政治•経済
沖縄県民の求めるささやかな幸福追求の権利 辺野古での抗議行動は憲法13条、幸福追求の権利に基づくものだ。沖縄県民が求める幸福とは何か。それは耳をつんざくような爆音のない静かな夜、空から危険物の落下のない安全な生活、米軍・軍属による性被害のない安心できる社会等々といったささやかなものに過ぎない。国土の0・6%の狭い土地に在日米軍施設の70%が集中し、県民は米軍基地の重圧に呻吟している沖縄では、このささやかな権 利が保障されていない。憲法番外地である。 そもそも権利の保障はそれが保障されない時代があったことの反映である。例えば表現の自由の保障は、表現の自由が保障されない時代 があったからだ。憲法は種々の権利を保障しているが、その根幹をなすのは13条「幸福追求の権利」だ。この国ではかつて、個人は天皇の為、国家の為にあるとして、個々人の幸福を求めてはいけないという時代があった。そんな昔の話ではない。たかだか80年前の話だ。その反省から生まれたのが憲法13条、幸福追求の権利だ。ヤマト(本土)は沖縄に米軍基地を押し付け、平穏な生活をしたいという沖縄県民のささやかな願いを踏みにじっている。ヤマトの13条のために沖縄県民の13条が犠牲にされていることに筆者を含むヤマトの人々がどれだけ自覚的だろうか。
死刑が執行されない状態が続いている。秋葉原無差別殺傷事件の加藤智大元死刑囚(当時39歳)が執行された2022年7月26日を最後に、約2年半にわたり執行がないままだ。静岡県一家4人殺害事件で、死刑となった袴田巌さん(88)が再審無罪になったことなども背景にあるとみられるが、未執行期間が長期間に及んでいるため、死刑制度の形骸化を指摘したり制度廃止を求めたりする声も上がっている。 ■最後の執行は秋葉原無差別殺傷・加藤智大元死刑囚 「死刑執行の命令は判決確定の日から6か月以内にしなければならない」 刑事訴訟法は死刑についてこう定めるが、実際の執行の時期や対象者は法務大臣の判断に委ねられており、未執行の確定死刑囚106人(2024年12月末時点)の中には、死刑確定から数年~半世紀以上が経過しているケースもある。 法務省は元々、再審請求中の死刑囚については、長年にわたり執行を後回しにする運用を続けていたが、2017年7月、当時の金田法相が「再審請求を行っているから死刑執行しないとの考えは取っていない」として、2人の死刑囚の死刑を執行した。 法務省はその後も再審請求中の死刑囚への死刑執行を続け、2018年には、オウム真理教の教祖・麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚(当時63歳)ら15人の刑を執行するなど、厳格な姿勢を鮮明にしてきていた。オウム真理教事件で執行された13人のうち10人、最後の執行となったアキバの加藤元死刑囚も再審請求中だった。 ■葉梨元法相のハンコ問題と袴田さん再審無罪 だが、高齢受刑者への死刑執行を避ける傾向は顕著となっている。ある法務省幹部は「人道上の観点から、高齢死刑囚には執行に踏み切りにくい」と明かす。こうした傾向が続く中、「死刑離れ」に拍車をかけたのが、「ハンコ問題」と袴田さんの再審だ。 ハンコ問題では、アキバの死刑執行後の2022年秋に法相に就いた当時の葉梨康弘氏が公の場で、法相の庶務について、「死刑のハンコを押し、昼のニュースのトップになるのは、そういう時だけという地味な役職だ」などと発言。死刑制度を軽視するような姿勢に世間の批判が噴出し、葉梨氏はすぐに更迭されたが、ある法務検察幹部は「あのハンコ発言のせいで、逆に死刑執行の判断により慎重にならざるをえなくなった」と振り返る。 法務省はさらに「袴田さん再審」という「爆弾」を抱え続けていただけに、その後の法相4人も執行しないまま、現在に至っている。 ■遺族は怒り、厳格な運用を 死刑は命を奪う究極の刑罰であり、再審請求中の事件も含め、執行に慎重になるのは当然だ。袴田さんの事件でも、再審開始が2023年3月に確定し、2024年9月に再審無罪判決が言い渡された。 だが、同じ理由で何度も再審請求を繰り返す「執行逃れ」の疑いが強い死刑囚も少なくなく、遺族感情からすれば、死刑制度があるのに執行されない状態が長期化している現状には、怒りや違和感しかないだろう。 死刑制度の形骸化を指摘する声も根強く、一部の国会議員は死刑廃止を求めている。ただ、内閣府が2020年に公表した世論調査で、死刑容認は80・8%を占め、死刑廃止支持の9・0%を大きく上回り、現在の鈴木馨祐法相も、廃止には否定的な考えを示している。犯人の極刑を願う犯罪被害者も少なくなく、死刑制度がある限り、厳格な運用が求められる。
むなしさを抱きしめ、だが絶望することもなく サンゴと多様な生物が生息する大浦湾への土砂の投入は止まらない。キャンプシュワブのゲートからは毎日500台近くのダンプが土砂 を搬入する。沖縄戦の艦砲射撃で裸にされ、再生した山が再び裸にされる。むなしい。しかし、このむなしさを抱きしめながら絶望するこ ともなく辺野古での抗議行動は今日も続く。これこそが先人たちが連綿として続けて来た沖縄の運動だからだ。 辺野古での抗議行動は憲法13条(幸福追求の権利)に基づく非暴力の闘いである。現場のリーダーが抗議行動の新たな参加者に「非暴 力とは言葉の暴力も否定するものなのです」と説明する。現場では、排除する機動隊員に対する抗議もなされるが、その場合にも「税金泥棒!」、「ポリ公帰れ!」といった類の「暴言」が吐かれることはない。抗議行動参加者に「土人」と暴言を吐いた大阪府警など、県外の機動隊は別として、排除される沖縄県民、排除する沖縄県警の相互間にある種のリスペクトが存在する。こういうことは上っ面の調査や「取材」ではわからない。現場でずっと座り込みをしていることによって次第に見えて来る。辺野古では抗議行動一辺倒ではない。ダンプの隊列の合間を縫って昼食や交流会がもたれ、各地の報告などのほかに歌や、踊りもある。 歌には「沖縄を返せ」といった運動歌ももちろんあるが、「海の青さに空の青 南の風に緑葉の 芭蕉は情けに手を招く 常夏の国 我 した島沖縄」と謳う「芭蕉布」のような民謡も歌われる。歌や踊りはゲート前で機動隊と対峙しているときにも行われる。機動隊の隊長も歌や踊りの最中には規制・排除を控え、頃合いを見て、機動隊員に規制開始を命じる。抗議行動の現場リーダーと機動隊隊長の阿吽の呼吸だ。「ごぼう抜き」に際して、時には双方が激するところもないわけではないが、機動隊員たちの行動は概ね穏やかだ。抗議行動参加者を機動隊員3人がかりで運び出し、尻からでなく、まず足から着地させ、起き上がるのにも手を貸す。筆者は毎回「お世話様」と声掛けしている。人はこれを「馴れ合い」と呼ぶかもしれない。だがこれが「勝つことの秘訣は諦めないこと」という沖縄の運動なのだ。朝、抗議行動の始まる前、ゲート前で抗議行動参加者が沖縄県警員と「おはよう」と挨拶を交わしながらグータッチをすることもある。 年配の女性から「あなたたち、こんなことをしていていいの」と語りかけられ涙ぐむ、孫のような若い機動隊員を見たこともある。「あ なたウチナー口(沖縄の言葉)分かる」と声をかけて機動隊員にウチナー口で語り掛ける年配の女性もいる。こういう芸当は年配の女性で なければできない。昼食は各々がそれぞれ用意して来るが、中に、週1回だが、多くの人々のために盛りだくさんの食事を持参してきてくれる人がいる。聞けば、その日は午前3時頃から起きて準備するそうだ。筆者も随分ごちそうになっている。これを辺野古ヴァィキングと呼ぶ人もいる。手間暇はもちろんのこと、毎週のことだから経済的な負担も大変なものだ。
法の番人であるはずの裁判官が、インサイダー取引をしたとして罪に問われる異例の事態となった。証券取引等監視委員会は2024年12月23日、金融庁に出向していた裁判官・佐藤壮一郎容疑者(32)を金融庁品取引法違反の疑いで東京地検特捜部に刑事告発した。佐藤容疑者は同年4月に最高裁判所から金融庁企画市場局企業開示課に出向後、職務を通じて知ったTOB(株式公開買い付け)に関する未公開情報をもとに違法な株取引を始めていたという。 ■出向後すぐに不正な株取引 刑事告発を受けた東京地検特捜部が同25日に佐藤容疑者を在宅起訴しており、裁判官が今後は「刑事被告人」として公開の法廷で裁かれることになった。2025年早々にも東京地方裁判所で初公判が開かれる見通しだ。 証券取引等監視委や関係者によると、佐藤被告は4月の出向直後からインサイダー取引を開始。監視委の強制調査を受けた9月までに、自身名義で10銘柄について合わせて計951万円分を買い付けたとされる。 佐藤被告は、金融庁企業開示課で課長補佐を務め、関東財務局が審査を担当するTOBについて、実施予定日や価格などを知りうる立場にあった。このため、一部の金融庁職員にしか閲覧できないTOB案件を一覧にまとめた資料をみられる権限もあり、出向直後から不正な株取引を始めていたとされる。不正に買い付けた株の売買で、約400万円の利益を得ていた疑いがある。 ■検察などは「裁判官」の立場を重視 今回のように数百万円程度しか利益のないインサイダー取引の場合、証券取引等監視委員会は課徴金の行政処分に済ますのが通例で、刑事告発・起訴にまでいたるのは異例だ。監視委や検察が佐藤被告の「裁判官」という立場を重視した上で刑事罰に問うべきと判断した。 佐藤被告は一連の不正を認めているとされ、公判でも起訴事実を認めるとみられ、量刑が争点になる見通しだ。 知人らによると、佐藤被告は慶応大学法学部から同大法科大学院を経て、24歳で司法試験に合格したエリート。裁判官の妻とも結婚し、経済的に困っていた様子はうかがえず、生活も順風満帆にみえた。これまでの監視委や特捜部の任意聴取には、「ばれないと思った」などと供述しているが、動機についてはまだ詳述していないといい、公判でどこまで犯行の動機や経緯が明らかになるのか。裁判官が被告人となる異例の刑事裁判は今後、世間の注目を集めそうだ。
辺野古行きのバス代一律カンパ 辺野古での抗議行動は海上でのカヌー隊は別として、陸上はキャンプシュワブゲート前、安和琉球セメント桟橋前、塩川港の3箇所で月 曜日から金曜日まで毎日行われる。沖縄の現地の人々は、地域あるいは団体ごとに曜日を決めてこの3箇所での抗議行動を分担する。週1回、2回、多い人は週3回の参加となる。辺野古までは、各グループがバスを仕立てる。 筆者は朝7時、沖縄県庁前を出発するバスに乗り込む。辺野古までは1時間余、安和、塩川までは2時間近くかかる。地元の人々はそれ ぞれの停留所から乗車してくる。乗車する人には、バス運行代の一部に充当するため、一律金1000円程度のカンパが要請される。筆者は3日間なので、合計で金3000円、年間18日で金1万8000円(もちろんそのほかに航空機、宿泊代)の負担という計算になる。 地元の人々は、週1回の人は毎月4回、年間48回で金4万8000円、週2回の人は年間96回、金9万6000円、週3回の人は年間 144回で、金14万4000円の負担という計算になる。この計算は辺野古行きのバス代カンパに関してのみのものであり、抗議行動参加者にはその他にも多くの経済的負担がかかっていることは言うまでもない。それでも人々は辺野古の抗議行動に参加する。
丸川珠代元オリパラ担当大臣だけが、はずされた 34人の中で唯一外されたのは丸川珠代元オリパラ担当大臣で、パーティー券の販売代金を自分の口座に入れていたのが公明党の支持母体に「理解」されなかったのかもしれない。アナウンサー出身で野心たっぷりの丸川氏は、参院議員の地位をなげうって、10増10減で新設された衆院東京7区に鞍替えした。港区と渋谷区を含む東京7区は希望者が多かったが、丸川氏はコロナ時にオリパラ大臣を引き受けたことで、森喜朗元首相に便宜を図ってもらったといわれる。だがそんな運も尽き果てたのかもしれない――。16日に安倍昭恵夫人を応援に迎えた街頭演説会では「小選挙区1本です。どうかお助け下さい」と有権者に向かって号泣した。 こうして自民党の中で“振るい”がかけられ、「安倍ブランド」の高下駄を履いていた人たちが落とされていった。そもそも彼らの多くは、もっと早く落とされても良かった。にもかかわらず、彼らがしぶとく生き残れたのは、対立する野党がいまいち強くなかったせいでもある。しかし彼らとて、いつまでも呑気な立場に甘んじられるはずがない。そしてかねてから日曜赤旗で報道されていた「裏金問題」について、昨年12月に一般紙が報道。これが大問題になったのだ。 「リクルート疑惑」を「裏金疑惑」に置き換えてみると 「裏金問題」とは、政治の永遠のテーマである「政治とカネ」問題に含まれる。自民党は1989年5月に「政治改革大綱」を策定したが、その冒頭で次のように記されている。「いま、日本の政治はおおきな岐路に立たされている。リクルート疑惑をきっかけに、国民の政治に対する不信は頂点に達し、わが国議会政治史上、例をみない深刻な事態を迎えている」この文章の中の「リクルート疑惑」を「裏金疑惑」に置き換えると、そのまま現在の状況に当てはまる。35年を経て懲りもせずに繰り返される過ちに対して、国民はすっかり呆れ返ってしまっている。 もっとも15年前の2009年の衆院選で、「自民党にお灸をすえよう」を合言葉に、政権交代劇は実現した。そこには自民党への期待や愛情も存在し、自民党の政権復帰も可能だった。しかし今回はそのような感傷もドラスティックな変化もなく、国民はただ淡々と自民党から離れていくだけだ。当初から石破政権は短命政権と見なされている。なんとか衆院選を潜り抜けたものの、来年7月に予定される参院選までもたないとされているからだ。「衆院選が終わるとすぐさま、壮絶な政局が始まるだろう」と、大手メディアの記者は予言する。混沌と渦巻く政治の中で、我々は「終わりの始まり」を目にすることになるのだろうか。
2024.12.30
公認と非公認 付け焼刃的な措置 これで2012年から自民党を支えてきた岩盤保守層が解消した。その一方で、石破首相の支持層は決して厚くない。だから衆院選に際して石破首相は当初、自民党から出馬する候補の「原則公認」を表明したのだろう。だがそれでは「裏金問題」に怒り心頭の国民にとって不十分なことこの上ない。慌てた小泉進次郎選対委員長が「不記載議員らの非公認」を提唱した。その結果、西村康稔氏や萩生田光一氏ら12人を公認せず、34人が比例重複しないことを決定。上杉健太郎氏や杉田水脈氏、尾身朝子氏の比例単独の3人についても、比例名簿に登載しないことにした。そして非公認となった越智隆夫氏と今村洋史氏は出馬を諦め、上杉氏は無所属で福島3区に出馬した。 “粛清”されたのはほぼ旧安倍派の前職だが、旧安倍派は安倍元首相の下で拡大し、安倍元首相が政権を降りるまでは「総裁派閥」として君臨した。その後も拡大を続け、ついには100人を突破した。「寄らば大樹の陰」ということわざは、政治の世界こそ最も当てはまるものだろう。有力な政治家に近づくことができるなら、選挙なども有利になるからだ。こうして2012年12月の衆院選で誕生した「安倍チルドレン」は、その多くが生き残った。2005年9月に誕生した83人の「小泉チルドレン」が2009年8月の衆院選では10人しか生き残れなかったのとは、全く対照的だといえるだろう。 そもそも強力な安倍自民党に属し、公明党の支援も得られるならば、選挙で負けるはずがなかった。そして仮に小選挙区で負けたとしても、比例ブロックで復活当選できるはずだった。ところが今回、34人もの前職が自民党の公認を得たものの、比例救済の道を断たれてしまった。最後の助け舟は公明党で、そのうち33人に対しては「地元組織の理解を得たかどうか」という基準で公明党は「推薦」した。((3)に続く)
2024.12.29
石破首相の不人気 執筆段階ではまだ衆院選の真っ最中。よって多少の“誤差”はご了承いただきたいが、石破茂首相が大ピンチに陥っていることは間違いない。衆議院を解散した10月9日夜の会見で勝敗ラインを記者から聞かれ、これまで通りに「自公で過半数」と自信たっぷりに述べた石破首相だが、それすらも怪しくなっている。 理由は3つ。まずはそもそもの石破首相の不人気だ。時事通信は10月17日、石破内閣の発足時の支持率は28%で、低支持率で知られる森喜朗内閣より低かったと公表した。しかも調査期間は11日から14日で、政権発足から10日から2週間程度しかたっていないのに、内閣不支持率は30.2%で支持率を上回っている。 その主な原因は、石破首相が安倍晋三政権時から自民党の支持基盤となった「岩盤保守層」に敬遠されている点だ。とりわけ第1次安倍政権時の2007年7月、参院選での自民党敗北を受けて、石破首相が安倍元首相に退陣を求めたことが恨みの根源となっている。 そもそも2人の背景は対照的だ。岸信介の孫である安倍元首相に対し、石破首相は田中角栄系だ。安倍元首相が衆院選に当選した1993年、石破首相は政治改革を叫んで自民党を離党した。しかしその夢が破れて、石破首相は1997年3月に自民党復党。2008年9月の総裁選に出馬したが、5人中最下位に甘んじている。その後に成立した麻生政権では農水大臣に任じたが、衆院選が近づくと今度は、麻生降ろしの色を鮮明にした。石破首相本人にすれば「正論を言って何が悪いのか」ということになるだろうが、自民党内ではそれは通じなかった。そして第一次政権での安倍降ろしとともに、麻生降ろしでも先陣を切ったことで、「背中から刺す石破は信用ならない」との評価が定まってしまったのだ。 なくなった「安倍バブル」 第2に、自民党が地盤沈下している点だ。自民党は安倍元首相を顔として、2012年12月の衆院選で480議席中294議席を獲得し、2017年12月の衆院選でも475議席中291議席を確保した。そして2017年10月の衆院選では465議席中284議席を確保したが、岸田文雄政権の2021年10月の衆院選に獲得したのは、465議席中261議席と、23議席も少なかった。これは「安倍バブル」がなくなったことが原因だろう。しかしなんとか単独過半数を維持したことで、岸田政権はたいしたダメージを受けなかったが、岸田首相の続投は果たせず、岸田首相は8月14 日に次期自民党総裁選には出馬しないことを表明した。 2024年9月27日に投開票された自民党総裁選は、裏金問題で派閥が事実上解消されたため、9人もの候補が出馬した。決選に残ったのは高市早苗前経済安全保障担当大臣と石破首相で、いわば「安倍」対「反安倍」の構図。最終的に勝利したのは、「反安倍」を体現する石破首相だった。((2)に続く)
2024.12.28
政治資金監査委員会の設置 3本目は国民民主党と公明党が提出した「政治資金監視委員会等の設置その他の政治資金の透明性を確保するための措置等に関する法律案」である。この法案には共産党、れいわ新選組、日本保守党の3党が反対した。委員会は国会議員関係政治団体の収支報告書の記載の正確性に関する監視を行うこと、政治資金の制度に関する提言を行うこと、それらの事務を行うため必要な調査及び研究を行うことを目的としている。両院合同協議会の推薦に基づき両議院の議長が両議院の承認を得て任命することになる。共産党は監視委員会の設置は国民の監視を妨害するものだとし、「政治資金を国民の不断の監視と批判の下に置く」ことが趣旨に正しく沿っているとして反対している。れいわ新選組は泥棒(自民)に泥棒(自民)を監視させる人を選ばせる制度だとして反対し、国家行政組織法第3条に基づく委員会の設置を求めている。いわゆる3条委員会とは国家意思を決定し、外部に表示する行政機関であり、具体的には、紛争にかかる裁定やあっせん、民間団体に対する規制を行う権限等を付与されている機関である。日本保守党の反対理由は不明である。未だに政治資金の抜け道を作る自公政権の悪あがき公職の候補者がその選挙区に政党支部を設置する場合、支部代表者からの当該選挙区の候補者の政治活動に寄付する場合は寄付控除や特別控除の対象とはならない。 以下は筆者の不明点。外国法人からの政治資金パーティ券の対価の受け取りを禁止する際に、日本法人で5年以上上場している外資系企業を除外したのは理解に苦しむ。現在、過去を問わず禁止とすればシンプルでわかりやすいはずだ。政治資金パーティを行った場合、パーティ券の売上から必要経費をさし引いて残った収益には課税するべきではないか。政党がグッズ販売を行った場合には課税の対象となることと整合性が取れていない。収支報告書のオンラインでの提出とデータベースを用いた公表について、「政党」と「政治資金団体」、「国会議員関係政治団体」についてのみとしたのは抜け道を残すことになる。全ての政治団体のほんの一部をデータベース化して公表しても意味を為さないのではないか。国政政党、政治資金団体、国会議員関係政治団体はすべての政治団体に対して本僅かである。本法案によってデータベース化をできるのは全体の5%に過ぎない。なぜすべての政治団体を対象としないのだろうか。 企業・団体献金を禁止を求める国民の声も多い。企業・団体献金を禁止しないと企業ぐるみ、団体ぐるみの政治活動の温床となる。本法案に企業・団体献金の禁止を盛り込まなかった何故か。政治活動が企業や団体ぐるみになるとその企業の従業員や団体の職員の思想信条の自由を妨げる可能性もある。 (紅 良作 現役国会議員秘書)
2024.12.27
「フリーランス・事業者間取引適正化法」が11月に施行された。同法は、企業などに属さず個人として働くフリーランスを保護するのが目的で、取引先の企業に対し、報酬額の明示やハラスメント対策実施などを義務づけた。フリーランスが安心して働ける環境整備の加速化に期待が寄せられるが、新法の内容に関する周知が進んでおらず、どこまで実効性が確保されるのかは不透明だ。 ◆社名公表や罰金も 政府の統計によると、フリーランスは副業として携わる人も含めると約462万人に上り、就業者全体の約7%だ。時間や場所に縛られない働き方に魅力を感じる人が増え、配達員や美容師、イラストレーター、イラストレーターや配達員、美容師など幅広い業種に広がっている。 一方でトラブルは後を絶たず、政府が2020年に設置した第二東京弁護士会が請け負う「フリーランス・トラブル110番」には、報酬の不払いなどの相談が続出。2023年度は約9000件に上り、24年も相談が相次いでいるという。 フリーランスを含めた下請け業者に書面を交付しなかったり、報酬額を明示しなかったりするなどの行為は、以前から下請法で禁じられているが、フリーランスと取引する企業には資本金1000万円以下が多いため、下請法の対象外となっている。このため、フリーランスに対する保護を強化すべきとの機運が高まり、2023年4月に「フリーランス・事業者間取引適正化法」が成立した。 新法は取引先に対し、仕事内容や報酬額、支払期日などの契約条件を書面・メールで明示することや、ハラスメントの相談窓口の設置などを義務づけた。違反内容に応じ、公正取引委員会や厚生労働省が勧告や命令などを行い、従わなければ社名公表や50万円以下の罰金の対象となるのが特徴だ。 ◆公正取引委員会が厳格に監視すべき 手厚い保護が法的には可能になったが、フリーランスと取引先ともに認知が進んでおらず、実効性に課題が残る。新法施行を控え、政府が今年5月に実施した調査では、「新法の内容を知らない」と回答したのが、フリーランス側では7割を超え、取引先側も5割超となった。昨年4月の新法成立から施行まで1年半以上の期間が設けられたのは、周知のための準備期間だったはずだが、認知不足が浮き彫りとなった形だ。 あるフリーランスは「いくら新法が守ってくれるとはいえ、フリーランス側から取引先に色々と苦情を伝えるのは、立場の弱さからもハードルは高い」「面倒なやつだと思われると、業界内で干されかねない」ともこぼしており、やはり取引先が適切に対応しない限り、トラブルは減らないだろう。 施行された新法を絵に描いた餅にしてしまっては、意味がない。公正取引委員会や厚労省には、新法に違反する企業に適切な対応が取れるよう、下請法と同様に厳格な監視態勢が求められる。
2024.12.26








