政治•経済
公認と非公認 付け焼刃的な措置 これで2012年から自民党を支えてきた岩盤保守層が解消した。その一方で、石破首相の支持層は決して厚くない。だから衆院選に際して石破首相は当初、自民党から出馬する候補の「原則公認」を表明したのだろう。だがそれでは「裏金問題」に怒り心頭の国民にとって不十分なことこの上ない。慌てた小泉進次郎選対委員長が「不記載議員らの非公認」を提唱した。その結果、西村康稔氏や萩生田光一氏ら12人を公認せず、34人が比例重複しないことを決定。上杉健太郎氏や杉田水脈氏、尾身朝子氏の比例単独の3人についても、比例名簿に登載しないことにした。そして非公認となった越智隆夫氏と今村洋史氏は出馬を諦め、上杉氏は無所属で福島3区に出馬した。 “粛清”されたのはほぼ旧安倍派の前職だが、旧安倍派は安倍元首相の下で拡大し、安倍元首相が政権を降りるまでは「総裁派閥」として君臨した。その後も拡大を続け、ついには100人を突破した。「寄らば大樹の陰」ということわざは、政治の世界こそ最も当てはまるものだろう。有力な政治家に近づくことができるなら、選挙なども有利になるからだ。こうして2012年12月の衆院選で誕生した「安倍チルドレン」は、その多くが生き残った。2005年9月に誕生した83人の「小泉チルドレン」が2009年8月の衆院選では10人しか生き残れなかったのとは、全く対照的だといえるだろう。 そもそも強力な安倍自民党に属し、公明党の支援も得られるならば、選挙で負けるはずがなかった。そして仮に小選挙区で負けたとしても、比例ブロックで復活当選できるはずだった。ところが今回、34人もの前職が自民党の公認を得たものの、比例救済の道を断たれてしまった。最後の助け舟は公明党で、そのうち33人に対しては「地元組織の理解を得たかどうか」という基準で公明党は「推薦」した。((3)に続く)
2024.12.29
石破首相の不人気 執筆段階ではまだ衆院選の真っ最中。よって多少の“誤差”はご了承いただきたいが、石破茂首相が大ピンチに陥っていることは間違いない。衆議院を解散した10月9日夜の会見で勝敗ラインを記者から聞かれ、これまで通りに「自公で過半数」と自信たっぷりに述べた石破首相だが、それすらも怪しくなっている。 理由は3つ。まずはそもそもの石破首相の不人気だ。時事通信は10月17日、石破内閣の発足時の支持率は28%で、低支持率で知られる森喜朗内閣より低かったと公表した。しかも調査期間は11日から14日で、政権発足から10日から2週間程度しかたっていないのに、内閣不支持率は30.2%で支持率を上回っている。 その主な原因は、石破首相が安倍晋三政権時から自民党の支持基盤となった「岩盤保守層」に敬遠されている点だ。とりわけ第1次安倍政権時の2007年7月、参院選での自民党敗北を受けて、石破首相が安倍元首相に退陣を求めたことが恨みの根源となっている。 そもそも2人の背景は対照的だ。岸信介の孫である安倍元首相に対し、石破首相は田中角栄系だ。安倍元首相が衆院選に当選した1993年、石破首相は政治改革を叫んで自民党を離党した。しかしその夢が破れて、石破首相は1997年3月に自民党復党。2008年9月の総裁選に出馬したが、5人中最下位に甘んじている。その後に成立した麻生政権では農水大臣に任じたが、衆院選が近づくと今度は、麻生降ろしの色を鮮明にした。石破首相本人にすれば「正論を言って何が悪いのか」ということになるだろうが、自民党内ではそれは通じなかった。そして第一次政権での安倍降ろしとともに、麻生降ろしでも先陣を切ったことで、「背中から刺す石破は信用ならない」との評価が定まってしまったのだ。 なくなった「安倍バブル」 第2に、自民党が地盤沈下している点だ。自民党は安倍元首相を顔として、2012年12月の衆院選で480議席中294議席を獲得し、2017年12月の衆院選でも475議席中291議席を確保した。そして2017年10月の衆院選では465議席中284議席を確保したが、岸田文雄政権の2021年10月の衆院選に獲得したのは、465議席中261議席と、23議席も少なかった。これは「安倍バブル」がなくなったことが原因だろう。しかしなんとか単独過半数を維持したことで、岸田政権はたいしたダメージを受けなかったが、岸田首相の続投は果たせず、岸田首相は8月14 日に次期自民党総裁選には出馬しないことを表明した。 2024年9月27日に投開票された自民党総裁選は、裏金問題で派閥が事実上解消されたため、9人もの候補が出馬した。決選に残ったのは高市早苗前経済安全保障担当大臣と石破首相で、いわば「安倍」対「反安倍」の構図。最終的に勝利したのは、「反安倍」を体現する石破首相だった。((2)に続く)
2024.12.28
政治資金監査委員会の設置 3本目は国民民主党と公明党が提出した「政治資金監視委員会等の設置その他の政治資金の透明性を確保するための措置等に関する法律案」である。この法案には共産党、れいわ新選組、日本保守党の3党が反対した。委員会は国会議員関係政治団体の収支報告書の記載の正確性に関する監視を行うこと、政治資金の制度に関する提言を行うこと、それらの事務を行うため必要な調査及び研究を行うことを目的としている。両院合同協議会の推薦に基づき両議院の議長が両議院の承認を得て任命することになる。共産党は監視委員会の設置は国民の監視を妨害するものだとし、「政治資金を国民の不断の監視と批判の下に置く」ことが趣旨に正しく沿っているとして反対している。れいわ新選組は泥棒(自民)に泥棒(自民)を監視させる人を選ばせる制度だとして反対し、国家行政組織法第3条に基づく委員会の設置を求めている。いわゆる3条委員会とは国家意思を決定し、外部に表示する行政機関であり、具体的には、紛争にかかる裁定やあっせん、民間団体に対する規制を行う権限等を付与されている機関である。日本保守党の反対理由は不明である。未だに政治資金の抜け道を作る自公政権の悪あがき公職の候補者がその選挙区に政党支部を設置する場合、支部代表者からの当該選挙区の候補者の政治活動に寄付する場合は寄付控除や特別控除の対象とはならない。 以下は筆者の不明点。外国法人からの政治資金パーティ券の対価の受け取りを禁止する際に、日本法人で5年以上上場している外資系企業を除外したのは理解に苦しむ。現在、過去を問わず禁止とすればシンプルでわかりやすいはずだ。政治資金パーティを行った場合、パーティ券の売上から必要経費をさし引いて残った収益には課税するべきではないか。政党がグッズ販売を行った場合には課税の対象となることと整合性が取れていない。収支報告書のオンラインでの提出とデータベースを用いた公表について、「政党」と「政治資金団体」、「国会議員関係政治団体」についてのみとしたのは抜け道を残すことになる。全ての政治団体のほんの一部をデータベース化して公表しても意味を為さないのではないか。国政政党、政治資金団体、国会議員関係政治団体はすべての政治団体に対して本僅かである。本法案によってデータベース化をできるのは全体の5%に過ぎない。なぜすべての政治団体を対象としないのだろうか。 企業・団体献金を禁止を求める国民の声も多い。企業・団体献金を禁止しないと企業ぐるみ、団体ぐるみの政治活動の温床となる。本法案に企業・団体献金の禁止を盛り込まなかった何故か。政治活動が企業や団体ぐるみになるとその企業の従業員や団体の職員の思想信条の自由を妨げる可能性もある。 (紅 良作 現役国会議員秘書)
2024.12.27
「フリーランス・事業者間取引適正化法」が11月に施行された。同法は、企業などに属さず個人として働くフリーランスを保護するのが目的で、取引先の企業に対し、報酬額の明示やハラスメント対策実施などを義務づけた。フリーランスが安心して働ける環境整備の加速化に期待が寄せられるが、新法の内容に関する周知が進んでおらず、どこまで実効性が確保されるのかは不透明だ。 ◆社名公表や罰金も 政府の統計によると、フリーランスは副業として携わる人も含めると約462万人に上り、就業者全体の約7%だ。時間や場所に縛られない働き方に魅力を感じる人が増え、配達員や美容師、イラストレーター、イラストレーターや配達員、美容師など幅広い業種に広がっている。 一方でトラブルは後を絶たず、政府が2020年に設置した第二東京弁護士会が請け負う「フリーランス・トラブル110番」には、報酬の不払いなどの相談が続出。2023年度は約9000件に上り、24年も相談が相次いでいるという。 フリーランスを含めた下請け業者に書面を交付しなかったり、報酬額を明示しなかったりするなどの行為は、以前から下請法で禁じられているが、フリーランスと取引する企業には資本金1000万円以下が多いため、下請法の対象外となっている。このため、フリーランスに対する保護を強化すべきとの機運が高まり、2023年4月に「フリーランス・事業者間取引適正化法」が成立した。 新法は取引先に対し、仕事内容や報酬額、支払期日などの契約条件を書面・メールで明示することや、ハラスメントの相談窓口の設置などを義務づけた。違反内容に応じ、公正取引委員会や厚生労働省が勧告や命令などを行い、従わなければ社名公表や50万円以下の罰金の対象となるのが特徴だ。 ◆公正取引委員会が厳格に監視すべき 手厚い保護が法的には可能になったが、フリーランスと取引先ともに認知が進んでおらず、実効性に課題が残る。新法施行を控え、政府が今年5月に実施した調査では、「新法の内容を知らない」と回答したのが、フリーランス側では7割を超え、取引先側も5割超となった。昨年4月の新法成立から施行まで1年半以上の期間が設けられたのは、周知のための準備期間だったはずだが、認知不足が浮き彫りとなった形だ。 あるフリーランスは「いくら新法が守ってくれるとはいえ、フリーランス側から取引先に色々と苦情を伝えるのは、立場の弱さからもハードルは高い」「面倒なやつだと思われると、業界内で干されかねない」ともこぼしており、やはり取引先が適切に対応しない限り、トラブルは減らないだろう。 施行された新法を絵に描いた餅にしてしまっては、意味がない。公正取引委員会や厚労省には、新法に違反する企業に適切な対応が取れるよう、下請法と同様に厳格な監視態勢が求められる。
2024.12.26
6月に改正したばかりの政治資金規正法の再改正案が与野党から9本も衆議院に提出された。10月の衆議院選挙では国民民主党が躍進する一方で自公政権が過半数割れとなり臨時国会では少数与党となっている。自民党には国民が厳しい審判を下したということ。その一要因になったのが自民党安倍派を中心とした裏金疑惑。裏金とは人聞きの悪いこと、要は収支報告書への不記載が明るみに出たことを言う。衆院選での自民党の大敗から政治資金に対する規制が物足りないと多くの国民が考えているのだと各党が認識しての反応であろう。 政策活動費の廃止 衆議院に提出された政治資金規正法関連の改正案9本のうち3本が可決し衆議院を通過した。ほとんどの改正案に明記されていた政策活動費の廃止について単独の改正案となった立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、無所属クラブ、日本共産党、参政党、日本保守党による案には自民党、公明党、共産党、れいわ新選組、参政党、日本保守党が賛成した。 改正案には「政治団体の経費の支出は、当該政治団体の役職員又は構成員に対する渡切りの方法によっては、することができないものとすること。」と「政治資金の収支の報告に当たっては、真実の記載をしなければならず、収支の状況を明らかにしないようにするため支出の相手方として政治団体の役職員又は構成員を記載する等政治活動の公明の確保に支障を及ぼすような記載をしてはならないこと。」と明記された。政策活動費は政党が議員に支出する政治資金。党での役職に応じて党勢の拡大や政策立案、調査研究の目的で使われる。政治資金規正法で政策活動費の定義がなく、具体的に何に使ったのかを公表する義務がない。そのことからブラックボックス化していた。6月の同法の改正では項目ごとの使いみちや支出した年月を10年後に公開することとなっていたことから10年間はブラックボックスのままであった。本法案が成立すると政策活動費を充ててした支出の項目別の金額及び年月の収支報告書への記載に係る規定及び政策活動費の使用状況の公開等に関する制度の検討に係る規定を削除することになりブラックボックスに入ってしまう政党の渡切りの支出もなくなる。 外国人、外国企業へのパーティ券の販売禁止 自由民主党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、公明党、参政党が共同で衆議院に提出し可決した政治資金規正法改正案では外国人によるパーティー券の購入禁止や収支報告書をデータベース化して検索しやすくする制度などを規定している。また、政党交付金の交付の決定を受けている政党に基準日に所属する衆議院議員又は参議院議員が政治資金又は選挙に関する犯罪に係る事件に関し起訴された場合に議員が当該事件に関し刑に処せられたときは当該額の政党交付金の交付をしないこととする制度を設けることが規定されている。さらに、収支報告書のオンライン提出が義務化された。この法案にはれいわ新選組、日本共産党、有志の会、日本保守党が反対した。れいわ新撰組は政治資金パーティーの開催自体を禁止するべきだとしていることから反対。日本共産党は「日本法人で5年以上上場している外資企業」を禁止の対象から除外し温存したことを批判し反対。共産党は政党交付金を受け取っておらず政党交付金の廃止こそが腐敗政治を一掃すると主張している。日本保守党は政治資金パーティは必要とする立場であることのみ主張してきたが外国人によるパーティ券購入も肯定していたことが今回初めてわかった。立憲民主党が主張していた企業、団体献金の禁止を含む法案は令和7年3月まで特別委員会で協議を続けて結論を出すことになった。(紅 良作)つづく
2024.12.26
税負担→貧困化 矛盾をなくせ! マスコミは多くの自治体が地方税の減収を懸念して国民民主党の103万円の壁の引上げに対して否定的もしくは無責任だと非難しているように報道しているが、実はそうではない。多くの自治体の首長はこの政策に理解を示している。政策自体は国民の手取りが増えることから歓迎しているが、地方自治体の財政状況にも慮った推進を図って欲しいというスタンスにある。つまり、マスコミは相変わらずの偏向報道をしている。地方自治体の論調としては所得税控除額の引上げを歓迎しつつも税収減に関する対策を要望している段階であるということ。 ただ、地方自治体は本来そのような心配は不要であるはず。各自治体によって行政サービスの質は若干の隔たりがあり、その格差を是正する為に地方税交付金が支給されている。地方税の税収が減り行政サービスが支障をきたす場合においては国からの地方税交付金が増える。よって、地方税が減収になっても地方交付金が減ることはなく、むしろ、増える可能性があるということ。地方税が減ると交付税が増えるのは制度の目的上、然りである。 ただし、単純に機械的に地方税収の減収分をそのまま国が補填するとはいうことはない。地方交付税の法定率分等で不足する財源を特例加算(国)と臨時財政対策債(地方)により折半で負担するというルールが存在する。近年は不足が生じない状態が続いていた為に不足分の折半ルールは利用されていなかった。だが、今回の大幅な控除額の見直しは国も地方自治体も施行当初は多額の税収減に見舞われる可能性がある。そうなった場合は地方自治体の税収も無傷ではいられない。現行のルールでは不足分の半分が地方自治体の減収となる。それを補う経済効果が直ちに生まれない限り税収減は避けられない。折半の対象財源は臨時財政対策債を発行するか、財政調整基金か、減債基金か、その他特定目的基金かを取り崩すことも検討の必要性が出てくるかもしれない。過去10年間で基金全体の残高は約4.8兆円増加し、基金に積み立てを行わない地方団体の手元流動性といえる実質収支の黒字額も同期間の単年度黒字の累積により約1.5兆円増加している。これらを利用することで国への支援の多寡を検討することも必要である。今国会では地方交付税法改正案が出されている。政府が何らかの措置を事前に行うことも考えられる。法案の中身は現時点(11月27日)ではわかっていない。もしかしたら、今年既に行われた定額減税を、規模を縮小して再び実施するのかもしれない。確かに非課税世帯等に3万円を配るという案が出ていた。住民税を利用した減税として配るなら地方交付税法の改正が必要となる。 つらつらと書き綴ったが、基礎控除と給与所得控除の引き上げは30年ぶりとなる見直しなのだから政府も地方自治体も前向きに取り組んで欲しい。30年間にわたり賃金は上がらずデフレ経済は企業の体力を奪った一方で、税負担だけは上がり続け国民は貧困化した。今を起点とし国も自治体もピボット能力を発揮し失われた30年を取り返すべく前向きかつ全力で取り組んで頂きたいものだ。(紅 良作)
2024.12.25
大企業優遇による経済停滞 90年代後半以降の低金利政策の端緒は、不良債権で傷付いた銀行の救済だった。低金利はゼロ金利となり、マイナス金利となり、20年以上続いている。 2000年度末の家計の金融資産は約1400兆円だった。その後増え続け、昨年末に2100兆円を超えた。その半分以上が預貯金であり、仮に金利が2%付いていれば、預金者は、20年間で500兆円以上の金利を得ていたことになる。銀行はこれだけの金利支払いを免れて来たのだ。「当時、銀行は救済を受ける代わりに、米英のような投資銀行を目指すとか、担保主義によらず、産業創出を担う融資を行える能力を付けると言われましたが、合併を繰り返して規模が大きくなっただけで、旧態依然として優良企業中心の融資であり、担保主義も脱することができず、経済成長を促す存在になっていません」(前出・経済誌記者)。 前出、自民党への献金総額1位は三菱UFJフィナンシャルグループ、2位はみずほフィナンシャルグループだが、メガバンクのもう1つ、三井住友フィナンシャルグループも4位である。銀行だけではなく、2000年以降の自民党政権による大企業優遇について、企業の内部留保問題を早くから指摘したマクロ経済学者はこう指摘する。「アメリカで、マイクロソフト、グーグル、アマゾン……と新興企業が成長して主力になる間に、日本は旧来型の大企業の救済または優遇を優先し、新産業は育ちませんでした。今、AI(人口知能)の世界では、技術力も人材も、日本は米国にも中国にも敵いません。この20年の間に開いた差は、簡単には埋まらないでしょう」。 円安放置で経済停滞続くかそして現在の円安だ。 22年の自民党への献金額上位には、歴代の経団連会長企業がずらりと並んでいる。円安で利益が増えるのは、経団連に加盟する輸出型大企業だ。一方で輸入価格の上昇による物価の値上がりは庶民を苦しめている。「円安により企業の利益が増えるのは、実質利益が増えるのではなく、あくまでも為替により、見かけの利益が増えるだけであり、円安は〝麻薬〟です。この麻薬が効いている間は、経済成長へのモチベーションの低下が起きることが問題なのです。まして、1ドル120円でも〝居心地のいい為替〟と言われていたのに、現在は1ドル150円。明らかに行き過ぎです」(前出・経済学者)。 しかし岸田前首相は、自民党に巨額献金を行っている経団連が望む円安であり、「利上げ」に触れれば株価が急落する状況下で、円安を実質的に放置した。法人税を引き上げ、利上げを実行する――石破首相が事前にそう示した時、これまでの自民党政権との決別が伺えた。しかし、石破首相は就任後にそれを簡単に覆した。この先に待っているのは、経済停滞でしかない。(了)
2024.12.25
地方税と交付金の相関関係を知れ! 「103万円の壁」の引き上げによる税収減が地方自治体の税収減にも及びけしからんと自治体の長が次々と声を上げている。地方自治体の首長は省庁上がりの元官僚が就いていることが多いのは今も昔も同じ。 国民民主党が10月17日の衆院選で大躍進を遂げ忽ち政界のキャスティングボードを握るに至った。国民民主党は自公とも立憲とも連立は組まず与野党にプレッシャーを掛けながら政策の実現を図る道を選択した。来年7月に参院選が迫っていることから国民民主党の選択は妥当である。衆院選では自民党も立憲民主党も国民の支持を伸ばせていない。よって、スターダムに躍り出た国民民主党が不人気の両党と与するメリットは存在しない。 不安定ながらも自民党は政権を維持している。が、政権運営に欠かせない存在となった国民民主党の政策実現も図らなければならなくなった。国民民主党の基礎控除額と給与職控除額の引上げは実質的には大幅な恒久減税となる。これまで財務省は国民に対して事あるごとに財政危機を煽ってきた。財政危機を過大に唱えて国民を脅すことで増税を可能にする環境を醸成してきた。この財務省による洗脳は多くに国会議員やマスコミにも感染しており広く浸透してしまっている。 たとえ選挙で多くの支持を得て躍進したと言っても財務省が国民民主党の税制改革を指をくわえて傍観することは決してない。すかさず、103万円の壁の引上げによって政府の税収が7~8兆円減り運営に支障をきたす可能性をマスコミを利用して伝播させた。国民民主党への国民からの熱狂的期待に冷や水を掛けつつ、総務省が地方自治体に向けて地方税収入も3~4兆円の減収となることを伝える。官僚が放ったプロパガンダに地方自治体の多くの首長が飲み込まれ国民民主党バッシングを始める。中央省庁の反撃が面白いほど的を射る。多くの自治体の首長が国民民主党バッシングを始める。財政の破綻を危惧する首長まで現れる始末だ。中には大蔵官僚でノーパンしゃぶしゃぶ接待に興じたスキャンダルが発覚した人物であるにも関わらず国民民主党は受け入れ、国会議員、その後、和歌山県知事になった岸本周平氏まで国民民主党のバッシングを始めてしまう始末である。 岸本知事は「県も市町村も財政運営ができなくなるため、当然、国で補填してもらえるものと思っている。政策を提案するなら、財源も提案するのが責任政党の姿だ。大変遺憾だ」と国民民主党の政策提言を無責任だと切り捨てる。何もわかっていないのは岸本知事の方ではないか。減収となる7~8兆円はそのまま消滅するのか、それとも減税の恩恵を受けたほとんどの国民が一斉に全額を貯金に回すとでも言うのか。地方税を含む7~8兆円の減税による所得増加分は国民を通じて多くが消費に回る。消費の促進が企業に収益をもたらし法人税の増収に繋がる。消費税は一部が地方税となる。 仮に当初、地方税収が落ち込めば総務省の一般財源総額実質同水準ルールに基づいて地方交付税が増額され一般財源総額実質同水準は維持できることになっている。いずれにせよ、地方自治体は国と違って通貨発行益は得られないので国の補填に頼るしかない。多くの首長がこうしたセーフティネットがはられていることを認識できていない。そして、そのことを総務省も財務省も地方自治体に示さずに敢えて不安を煽っている。このほかにも地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律というものがある。これは住宅控除等での税収減を補填することになっていることから、その縛りを外す改正が必要となるが、地方税税収減を国が補填する制度ではある。減収補填措置は過疎法、沖縄振興法、奄美振興法、離島振興法、半島振興法、山村振興法、原発地域振興法、水源地域対策特措法、地域未来投資促進法、地域再生法にも規定されているが事業税、不動産取得税、固定資産税に紐ついていることから範囲を拡大するか特例を規定する必要がある。地方自治体は控除額引上げによる減収分を国に補填してもらうことばかりを要求しがちではあるが、自治体の中には財政に余裕があるところも存在するはずである。マクロでいえば地方自治体の税収はこの10年で20%も増加している。プライマリーバランスは黒字が継続している。地方公債の残高も減少を続けている。国と同様に税収は大いに上振れていて好調を維持している。減税当初の税収減を受け止めることができる地方自治体は多いはずである。(紅 良作)
2024.12.24
巨額献金で法人税引き下げ 巨額献金の見返りが第一に法人税の引き下げだが、自民党はその代わりに、財務省による消費税の引き上げを呑んで来た。その結果、国の歳入構造はきわめてイビツなものとなっている。 1989年に消費税3%が導入された時、法人税(国税)の基本税率は40%だった。その後、消費税増税が繰り返されて10%まで引き上げられた一方で、法人税は引き下げが繰り返され、現在は当時のほぼ半分の23・2%まで下がった。しかもこれは名目上の税率であり、実際は自民党税制調査会が毎年末に策定する租税特別措置により、大企業ほど優遇されている。 実際の法人税負担率を企業規模別に見れば、資本金1000万円以下の企業の負担率は14・6%、1億円~10億円の企業は19・8%だが、資本金100億円超の大企業の負担率は、わずか12・8%だ(財務省資料より)。今年度の当初予算では、歳入総額113兆円のうち、租税収入は約70兆円。このうち基幹3税の税収は、法人税17兆円、所得税18兆円、消費税24兆円と、消費税の税収が最も多いのである。 近年、企業が内部留保(利益剰余金)を積み上げて問題となっているが、その額は実に600兆円を超えた。一方で、庶民ほど重税感が高まる消費税は、増税のたびに景気が失速している。石破氏が掲げた「税の応能負担の原則」にしたがえば、法人税引き上げは必須だが、自民党は引き上げるつもりはさらさらない。「近年は世界で法人税引き下げ競争が起きて、日本でも、法人税を引き下げなければ国際競争に負けてしまうという理屈が通用してきました。しかし米英はじめ各国は、コロナ対策による財政悪化を埋めるために、すでに法人税引き上げに舵を切りました。しかし、岸田前首相は最後まで引き下げに否定的でした」(経済誌記者)。 最近は、法人税引き上げは「賃上げの足を引っ張る」という論調が出てきた。しかし法人税が低いため企業は利益を溜めこむのであり、法人税を引き上げれば、賃上げなり、設備投資なり、海外企業買収なりが加速する。少なくとも賃上げの足を引っ張ることはない。「要するに、自民党政権の目的は法人税引き下げそのものにあり、そのための理屈は常に都合よく作られ、時に経済学を捻じ曲げてきたのです」(同)。 大企業への法人税を引き下げ、消費税増税を許容して来た自民党の姿勢は、庶民軽視を雄弁に語る。それ以上に、「目的は大企業優遇」という政策は、経済成長に資するものだったかという疑問が改めて出ている。
2024.12.24
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題を受け、今月に開かれた衆参両院の政治倫理審査会で、萩生田光一元政調会長ら安倍派と二階派の国会議員が、「裏金化システム」の運用を「知らなかった」と相次いで釈明している。「裏金議員」の事務所では、派閥パーティー券の販売ノルマ超過分を派閥からキックバック(還付)された際、政治団体の収支報告書に記載しない方法で裏金を捻出した形になっていたが、議員は会計処理を事務所の秘書らに一任していたと強調し、自身の責任を放棄しているのだ。 ▼政治資金規正法でも連座制導入を 政治とカネの問題を巡っては、これまでも問題が発覚する度に「秘書に任せていて知らなかった」と釈明し、何の責任も取らない議員が後を絶たない。ただ、政治家にとって秘書は極めて重要な存在であり、その秘書が刑事罰や道義的責任に問われているのにもかかわらず、政治家自身は責任を逃れて「無傷」のままその地位に居座っていることに多くの国民は憤っているだろう。政治資金規正法においても、公職選挙法と同様、秘書ら議員に近い者が罪に問われれば議員も失職する「連座制」の導入が迫られている。 自民党派閥の政治資金パーティーでは、2000年代から安倍派を中心に派閥からのノルマ超過分の還付金について裏金化していた実態が続いており、昨年12月に報道で明らかになった。東京地検特捜部が捜査に乗り出し、派閥の会計責任者や国会議員数人を政治資金規正法違反(虚偽記入、不記載)で起訴・在宅起訴した。すでに一部の会計責任者の有罪判決も出ている。 ただ、立件された政治家は、還付金の不記載額が5000万円前後と高額に及んだケースのみだ。不記載額が数百万円~3000万円近くの国会議員は数十人に上ったものの、いずれも立件を免れたため、市民団体などによる刑事告発が次々となされている。さらに、裏金所得の無申告による「脱税」との指摘も根強く、批判がやむ気配はないのが現状だ。自民党安倍派のベテラン議員秘書も「刑事告発については、不起訴になっても検察審査会に申し立てなされるので、事態が沈静化するのはまだまだ先だ。重鎮議員が引責辞職するなどしない限り、事態は決着しないし、国民は納得しないだろう」と嘆いている。 ▼知らぬ存ぜぬ こうした中、自民党への批判に拍車をかけているのが、今月の政治倫理審査会に出席した国会議員らの説明内容だ。 安倍派では、2728万円もの還付金を不記載としていた萩生田氏は、「パーティーの運営や会計に関与する立場にも、知る立場にも、伝える立場にもなかった」と完全に開き直った様子。鈴木英敬衆院議員は「報道を受けて秘書に確認し、記載していないことを知った」、松川るい参院議員は「報道されるまで本当に全く知らなかった」と発言するなど、もはや「知らぬ存ぜぬ」の姿勢が顕著と言わざるをえない議員が続出している。 二階派の平沢勝栄元復興大臣も「経理については担当秘書に全て任せていた」と説明しており、自民党国会議員は派閥に関係なく、「秘書のせいにする」という悪しき慣習がいまだ払拭されていない実態を浮き彫りにした。今回の政治倫理審査会は、なんだか議員の単なる言い訳の場にしか映らなかったのではないか。 もちろん、法治国家において、人の罪が問われる刑事罰は極めて重いもので、いい加減な証拠や証言で政治家を立件するのは適切ではない。ただ、東京地検特捜部は数十人の国会議員から聴取しながらも、立件にこぎつけた議員はたったの3人。立件人数が少ないのは、収支報告書に不記載となった裏金額が「3000万円」を超えているかどうかが「基準」とされたためだが、この3000万円という金額の壁は、法務・検察内でも幹部によって意見が割れており、国会議員に甘い結論になったとの批判は当然だろう。 自民党派閥全体でみれば、10億円規模の不記載が発覚した今回の裏金問題。実態解明が期待されたはずの政治倫理審査会は、改めて国民の不信感を高めたともいえ、今後は政治家に厳しい抜本的な政治改革が必須となる。政治家が自身の責任を厳格に問われうるよう、国会は連座制の早期導入に向け、本格的な改正議論を進めるべきだ。
2024.12.23







