連載•小説

連載•小説

一橋治済、ついに「何も悪しきことなき」意次を追い落とす
一橋治済、ついに「何も悪しきことなき」意次を追い落とす

 ところが、松平定信が老中の座に就いた翌月の1787(天明7)年8月、つまり田沼意次が蟄居を 命じられる直前に、一橋治済が御三家の尾張宗睦・水戸治保宛てに書いた手紙には、仰天する ような記述がある。 「意次の処分について意見を述べましたが、その後、意次の諸悪が露見することもなく、このまま済んでしまってはあまりに安直すぎ、まったくもってよくないと思います」……要は、意次 がわいろを受け取ったという証拠そのものが出てこないというのだ。   治済は手下の目付を使って意次の収賄スキャンダルを探らせていたが、上がってきたのは「何 も悪しきことなき」というリポートのみだったという。これではスッキリした形で意次を切り捨 てることができない。 贈収賄に領収書を書く者はいないから、「証拠なし」と言っても全くの潔白ではなさそうだが、 手紙は以下のように続く。「意次の領土である遠州相良を取り上げて転封すれば、意次にダメー ジを与えられるし、民衆も納得して新しい政策を受け容れるでしょう」……こんな思い付きで人 を追い落とすやり方がまかり通っていたのが怖い。 同年10月、意次は蟄居を命じられる。相良城は打ち壊され、城内に備蓄されていた8万両のうち の1万3千両と塩・味噌が没収された。孫の意明が陸奥下村1万石に転封され、御家断絶だけはか ろうじて回避された。 1788(天明8)年、失意の意次は江戸で死去した。享年70。(つづく) 主な参考資料:秦新二『田沼意次 百年早い開国計画』文藝春秋

連載•小説

2025.07.24

好評連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.31『中村南スポーツ交流センター その1』
好評連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.31『中村南スポーツ交流センター その1』

 とんでもないオアシス発見した。それは『中村南スポーツ交流センター』 施設には、プール、トレーニング室、体育館などがあり、芸人の俺には無縁だと思ってい たのだが、先日、行って来た。 というのも、ここ数年、俺は、膝、腰、背中の慢性的な痛みがあって指圧や銭湯などに通 っている。また、軽い筋トレで腕立て、腹筋、背筋もしている。 だが、根本的な改善にはならないゆえ、何か定期的な運動が必要であるとジム通いを考え ていた。当然、毎月の出費が厳しい為、ああ、どこかに世界一安いジムはないものか。 そう思って調べていたら、なんと徒歩15分の所に、プールとトレーニング室がそれぞれ 1時間200円の破格のスポットがあった。いや、なんで今まで知らなかったんだ! 早速、俺は水着を準備すると、15分歩いた。今から運動をしに行く為、この徒歩でも筋 力がアップしているような嬉しさだ。あっという間に到着すると、券売機でプール券を買 った。ワクワク (つづく)

連載•小説

2025.07.23

佐野慈紀のシゲキ的球論   プロ野球前半戦総括 セ・リーグ編「隙のない阪神タイガース! だが…なぜか中日ドラゴンズには?」その理由を佐野氏が分析
佐野慈紀のシゲキ的球論 プロ野球前半戦総括 セ・リーグ編「隙のない阪神タイガース! だが…なぜか中日ドラゴンズには?」その理由を佐野氏が分析

 阪神が大きなリードを持って前半戦を折り返した。    佐野氏は「投手力、打線ともにほぼ隙がない。他球団は後半戦、よほどの爆発力を見せないと逆転Vは厳しい」と言う。    ただ、ほんのわずかな〝小さな穴〟は「なぜか阪神は中日に相性が良くない(前半戦終了時5勝7敗)」(佐野氏)と井上監督率いるドラゴンズの不気味さだ。    中日が阪神に強い理由について佐野氏は「元々、昔から、阪神は中日との相性が良くない部分がある」と前置きし、「中日は投手力が安定している。その中でつながりのある打線ができつつありますね。ボスラーが日本野球に対応してきていますし、正直、シーズン序盤はやりたい野球が見えなかったが、点が取れれば勝てるチームだとは思ってます」と分析した。    セ・リーグを盛り上げるためにも中日の奮起は欠かせない。佐野氏は「秋口にかけて暴れまくってほしいなと期待しています」と締めくくった。    

連載•小説

2025.07.23

好評連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.30『崎陽軒のシュウマイ食べ放題』
好評連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.30『崎陽軒のシュウマイ食べ放題』

 新幹線に乗る時、俺はよく崎陽軒のシュウマイ弁当を買う。食べる度に、一度でいい からあのシュウマイを無限に食いたい!と願っていた。そんなある日、崎陽軒の食べ 放題へ行き、俺は無限にシュウマイを食べた。会場にはセイロで蒸された出来たての シュウマイや色とりどりの中華が並んでいた。夢のようだった。いや、待てよ、あれ は絶対に夢に違いない。 というのも、普通は弁当にシュウマイが5個入っている。それ以上食べるには別パッ クを買うことになる。無限に食べるには無限に買わなければいけない。食べ放題など 、そんな場所がある筈がない。俺は長らくそう思っていた。 だが、先日ネット検索した所、横浜駅にアリババという崎陽軒の店が出てきた。 俺の記憶は一気に蘇った。コロナ前のことだ。シュウマイの中を泳げる位あった。 最近、コロナ前の記憶が作り物のようになってきている。 この夏、海パンを履く気分で、久しぶりにシュウマイの中を泳ぎに行きたい。

連載•小説

2025.07.22

椎野礼仁のTANKA de 爺さん 第16回 『父への挽歌 居留守』
椎野礼仁のTANKA de 爺さん 第16回 『父への挽歌 居留守』

歌詠みの父の最後の下の句は「心ならずも居留守を使う」 「病名は『擦声』と書いてあるんだよ」肺病みの父つぶやくように 日一日、力を失う身にありて一度たりとも病名を問わず 天井の節を見上げる一日をいつまで長いと思えていたか ブーンと蚊 思わずパチン・・なす術もなく父は刺されていしか 庭先の白梅今年も花つくを父の座りし位置から見ている いわゆる短歌っぽい題材をあまりよくすることはない私だが、鉄道兵としての父を2週にわたって書いたので、昔の作品だが父の死を詠んだ歌を記す気になった。これらの他に、瀕死の病床を歌ったものもあるので、次週に書くことにする。 ちなみに冒頭の歌で取り上げている父の最後(ではないが死の間際の歌であることは間違いない)の歌は、次のようなものだった。 玄関にてフォーンを二つ押してゆきぬ心ならずも居留守を使う ベッドに付したきりで、来客にも出ていけない父は、この歌を残した。(この項、続く)

連載•小説

2025.07.21

「天明の打ちこわし」は定信の老中就任を狙う計画的犯行だった?
「天明の打ちこわし」は定信の老中就任を狙う計画的犯行だった?

 1787(天保7)年4月、11代将軍・徳川家斉が誕生した。その父・一橋治済は松平定信の老中就任 に向けて、田沼派を粛清していく。 就任の障害となっていたのは、それに頑強に反対していた田沼派の大物側衆・横田準松(のり とし)だった。それを、同年5月に始まった「天明の打ちこわし事件」を上に報告しなかったと いうカドで罷免している。 天明の大飢饉とそれによる米価の高騰が引き起こした江戸期最大の打ちこわしとして知られる この騒動は、5月20日に江戸・赤坂の米屋が襲撃されたのを皮切りに江戸・大阪で次々と拡大し ていったが、怒った民衆の勢いが波及していったというより、きちっと計画的で統率が取れて いたとも言われている。 しかも、11代将軍候補・家基の殺害にも暗躍した御庭番たちが、詳細なリポートまでまとめて いるのだ。恐らく治済の指図であろう。 準松はこの打ちこわしについて家斉に問われ、「平穏無事」と回答したとされている。準松は即 座に罷免され、翌6月の19日、松平定信が老中の座に就いた。(つづく)

連載•小説

2025.07.21

佐野慈紀のシゲキ的球論   藤波の復活は「極端な話、(打たれても)知るかあ! の気持ちでやればいい。メカニクス改善のアプローチは逆効果になる」
佐野慈紀のシゲキ的球論 藤波の復活は「極端な話、(打たれても)知るかあ! の気持ちでやればいい。メカニクス改善のアプローチは逆効果になる」

 元阪神の藤波晋太郎投手(31)がDeNA入りし、3年ぶりに日本球界に復帰することが判明した。    藤波は今季、マリナーズとマイナー契約を結んでいたが、メジャー昇格はなかった。    ハマの地で藤波の復活はあるのか? DeNAサイドはAIやデータ活用のメカニクス改善にも自信を見せているが、佐野氏は「メカニクス改善からのアプローチは逆効果だと思います」と指摘。むしろ、気持ちの変化の方が大事だという。   「藤波投手の場合はまずは自分の強い球を投げること。四球を出さなければ、投手っていうのは5球勝負できるんですよ。その内3球いい球がいけばいいんですよ。『打たれたって、知るかあ!』ぐらい気持ちでいい。バックに助けてもらえばいい。極端な話、死球当てたって『すまん!』ぐらいの気持ちです」(佐野氏)    データを詰め込むよりもシンプルなことが大事で「まずは1球、納得できる球を投げる。今度はそれを2球にする、4球にする。そうやって再現性を高めていく方法の方が合っていると思いますね。データはもちろん大事ですが、あまり詰め込まないほうがいい。シンプルでいいし、調子に乗るぐらいほうがいい」(佐野氏)とのこと。    藤波の復活に注目したい。    

連載•小説

2025.07.20

佐野慈紀のシゲキ的球論   「阪神のハートウィグ補強は戦力アップよりも他球団に対しての重圧効果が大きい」
佐野慈紀のシゲキ的球論 「阪神のハートウィグ補強は戦力アップよりも他球団に対しての重圧効果が大きい」

 阪神は14日に元メッツの右腕、グラント・ハートウィグ投手(27)の獲得を公式ホームページ上で発表した。右のリリーバー、という補強ポイントにマッチしたものと見られる。    ペナント争い独走状態となっている中で、さらなる戦力アップ策に佐野氏は「一軍で投げるとなれば8月中旬ぐらいになるでしょうね」と話す。   「シーズン山場はリリーバー、クローザー含めて疲れが出てくる時期。ハートウィグ投手が日本の野球に合うかどうかは未知数ですが、いいタイミングでカンフル剤になればいいということでしょうね」(佐野氏)    ハートウィグ獲得はチームの戦力アップという効果とは別に「他チームへの脅威という点もある」とは佐野氏。追いかけてくるチームに対して、さらなる戦力アップを見せつけることで戦意を削ぐ、といった意図も見えるという。    佐野氏は「右の中継ぎは石井が柱ですが、この獲得によって、湯浅やほかの右投手に刺激を与える意味もある。今年の阪神は盤石の戦いぶりですね」と締めくくった。  

連載•小説

2025.07.18

病床の10代将軍・家治の服用薬にひと味加えたのは誰か
病床の10代将軍・家治の服用薬にひと味加えたのは誰か

 田沼意知の死以降、エリート級の幕閣が次々と死ぬか失脚していく。なぜか意知と連座する形で謹慎処分となった若年寄、長崎・出島のオランダ商館長が「田沼が失脚したら、彼は切腹することに決めているが、もしそうしなかったら一連の要人たちと同様、毒殺される可能性がある」と手紙に記していた長崎奉行。さらに将軍と諸大名の間を取り持つ21歳のエリート奏者番が突然死亡したが、彼の義母は田沼意次の養女だった。 そして1786(天明6)年夏、10代将軍・家治が病床につく。老中たちは20名を超える医療・医薬品担当の典薬たちを招いた。その場の皆で配合した薬に、1人の典薬が何か別の一味を加えた。他ならぬ将軍が服用する薬だけに、他の典薬は「何を加えた」と問い質した。しかし、当の典薬は「秘伝の薬です」と答えただけだったという。 抗議して退席する者も擁護する者もいたが、結局はそのまま家治に服用させた。しかしその日の深夜から家治は様態が急変、危篤状態に。「体が震えだし、吐血激しく、異常な死だった」ことが『天明巷説』に記されている。 そしてこの家治の死も、どういうわけか意次の仕業ではないかという噂が立つのである。自らの重要な後ろ盾だった家治を、意次が殺さねばならない理由はないはず。誰かがガセネタを流した可能性が高い。(つづく)

連載•小説

2025.07.17

好評連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.29『睡眠時間』
好評連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.29『睡眠時間』

昔は、寝ない方が優れていると思われていたが、最近では睡眠の大切さを教える先生など がメディアに出ており、世の中の意識が変わりはじめている。 元々、俺は他の人よりも寝る方なので、睡眠の大切さを身をもって体験している。実際、 睡眠不足で、窓のサッシ組み立てバイトの最中に寝てしまい、バイト初日でクビになった ことがある。窓のサッシに顔を突っ込み、俺自身が窓の一部になっていた所を上司に一喝 され目覚めたのだが、あの時ほど睡眠の大切さを感じたことはない。 そんな俺は、ショートスリーパーだったらクビにならなかったのではと思って『驚異の短 眠法』という本を買ったのだが、読んでる内にウトウトし、気付けば寝落ちしてしまった 。少なくともタイトルに間違いがないことは分かった。 そういえば、先日、睡眠研究の方が海外で大きな賞を受賞したようだ。それによって露出 も更に増えている為、この人が一番寝てないのではないかと少し心配になった。

連載•小説

2025.07.16

1 28 29 30 31 32 46