全ての癌細胞はミトコンドリアの機能を停止しているが、このためにミトコンドリアからのアポトーシスが出て死滅するのを防ぐためこの信号をブロックする物質を作りこれによりアポトーシスを回避していることが知られている。ヨウ素はこのブロック物質を外すことにより癌細胞を死滅させることがすでに明らかとなっている。メキシコ国立大学のグループは一連の乳癌治療のデータからステージI~IVの混合患者群に対して5年生存率は抗がん剤治療では46%に対してヨウ素単独治療で82%の5年生存率を上げるデータを示しており、このことからヨウ素は癌幹細胞をもアポトーシスに追い込んでいる可能性が示唆されるわけである (1)ステージIV癌患者のCTC検査結果 我々は仙台の仁保に電子研究所中川原先生との共同研究として5年以上に渡り癌患者のCTC(Circulating Tumor Cell)検査を520回以上行ってきた(2024/07/15現在)。その検査の概要については本雑誌5月号記事を参照されたい。この過程でCTC細胞は3種類の癌細胞が存在することが示された(図1)。我々はそれをType 1(働き蜂)、Type2(女王蜂)、そしてType3(女王蜂が生んだ卵から生まれた幼虫)の3種類に分類した(図2)。これまではType1のみが知られていたため抗がん剤Type1は殺せるが、Type 2, Type3細胞を殺すことはできないこともわかっている。ここでType2細胞は間葉系由来の性質を持つ細胞であり、癌幹細胞が間葉系由来細胞であることが分かっているのでこのType2細胞が癌幹細胞とみなされるようになっている(または癌幹細胞様細胞とみなされている)。最初に数十例に関してヨウ素治療開始前にCTC検査を行ったが、ステージIV患者は全員Type2陽性であった(Type 1&3は陽性でない例も多数見られた)。このことからType2なしでは転移がおこらないことがまず、確認された。また本年に入り韓国からのステージIV患者を受け入れているが30名全員がType2陽性であり、Type2細胞が転移の原因であることが強く示唆されることがわかる。身長、体重を勘案してヨウ素投与量は基本は毎食前30ccからスタートすることとした。ヨウ素水を飲む過程で血液検査CRP、LDH、腫瘍マーカーの値とCTC検査に付随して行うcfDNA値(血中のfree DNA濃度、癌細胞を破壊するとこの値が増加する)を見ながら、ヨウ素の効果を判定し、これらの値が低値の場合にはヨウ素を増量するやり方を確定した。この方法でステージIV患者にイオン化ヨウ素(10,000ppm)を投与することで、約1か月で3割、約2か月で8割、そして約3か月で100%例外なく全員がType2細胞を消すことに成功しています(図3)。 (II)女王蜂が消失した後の経過 そこで、ヨウ素水を切ってその後約6か月毎にCTC検査を行って追跡すると最大で2年前後追跡すると6名を除く全員が現時点でType2細胞の再出現は見られていない。Type2細胞が再出現した6名についてはその原因が不明であったが、ある1名の患者さんへのヒアリング中にこの患者が内密に抗がん剤投与を受けていたことが判明したため残り5名にも詳しく聞き取りを行ったところ全員が抗がん剤投与を受けていることが判明した。抗がん剤の種類は違いがあり、論文検索を行うと、抗がん剤投与で上皮性癌細胞の上皮間葉転換(EMT: Epithelial-Mesenchymal Transformation)を起こすことが知られており、ヨウ素の飲用なくType2消失後抗がん剤を使用するとType2細胞の再出現が起こることがわかる。患者さんの中には主治医との関係維持のためどうしても抗がん剤を拒否できない方々がおられるが、強くヨウ素水飲用の継続を勧めている。この結果を受けて再度患者さんの過去の治療歴と生存率やヨウ素の摂取量を検討しなおすと抗がん剤治療の頻回に長期に繰り返した方ほどType2細胞の数が多く、しかも凝集化やアメーバー上の変化が頻繁にみられることが分かった。これらの変化によりType2細胞はより移動性と粘着性を増し、急速に転移が起こることも判明した。これらの患者の中には急速な転移の拡大にヨウ素治療が間に合わず不幸な転帰となるケースが多くみられた。また治療開始時に非常に高いcfDNAレベルにある患者(300-4000pg/μl)では栄養不良によるCachexia(悪液質)状態にあり、筋肉細胞などを大量に破壊して生命維持を行っているためCTC細胞も極端に減少しており、不幸な生命予後に陥ることが多い。このような患者ではまずCVポートからの栄養点滴などの全身状態の改善を優先しないと救命は極めて困難なことも明らかになった。 (III)コロナ後のヨウ素治療の問題点 もう1点重大な事実が判明した。それはコロナワクチンを頻回に摂取した方(4回以上)は極めてヨウ素の効きが悪く、ほとんどの方が3か月で消失しなくなっている(図4)。ワクチンにその理由は解明されていないが、頻回にワクチンを投与するとIgG4抗体が増加することが判明しており、これによりアポトーシスが延長することが知られており、ヨウ素によるアポトーシス誘導が阻害されることが可能性として考えられる。ただし、4-6か月飲み続けた患者は全てType2細胞(女王蜂)が完全に消失しており、余分に時間がかかるものの完治に向かうことが確認されている。 (IV)最終治療成績 以上からこの3年間のステージIV癌患者の治療結果を関連データと比較してまとめると図4に示す結果となる。世界の医療界特に欧州ではCTC検査により捕まえたCTC細胞を集団として様々な抗がん剤やサプリなどを投与して最適治療薬を検出する方法がとられている。この方法とも比較してみることにする。 まず抗がん剤単独による治療では生存率はわずか10%であるが、CTC検査で最適抗がん剤を決定してその情報を用いて最適抗がん剤を選択して治療を行うと生存率は35%まで上げることができるが、CTC検査でType2細胞を同定してそれをヨウ素で処理すると3年生存率であるが83%まで上げることが可能であることがわかる。ステージIV治療で我々の方法がいかに優れた治療法であるかが証明されたことになる。