸入価格の上昇による物価の値上がりは庶民を苦しめている。「円安により企業の利益が増えるのは、実質利益が増えるのではなく、あくまでも為替により、見かけの利益が増えるだけであり、円安は〝麻薬〟です。この麻薬が効いている間は、経済成長へのモチベーションの低下が起きることが問題なのです。まして、1ドル120円でも〝居心地のいい為替〟と言われていたのに、現在は1ドル150円。明らかに行き過ぎです」(前出・経済学者)。  しかし岸田前首相は、自民党に巨額献金を行っている経団連が望む円安であり、「利上げ」に触れれば株価が急落する状況下で、円安を実質的に放置した。法人税を引き上げ、利上げを実行する――石破首相が事前にそう示した時、これまでの自民党政権との決別が伺えた。しかし、石破首相は就任後にそれを簡単に覆した。この先に待っているのは、経済停滞でしかない。(了)

政治•経済

2024.12.25

問題山積医療法人 心和会前理事長のあきれた日常 追跡スクープシリーズ  セカンドシーズン1
問題山積医療法人 心和会前理事長のあきれた日常 追跡スクープシリーズ  セカンドシーズン1

 違法金利だ! 借りたカネは返さない    (写真は、カネを借りている荒井宗房氏)  千葉の名門医療法人 心和会の前理事長、荒井宗房氏は医療行為のことは一切人の口に上ることはないが、カネと女性にまつわる話ならばまるでスーパーマーケットの安売りの如く、様々な方面から飛び出してくる。 本サイトとしては、そのすべてを知り尽くしたと錯覚していたが、報じた事案含め氷山の一角に過ぎないことを痛感させられている。荒井氏の金銭貸借の手口はほぼ決まっている。その片鱗を紹介しておこう。  荒井氏は東大医学部卒の若き病院理事長ということで貸し手は何もかもすっかり信じ込んでいる。大病院の理事長(当時)、東大医学部卒、あの秀才然とした風体、三拍子そろった荒井氏から、カネを貸してほしい、助けてほしい、と言われれば、カネを持っている人の九分九厘は、よし分かった、と金を貸す。実にシンプルな話である。ところがその先はシンプルではない。荒井氏はわざと貸金元金の一割多く借り入れる。ただし、借用書には借入元金の額だけを書き込む。借用書まできちんととっているのだからよもやとりっぱぐれなどなかろう。誰もがこの手口で荒井氏に巨額の金を貸し付けている。  問題はここから起こる。荒井氏はいつまで経っても金を返してこない。返済日が大きく遅れていることに債権者は気づく。慌てて債権者は元金プラス一割の返済を求める。この一割がミソである。しばらくして荒井氏の代理人から返答が送られてくる。 そこには、こう書かれている。『元金の一割増の請求などには応じられない。出資法で訴えますよ』。 債権者は唖然として言葉も出ない。こういう例は一例ではないのだ。  悪質な手口としか言いようがない。その荒井氏は、個人では破産し、医療法人は、民事再生法を申請している。 世の中、借りたもんが価値なのか?

社会•事件

2024.12.25

袴田さん「再審無罪」 確定 再審法改正 への「号砲」に タイムスの眼#2
袴田さん「再審無罪」 確定 再審法改正 への「号砲」に タイムスの眼#2

100年前のら一向に変わらなかった再審法  それにしても無罪確定までの時間が長すぎた。最高裁は1975年、「疑わしきは被告の利益に」との原則が再審請求審にも適用されるとの決定を出した。この原則に立てば、もっと早く無罪が届けられたはずだ。死刑確定の翌年に第1次の再審請求がされたが、再審が確定するまで実に42年もかかった。無実の人を罰する不正義。真犯人を取り逃がす不正義。無罪まで長い歳月を要する不正義。冤罪には3重もの不正義がある。これはあまりに絶望的である。とりわけ死刑事件である。検察はもっと全証拠に神経をとがらせ向き合うべきだった。今後、求められるのは冤罪を生んだ捜査や裁判の検証である。真摯に取り組んでほしい。少なくとも袴田さんの無罪確定はゴールではなく、刑事訴訟法の再審規定(再審法)を改正するためのスタートの号砲とすべきだと考える。再審法はおよそ100年前の条文を使って、戦後もずっと放置されてきた。わずか19条しかない。つまり再審手続きについての規定がほとんどなく、裁判官のさじ加減で運用されているのだ。この機会を逃さず、再審法の改正に踏み切るべきである。例えば無罪にたどり着くまで長い時間を要するのは、再審開始決定に検察官が不服申し立てをできる仕組みがあるからだ。 袴田さんの場合も、2014年に地裁で再審開始決定が出ながら、検察官が即時抗告をしたため、再審開始が確定するまで約9年も経過してしまった。いったん再審が決まれば、検察官の不服申し立ては禁止する法規定が必要である。冤罪の被害者は一刻も早く救済すべきなのは当然であろう。証拠開示の在り方も大きな問題だ。再審については明文の規定が存在せず、裁判所の裁量に委ねられているにすぎない。「存在しない」と検察側が主張していた「5点の衣類」のネガフィルムが保管されているのが判明したのは2014年のことだ。証拠隠しともいえる行為が再審の扉を閉ざしていたに等しい。このような不正義を防ぐためにも、無罪に結びつく、すべての証拠を検察側に開示させる法規定を設けねばならない。現在、超党派の国会議員による「再審法改正を早期に実現する議員連盟」ができている。衆参計340人以上の議員が名前を連ねる。議員立法で進めてほしい。再審法改正を求める市民集会も開かれている。世論の後押しこそ大事だ。捜査にも裁判にも誤りは起こる。無実の人を罰するのは究極の国家犯罪といえる。理不尽な刑事司法とはもう決別すべき時だ。

社会•事件

2024.12.24

地方税が減ると交付金が増える仕組み #1
地方税が減ると交付金が増える仕組み #1

地方税と交付金の相関関係を知れ!  「103万円の壁」の引き上げによる税収減が地方自治体の税収減にも及びけしからんと自治体の長が次々と声を上げている。地方自治体の首長は省庁上がりの元官僚が就いていることが多いのは今も昔も同じ。  国民民主党が10月17日の衆院選で大躍進を遂げ忽ち政界のキャスティングボードを握るに至った。国民民主党は自公とも立憲とも連立は組まず与野党にプレッシャーを掛けながら政策の実現を図る道を選択した。来年7月に参院選が迫っていることから国民民主党の選択は妥当である。衆院選では自民党も立憲民主党も国民の支持を伸ばせていない。よって、スターダムに躍り出た国民民主党が不人気の両党と与するメリットは存在しない。  不安定ながらも自民党は政権を維持している。が、政権運営に欠かせない存在となった国民民主党の政策実現も図らなければならなくなった。国民民主党の基礎控除額と給与職控除額の引上げは実質的には大幅な恒久減税となる。これまで財務省は国民に対して事あるごとに財政危機を煽ってきた。財政危機を過大に唱えて国民を脅すことで増税を可能にする環境を醸成してきた。この財務省による洗脳は多くに国会議員やマスコミにも感染しており広く浸透してしまっている。  たとえ選挙で多くの支持を得て躍進したと言っても財務省が国民民主党の税制改革を指をくわえて傍観することは決してない。すかさず、103万円の壁の引上げによって政府の税収が7~8兆円減り運営に支障をきたす可能性をマスコミを利用して伝播させた。国民民主党への国民からの熱狂的期待に冷や水を掛けつつ、総務省が地方自治体に向けて地方税収入も3~4兆円の減収となることを伝える。官僚が放ったプロパガンダに地方自治体の多くの首長が飲み込まれ国民民主党バッシングを始める。中央省庁の反撃が面白いほど的を射る。多くの自治体の首長が国民民主党バッシングを始める。財政の破綻を危惧する首長まで現れる始末だ。中には大蔵官僚でノーパンしゃぶしゃぶ接待に興じたスキャンダルが発覚した人物であるにも関わらず国民民主党は受け入れ、国会議員、その後、和歌山県知事になった岸本周平氏まで国民民主党のバッシングを始めてしまう始末である。  岸本知事は「県も市町村も財政運営ができなくなるため、当然、国で補填してもらえるものと思っている。政策を提案するなら、財源も提案するのが責任政党の姿だ。大変遺憾だ」と国民民主党の政策提言を無責任だと切り捨てる。何もわかっていないのは岸本知事の方ではないか。減収となる7~8兆円はそのまま消滅するのか、それとも減税の恩恵を受けたほとんどの国民が一斉に全額を貯金に回すとでも言うのか。地方税を含む7~8兆円の減税による所得増加分は国民を通じて多くが消費に回る。消費の促進が企業に収益をもたらし法人税の増収に繋がる。消費税は一部が地方税となる。  仮に当初、地方税収が落ち込めば総務省の一般財源総額実質同水準ルールに基づいて地方交付税が増額され一般財源総額実質同水準は維持できることになっている。いずれにせよ、地方自治体は国と違って通貨発行益は得られないので国の補填に頼るしかない。多くの首長がこうしたセーフティネットがはられていることを認識できていない。そして、そのことを総務省も財務省も地方自治体に示さずに敢えて不安を煽っている。このほかにも地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律というものがある。これは住宅控除等での税収減を補填することになっていることから、その縛りを外す改正が必要となるが、地方税税収減を国が補填する制度ではある。減収補填措置は過疎法、沖縄振興法、奄美振興法、離島振興法、半島振興法、山村振興法、原発地域振興法、水源地域対策特措法、地域未来投資促進法、地域再生法にも規定されているが事業税、不動産取得税、固定資産税に紐ついていることから範囲を拡大するか特例を規定する必要がある。地方自治体は控除額引上げによる減収分を国に補填してもらうことばかりを要求しがちではあるが、自治体の中には財政に余裕があるところも存在するはずである。マクロでいえば地方自治体の税収はこの10年で20%も増加している。プライマリーバランスは黒字が継続している。地方公債の残高も減少を続けている。国と同様に税収は大いに上振れていて好調を維持している。減税当初の税収減を受け止めることができる地方自治体は多いはずである。(紅 良作)

政治•経済

2024.12.24

大企業の巨額献金にひれ伏す自民党  石破新首相の変節で経済失速へ 連載提言2回
大企業の巨額献金にひれ伏す自民党 石破新首相の変節で経済失速へ 連載提言2回

巨額献金で法人税引き下げ  巨額献金の見返りが第一に法人税の引き下げだが、自民党はその代わりに、財務省による消費税の引き上げを呑んで来た。その結果、国の歳入構造はきわめてイビツなものとなっている。  1989年に消費税3%が導入された時、法人税(国税)の基本税率は40%だった。その後、消費税増税が繰り返されて10%まで引き上げられた一方で、法人税は引き下げが繰り返され、現在は当時のほぼ半分の23・2%まで下がった。しかもこれは名目上の税率であり、実際は自民党税制調査会が毎年末に策定する租税特別措置により、大企業ほど優遇されている。  実際の法人税負担率を企業規模別に見れば、資本金1000万円以下の企業の負担率は14・6%、1億円~10億円の企業は19・8%だが、資本金100億円超の大企業の負担率は、わずか12・8%だ(財務省資料より)。今年度の当初予算では、歳入総額113兆円のうち、租税収入は約70兆円。このうち基幹3税の税収は、法人税17兆円、所得税18兆円、消費税24兆円と、消費税の税収が最も多いのである。  近年、企業が内部留保(利益剰余金)を積み上げて問題となっているが、その額は実に600兆円を超えた。一方で、庶民ほど重税感が高まる消費税は、増税のたびに景気が失速している。石破氏が掲げた「税の応能負担の原則」にしたがえば、法人税引き上げは必須だが、自民党は引き上げるつもりはさらさらない。「近年は世界で法人税引き下げ競争が起きて、日本でも、法人税を引き下げなければ国際競争に負けてしまうという理屈が通用してきました。しかし米英はじめ各国は、コロナ対策による財政悪化を埋めるために、すでに法人税引き上げに舵を切りました。しかし、岸田前首相は最後まで引き下げに否定的でした」(経済誌記者)。  最近は、法人税引き上げは「賃上げの足を引っ張る」という論調が出てきた。しかし法人税が低いため企業は利益を溜めこむのであり、法人税を引き上げれば、賃上げなり、設備投資なり、海外企業買収なりが加速する。少なくとも賃上げの足を引っ張ることはない。「要するに、自民党政権の目的は法人税引き下げそのものにあり、そのための理屈は常に都合よく作られ、時に経済学を捻じ曲げてきたのです」(同)。  大企業への法人税を引き下げ、消費税増税を許容して来た自民党の姿勢は、庶民軽視を雄弁に語る。それ以上に、「目的は大企業優遇」という政策は、経済成長に資するものだったかという疑問が改めて出ている。

政治•経済

2024.12.24

カスハラ対策 企業に義務化 厚労省が法改正へ
カスハラ対策 企業に義務化 厚労省が法改正へ

客から理不尽な要求を突きつけられるカスタマーハラスメント。事態の深刻化を受け、国がようやく対策に本腰を入れ始めた。厚生労働省は今月、カスハラから従業員を保護するための体制整備などを企業に義務づける方針を決めた。ただ、カスハラの行為者となりうるのは消費者であり、抜本的な未然防止のためには、国による消費者教育の充実やカスハラが犯罪にあたりうることの周知も求められる。 ▼パワハラ防止法で対策  12月17日に開かれた厚労相の諮問機関・労働政策審議会。事務局を務める厚労省が、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)でカスハラの定義を明確化した上で、対策を企業に義務づける方針案を示し、労政審が承認した。厚労省は、来年の通常国会にパワハラ防止法改正案を提出し、法改正を目指す。  厚労省が示した方針案は、カスハラについて、①行為者は顧客や施設利用者など②社会通念上、許容される相当範囲を超えた言動③就業環境に悪影響を及ぼす――の三要素を満たすものと定義した。②には暴行や脅迫、中傷などが想定されており、クレームを入れた客が従業員に土下座を強いるといった行為が念頭にあり、今後、さらに具体例を示すとされた。  企業に義務づける措置の内容は、被害を受けた従業員向けの相談窓口の設置や、カスハラへの対応方針を明確化して、周知すること、カスハラのきっかけとなった商品やサービスの問題点の改善を図ることなどを挙げた。  一方、方針案では、顧客からのクレームや主張の全てが必ずしもカスハラに該当するわけではないとも指摘。顧客ら消費者側の権利を尊重すべきだとして、企業には特に障害を持つ消費者への合理的な配慮が求められると明記した。例えば、身体障害者がホテル従業員に車椅子の移動などを巡ってフォローを求めることなどが想定されている。 ▼消費者側に注意喚起  企業側のカスハラ対策が進めば、顧客ら消費者側への啓発にはつながるが、未然防止策としては不十分だ。このため、厚労省の方針案は未然防止に向け、国が消費者教育に取り組む必要性についても触れた。ただ、「理不尽な要求をしない」というのは、単純に「企業―顧客」「店―客」の関係に限らず、一般的な社会生活においても当然のことであり、実効性のある消費者教育がどこまできるのかは疑問視せざるをえない。  これまでも、度を超えたカスハラは、例えば店員側に脅迫めいた言動で繰り返し土下座を強要したケースについて、強要罪で立件されるなど、刑事事件化されたケースも少なくない。 政府は「カスハラは犯罪になりえる」という厳格なメッセージをしっかり発信し、消費者側への注意喚起に努めることが重要になるだろう。  

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2024.12.24

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