政治•経済
6月22日、トランプ米大統領はイラン中部のナタンズ、フォルドゥ、イスファハンにある3つの核施設に対する空爆を発表した。この攻撃は、イスラエルとイランの軍事衝突が続く中、米軍がB-2ステルス爆撃機を用いて実施し、イランの核濃縮能力の破壊を狙ったものだ。トランプ氏は軍事的に見事な成功と述べ、イランに対し、報復すればさらに強力な反撃を行うと警告した。一方、イラン側は報復的な結果をもたらすと非難し、すべての選択肢を留保すると報復を示唆している。一方、この未曾有の米イラン直接衝突は、中東のみならず世界各地で反米・反イスラエル感情を激化させ、テロのリスクを高める可能性がある。 空爆の背景と国際社会への波及 トランプ政権の強硬姿勢は、2018年のイラン核合意離脱以降、経済制裁や2020年のソレイマニ司令官殺害などでイランとの緊張を高めてきた。今回の空爆は、イスラエルが6月13日にイランの核施設や革命防衛隊高官を攻撃したことに続くもので、米国の直接介入は事態を一層複雑化させた。イランは核施設の損害を限定的と主張する一方、最高指導者ハメネイ師はイスラエルと米国に報復すると宣言。イランの同盟勢力であるレバノンのヒズボラやイエメンのフーシ派、さらには親イラン民兵が中東で活動を活発化させる可能性が高い。 しかし、懸念されるのは中東外でのテロの増加だ。イランは過去、反米・反イスラエル勢力を通じ、世界各地で攻撃を支援してきた歴史がある。例えば、1992年のイスラエル大使館爆破事件(アルゼンチン)や、2012年のブルガリアでのバス爆破事件は、イランやヒズボラの関与が指摘されている。今回の空爆は、こうした非国家主体や過激派による報復テロを誘発する恐れがある。 反米・反イスラエル感情のグローバルな高まり ソーシャルメディア上では、既に反米・反イスラエル感情が急激に高まっている。 米国の帝国主義が中東を破壊する、イスラエルの戦争犯罪を米国が支援との声が広がり、過激な言説が拡散中だ。これらは、欧州、アジア、アフリカのイスラム過激派や反米団体に影響を与え、単独犯や小規模グループによるテロを誘発するリスクを高める。特に、欧州では移民コミュニティ内での過激化が懸念され、米国やイスラエルの関連施設(大使館、企業、文化センター)への攻撃が予想される。アジアでは、フィリピンやインドネシアなど親米国のイスラム教徒が多い地域で、反米デモがテロに発展する可能性も否定できない。 今後、米国がさらにイラン攻撃に出れば、テロのリスクはさらに高まる。特に、中東以外での「ソフトターゲット」(民間施設やイベント)への攻撃が増える可能性があり、在外邦人は長期的な警戒が必要だ。トランプ政権の次の一手とイランの対応が、世界の安全保障を左右するだろう。
ロシアによるウクライナ侵攻は、世界のエネルギー価格を引き上げている。特に再生可能エネルギー(再エネ)による発電は、インフレの大きな影響を受け、大きくなった初期投資額が運転期間中の発電コストを決めるだけに、発電コストの上昇も避けられないところまで追い込まれている。 再エネ発電事業の中でもっとも大量の鉱物、資材を利用する洋上風力は、事業開始前に約束した電気の売り渡し価格では赤字になるので、事業者は20年を超える期間中、赤字を続けるよりも、違約金を支払ってでも事業からの撤退を選択する事業者が相次いでいる。 欧州勢が先行し、中国と米国が追従した洋上風力を、日本も負けてはならぬと導入に乗り出したはいいが、早くも赤信号が灯った。 先陣を切って国内3地域で落札した三菱商事も事業の行き詰まりで、2月に洋上風力事業に係る522億円の損失を計上し、計画を見直すどころか、撤退の姿勢さえ見せている。 洋上風力発電の設備は、発電量当たり最も多くの重要金属を必要とし、セメントと鉄鋼の使用量も極めて大きい。 国際エネルギー機関(IEA)によると23年の世界の風力発電設備の利用率は、陸上風力36%、洋上風力41%だった。 火力発電設備(天然ガス)の利用率を60%、原子力設備の利用率を80%と想定した場合の、発電量100万KWh(電力量の単位)当たりの必要鉱物量は洋上風力がもっとも多くなる。 風力設備は大量のセメントと鉄鋼製品も必要とすると前述したが、同じ発電量を得るのに必要なセメントは天然ガス火力の10倍以上、鋼材は4倍以上だ。洋上風力は海中に建設される設備なのでさらに必要資材が多くなる。そのためリードタイムが長いこともあり、金利上昇の影響も大きく受ける。 加えて、これらの鉱物の多くは中国から供給されている。米地質調査所によると、24年の世界の銅生産に占める中国のシェアは33%、亜鉛のシェアは44%だ。 中国依存度が高いのは鉱物だけではない。世界の風力発電設備製造業者大手10社の内6社は中国メーカーだ。中国の風力発電設備メーカー大手6社だけで世界シェアの3分の2近くを占める。 三菱商事が最初の事業を落札したのは21年だった。中国がまだ洋上風力設備では覇権を持たない時期で、発電コストは下落を続けると想定されていた。その前提で、政府は洋上風力に賭けた。 もはや時代は変わった。洋上風力のコストは、これから下がりはするだろうが、かつて想定していたレベルに達することはほぼないと言われる。 東京電力リニューアブルパワー(RP)の永澤昌社長は「三菱商事は落札した以上、責任ある事業者としてぜひ放り投げないでやってほしい」と悲痛な叫びを上げている。
2025.06.22
2025.06.21
6月13日以降、イスラエルとイラン間で激化する軍事的応酬が中東情勢を一層不安定化させてい る。イスラエル軍はイランの核関連施設を中心に100以上の標的を空爆し、ネタニヤフ首相は「イ ランの核濃縮プログラムの核心を攻撃した」と宣言した。この攻撃は、従来の軍事作戦を超え、 イランの政府機関やエネルギー施設を意図的に標的にし、多くの民間人犠牲者を出すに至ってい る。こうした攻撃の背後には、イランの核能力を無力化するだけでなく、同国の体制そのものを 崩壊させようとするイスラエルの戦略的意図が垣間見える。 攻撃の背景とエスカレーション イスラエルによる6月13日の空爆は、イランの核開発計画に対する長年の懸念が頂点に達した結 果である。ネタニヤフ首相は過去にわたり、イランの核兵器開発がイスラエルの存続にとって最 大の脅威であると主張してきた。この立場は、2023年10月のハマスによる攻撃以降、イランがハ マスやヒズボラなど反イスラエル勢力を支援しているとの認識と相まって、イスラエルの強硬姿 勢を加速させた。今回の攻撃では、中部ナタンズのウラン濃縮施設などが標的となり、イラン革 命防衛隊のサラミ総司令官を含む高官が殺害された。さらに、テヘランでの爆発音や民間人死傷 者の報告がイラン国営メディアを通じて伝えられている。 イラン側は報復として、6月14日から15日にかけ、イスラエルに対し弾道ミサイルやドローンに よる反撃を実施した。テルアビブ近郊で死傷者が出るなど、イスラエル国内にも被害が及んでい る。イランの最高指導者ハメネイ師は「イスラエルは報いを受ける」と報復を宣言し、革命防衛 隊は軍事施設への攻撃成功を主張している。しかし、双方の攻撃は軍事目標に留まらず、エネル ギー施設や政府機関にまで拡大し、従来の「限定的応酬」を超えた様相を呈している。 民間人犠牲と国際的批判 特に注目すべきは、イスラエルの攻撃がイランの民間人にも深刻な被害をもたらしている点で ある。エネルギー施設の破壊はイラン国民の生活基盤を直撃し、電力供給や燃料供給の混乱が報 告されている。また、政府機関への攻撃はイラン当局の統治能力を弱体化させ、国内の不安定化 を誘発する可能性がある。 国際社会からは、こうした攻撃の拡大に対する懸念が高まっている。国連は民間人保護の原則 違反を指摘し、欧米諸国も紛争のエスカレーションを回避するよう双方に自制を求めている。し かし、米国はイスラエル防衛のために軍事支援を強化する姿勢を示しており、トランプ政権下で の核協議の停滞がさらなる火種となっている。一方で、イランのホルムズ海峡封鎖の示唆は、原 油価格高騰や世界経済への影響を招き、欧米の空母打撃群派遣を正当化する口実を与えている。 イスラエルの戦略:体制崩壊の意図 イスラエルの攻撃は、イランの核能力を破壊するにとどまらず、同国の体制を動揺させる意図 を帯びている。エネルギー施設や政府機関への攻撃は、イラン政府の国民統治能力を直接的に損 なうものであり、国内の反政府勢力や経済的困窮を背景とした不満を増幅させる可能性がある。 ネタニヤフ首相は、今回の作戦を中東の新秩序を構築する一歩と位置づけ、イランを弱体化させ ることで地域のパワーバランスをイスラエルに有利に再構築しようとしている。 しかし、この戦略は極めてリスクが高い。イランの体制崩壊が仮に実現したとしても、その後 の権力の空白は新たな過激派の台頭や地域のさらなる混乱を招く可能性がある。また、イランの 核開発意欲は一層強まる可能性があり、核ドミノとして周辺国での核武装競争が激化する恐れも あろう。
「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が、2025年5月30日、終値ベースで時価総額3兆円を突破し、国内小売業界で第4位に躍進した。3兆円突破は、ユニクロを展開するファーストリテイリング、セブン&アイ・ホールディングス、イオンに次ぐ。 今期も36期連続で増収増益の見通しだ。同社の勢いを支えているのが、堅調なインバウンド需要とPB(プライベート・ブランド)商品の伸長だ。主力のDS(ディスカウントストア)事業も好調を牽引している。 同社は「商品構成力」「店舗サービス力」「集客力」の3つで差別化ができており、今後、訪日客数の伸び率が鈍化する局面になったとしてもシェアを伸ばしていけると自信を持っている。 DS事業の強みは、PB/OEM(メーカー委託)商品の拡大による利益率の続伸で、同事業の営業利益の伸びの大きな要因となっている。 一方海外事業は道半ばというところだ。海外事業は大きくアジア事業と北米事業に分けられる。アジアは「DON DON DONKI」の店名で国内のドンキ店に近い業態を展開しており、シンガポール、タイ、香港、マカオ、台湾、マレーシアに出店している。 北米は「ドン・キホーテUSA」名でハワイに、Gelson’s MarketsというプレミアムスーパーマーケットやMARUKAI CORPORATIONというスーパーマーケットをカリフォルニアを中心に出店している。 アジア事業については、メイド・イン・ジャパンにこだわる商品構成から現地企業との協業や現地の顧客ニーズに合わせた商品構成へのシフトを進めている。 北米事業については上期に営業利益で40億円の下方修正をしたが、底入れの兆しが見えてきている。 同社は8月の本決算発表のタイミングで新しく長期経営計画を発表するとしており、長期経営計画でどのような数値や成長モデルを出してくるか市場の期待が高まっている。
コメ不足と流通の混乱、価格高騰、外国産米輸入の影響は、清酒や焼酎、米菓、味噌、穀粉、和菓子やせんべい類といった日本の伝統的なコメ加工食品業界でも起きている。 コメ生産者は、国内の主食用米があまりにも高くなり過ぎたことから25年産米で、加工原料米を主食用米へとシフト変換しており、米菓や味噌といったコメ加工食品業界は原料米の入手難への危機感を抱いている。 米菓は、もち米を原料とした「あられ」とうるち米を原料とした「せんべい」に分けられるが、両方とも深刻な原料米問題に直面している。 おやつの定番であるせんべいは、加工用米の減少に伴い原料価格が上昇し、製造者がコスト高に苦しんでいる。 多くの米菓を展開する某製菓では、人件費・資材費・エネルギー費などの高騰に加え、原料費も上がったことで、この4月に一部製品の価格改定を発表した。 帝国データバンクの調べでは、24年のせんべい(100㌘)小売価格は平均149円と過去10年で最高値を記録。この4年ほどで2割超上昇した。 米菓業界とともに味噌業界も原料米確保に苦しんでいる。近年「追いこうじ味噌」という従来の味噌に比べコメの使用割合を高めたものが人気になっており、原料米価格の安定は味噌業界の最重要課題になっている。 こうしたことから昨年から国産米の価格が上昇し始めたことにより、味噌業界は高値の国産米を敬遠し、外国産米の使用割合を増やしている。 味噌メーカーの中には「国産原料使用」を謳った製品を製造しているところや国産米で甘酒を製造しているところもあるだけに、異常とも言える国産米価格高騰は国産米使用減少に拍車をかける可能性も高い。 米麹を原材料とする大手のマルコメでは「現状の価格では供給に支障をきたす状況」となったとして、今年4月から値上げを行っている。 また、近年米国で大ブームを呼んでいる日本酒業界でも、厳しい状況が続いている。 かつて日本酒に使用する酒米は、品質管理に手間やコストがかかることから、主食用米より高値で取引されてきた。しかしこのコメ不足により主食用米の価格が上がったことで、農家が主食用米への作付け転換を図る動きが見られ、酒米の確保が難しくなってきている。一部の蔵元では生産量の見直しも迫られているという。和食の危機だ。
男女共同参画基本法というのを聞いたことがあるだろうか。47ある都道府県すべてに男女共同参画センターや女性プラザなど設置されている。20ある政令指定都市にも必ず設置されている。県庁や市役所の中ではなく国の機関として役場外に独自に設置されている。子供家庭支援センターが同居していることも多い。設置の目的はどこも一様であり、「男女が社会の対等なパートナーとしてあらゆる分野の活動に参画し、政治的、経済的、社会的及び文化的利益を共に享受でき、責任も担う「男女共同参画社会」の形成促進を図る」とされている。同じ法で縛られて開設したのだから一様で当然である。青森や山梨や茨城で男女共同センターの前を通りかかったことがあるのだが広い空間にポスターやパンフが並んでいるだけで職員以外はほとんど人を見かけなかった。いるとしたら仕事をさぼって涼むサラリーマンくらいであろうか。一見、余って使途のない空間をみっともないので展示で埋めている場所に見える。実はこれが男女共同参画基本法によって設置を定められているれっきとした行政機関なのである。法が施行された1999年から約24年間、決して国民の身近にあるとは思えないこの施設はひっそりと継続されてきたことになる。男女共同参画センターはあくまでも国の機関であって地方自治体の設置ではない。つまり、断れない。国は地方分権を進めるとは言うものの打出の小槌は決して手放すことはない。 地方自治体と国は主従関係にはないとはいえ、地方交付金や国庫支出金、国によるインフラ整備等で上下関係がないとは決して言えない。2000年に施行された地方分権一括法で権限移譲が明確化されてはいるものの地方自治体は国の許可なしに起債できないなどの制限に縛られており国と地方自治体が対等な関係とはいえない。自治事務が国から地方自治体に移譲されてもなお国政に対して地方行政が関与するケースは沖縄県の米軍の普天間移設の承認の取り消しなどの場合を除いて極めて限定的だと言える。(参議院議員政策担当秘書 紅 良作)
有事になるとアメリカ・ペンタゴン周辺のピザ店が繁盛する。世界3大通信社のAFP通信がこう報じたものだから、日本でもこの記事が紹介され、話題になっている。 イスラエルが6月13日(日本時間)に、イラン各地の核・軍事関連施設を大規模攻撃。14日未明にはイランが報復攻撃を行い、「よもや第5次中東戦争勃発か!」との事態に陥っているのだが、ペンタゴン周辺のピザ店の売れ行きを観測するⅩアカウントの「ペンタゴン・ピザ・レポート」は、テヘランで火の手が上がる1時間前に、ピザのデリバリーが増えていると報告していたというのだ。 理屈としては、有事が発生あるいは起こりそうな時は、ペンタゴンの職員の残業が増え、夜食としてピザの注文が増えるから、というものだが、ある意味、理に適っている。正式には「ピザ・メーター理論」と呼ばれているのだが、この約2週間前の1日に、ウクライナが極東を含むロシアにドローン攻撃を仕掛けた時も、ピザ・メーターは上がっていた。 「過去を振り返れば、90年8月のイラクによるクウェート侵攻前夜、11年5月のウサマ・ビンラディン急襲の数日前から、最近では24年4月にやはりイスラエルがイランにミサイル攻撃を仕掛けた時にもピザ・メーターは予兆を示していて、実績は十分です。その逆バリとして、『ペンタゴン周辺のゲイバーが閑散とする』というものもありますが、こちらは計測は難しいので都市伝説的なジンクスかもしれませんが、ペンタゴン職員がそれだけ忙しくなっているということで、やはり理屈としては適っています」(全国紙記者) 遠くの戦争は本当に買いか ピザ・メーター理論は有事の可能性を知らせる1つのバロメーターで、となれば株式市場の混乱の可能性を伝えるものでもある。特に日本においては、週末に世界的混乱が起きれば、最初にマーケットが開く日本はその影響をモロに受けるのは毎度の事。事実、13日は日経平均、TOPIX、グロース250の指数はいずれもマイナスで、13日の日経平均は前日比338円安で、一時は600円以上下げた。 「株式市場の格言に、『遠くの戦争は買い、近くの戦争は売り』との有名なものがありますが、地政学リスク指数の動きで見ると、イベント発生直後は大きく上昇するが、しばらくすると落ち着く。となれば、今でもある程度は有効と言えるでしょう。それを示すかのように、16日の日経平均はすっかり元通り。もっとも一時的な円高進行の落ち着きや、原油高で恩恵を受ける企業が押し上げたからですが、異様な落ち着きと言えるかもしれません」(同前) またこのタイミングでのG7開催で、視線はそっちに向かっているからかもしれないが、イスラエルとイランの報復合戦は続いており、予断を許さない状況は続く。
沖ノ鳥島(東京都小笠原村)の東約270㌔の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、中国の海洋調査船が日本政府に無断で調査活動を行った。 沖ノ鳥島は日本最南端の島で、中国が周辺のEEZで調査を行うのであれば、日本の同意を得なければならない。 日本は中国に抗議したが、中国は沖ノ鳥島について、国連海洋法条約上、EEZや大陸棚を設定できない「岩」に当たるということで、今回の調査についても「日本が干渉する権利はない」「公海の自由の行使だ」(中国外務省の毛寧報道局長)などと強弁している。 2012年4月、国連の大陸棚限界委員会が沖ノ鳥島の北方など太平洋の4海域31万平方㌔を新たに日本の大陸棚として認める勧告を採択した。このことから「岩」ではないとの日本の立場を強めたと言えるものの、当時は南方海域については判断が先送りされた。国際社会の一層の理解を得る必要がある。 中国の「岩」との主張が認められれば、日本の国土面積を上回る約40万平方㌔のEEZが失われ、海洋資源などの経済的権利も消え失せる。沖ノ鳥島周辺のEEZにはレアメタル(希少金属)のコバルトやニッケルなどが豊富に存在している。 こうしたことから日本政府は2010年5月、離島保全を図る低潮線保全・拠点施設整備法を制定した。これに伴い、沖ノ鳥島は満潮時に高さと幅が数㍍の2つの島が海面上に残るだけで消滅の恐れがあることから、護岸工事などを行い、27年度には港湾施設が完成する予定だ。 中国が沖ノ鳥島を「岩」と主張する背景には、周辺海域の調査を自由に行い、台湾有事などの際の米軍展開に備えようとしていることが挙げられる。 中国海軍の領海侵犯はほぼ日常化している。中国海軍の空母「山東」が、6月7日午後には沖縄県の宮古島の南東およそ550キロの海域を、9日には小笠原諸島の沖ノ鳥島の北の日本のEEZ内を侵犯していたことが確認されている。 その際「山東」の艦上戦闘機が、「山東」の監視に当たっていた海自の哨戒機に近接されたり、前方を横切られたりしたとして、防衛省は中国側に深刻な懸念を表明し、再発防止を厳重に申し入れている。経済的利権の保護と抑止力強化に努めなければならない。










