政治•経済
2025.12.25
2025.12.24
2025.12.23
2025.12.23
青森県下北郡東通村猿ヶ森といういわば辺境の地で起きている防衛最前線のレポートは前回でひとまず区切りをつけた。ところが、それで〝はい、ご苦労さん〟というわけにはいかなくなった。というのもさらに深刻というか憂慮すべき事態が猿ヶ森で起きているのだ。 猿ヶ森一帯の土地を防衛省が買い進めている、それはつまりここ猿ヶ森を我が国の防衛上の重要拠点、すなわち根拠地にするということである。これは想像でも勝手きわまる推察などではない。元来猿ヶ森は立入禁止の防衛省独占地帯なのである。その地域を防衛省は拡大している。高市政権による防衛費の増大で猿ヶ森の重要根拠地というポジションが濃厚な現実味を帯びてきた。このプランについては米国トランプ政権との折衝の結果という面もあろう。また、ひたすら緊張感を増大しつつある対中国関係を睨みながらという面もあろう。現実問題、猿ヶ森は防衛省による買い占めが進行しているのである。この状況はあくまで我が国側の事情である。 ところが、である。その同じ猿ヶ森の土地をまったく別の勢力が防衛省と同じように買い占めにかかっているという事態になっているということがわかった。まるで防衛省の後を追うように、いや、防衛省を凌駕しようとするような勢いである勢力が買い占めにかかってきているのである。 それは中国人であり、中国のしかるべき組織を名乗っているのだ。 「わしのところにも来たべさ。最初防衛省の人達がやってきて、そんなに時間を空けずに今度は中国人が通訳連れてやってきただ。そうさ、わしの代々持っている土地を買うって言うんだべさ。そっくりそのまま同じところ(土地)だ。先祖代々100年以上この土地もっているのに一度だって買いたいっていう人はいなかったんだ。ところが今年に入ってしばらくしたら突然、(土地を)買いたい、ぜひとも譲ってくれ言ってきただ。わしだって正直カネは欲しいんじゃ、欲しいがそうそう簡単に先祖代々守って来たこの土地を防衛省だ、ましてや中国人だ、に売ってしまっていいもんかわからん、売ってしまってカネが入った途端、祟りなんてことになっても身もふたもないだよ。だからどうしようか考え込んでいるだ」。 ここ猿ヶ森の大地主の一人、刑部伍市(88 仮名)は顔をゆがめて言う。ただでさえし紙に刻まれたようなしわが顔中張り巡らされているところにこのような降ってわいたような悩みがやって来た。しわの数も倍加しそうなのである。それよりなにより驚くべきは刑部が言うには中国勢力は刑部と同じような大地主のもとにも訪れている、ということだ。なかには「売ってしまったもんだっているだべ。言わんだけでな、その気持ちだってわからんでもないだ」(刑部)、というのだ。 それにしても防衛省が秘密裏に進めている土地買収を、こともあろうに中国側が同じように進めていこうとしているのは面妖な話である。それも防衛上の重要基点になるはずの土地なのである。ただ刑部の言うように、誰も刑部にその土地は絶対に売るな!とはいえまい。 猿ヶ森で今起きている事態は実に恐ろしい想定を孕む。絶えず目を離さずレポートしていく。(敬称略)フリーランスライター 廣田玉紀
2025.12.21
前回まで高市早苗首相の台湾有事発言が原因となって中国との軍事的緊張関係の高まりと戦争危機への突入について語ってきた。さらに軍産複合体の圧力のもと防衛費増強と核抑止論の台頭することを指摘。そして、今回は日本がなぜ台湾有事に深入りをしようとするのか、その歴史的背景を見ていくことにする。 台湾は今でこそ中国の一部とみなされているが、もともと先住民が平和に暮らしていた美しい島だった。そんな台湾を発見したのはポルトガル人だ。1544年、西太平洋を航行中、台湾を発見し、フォルモッサ(美麗島・うるわしの島)と名付けている。台湾には少数の漢族系の移民の他、マレー、ポリネシア系の人々が住んでいた。次に介入してきたのが、オランダである。オランダは、1596年に植民地を経営するための会社である「東インド会社」を設立。中国や日本との貿易のための中継基地としての台湾を支配した。1644年明朝が滅亡した後、満州族の王朝である清が進出。さらに1894年、清国との戦争で勝利した日本には下関条約を締結。台湾を割譲し、統治していく。交通・金融などの主要インフラ整備し、教育は日本語で行った。台湾に貢献した面もあるが、抗日運動が起こっている。1930年の霧社事件ではなどである。日頃からの差別待遇や強制労働に不満を持っていたセデック族が立ち上がり、132名の日本人が惨殺されている。50年続いた日本統治は第二次世界大戦での敗戦により終わりを迎えた。その後中国共産党との闘争に敗北した蒋介石率いる国民党が、米軍の全面的な支援を受けての台湾を占領し、中華民国となる。当初正式な中国と認定されていたが、1971年、国連の代表が中華人民共和国となり、主導権が中国共産党に移行。政治的にはいがみ合いながら、経済的には互いに結びついている。その複雑な関係を次回説明していきたい(早見慶子)
2025.12.20
2025.12.20
2025.12.19
フランスは冷戦凍結後、徴兵制を停止していた。マクロン大統領は若者を対象とした志願制の新たな兵役制度を導入することを発表した。不思議なのは現在、既にある兵役制度も志願制である。マクロン大統領は「一般市民サービス」という奉仕制度も既に導入している。来夏に新たな制度を導入するのは既にある一般市民サービスがうまく国民に浸透しなかったことによる。既にある兵役制度は正しく兵役にのみ従事させる制度であるが、新たな志願制兵役は兵役に加えて様々な職務に携わることになる。また、新制度での兵役期間は10か月となる見込みで短期であることが前提となっている。日本の自衛隊に災害対応があるのと類似する構想なのかもしれない。新制度導入の背景にはロシアの脅威がある。フランス国民の強い国防意識により実現する見通しである。 志願制兵役はスウェーデンやデンマークでも導入されている。ドイツやクロアチアなどの欧州各国でも同様の制度の導入が検討されている。ロシアの脅威に備える為の軍備の再構築は欧州全体の共通する課題である。欧州連合が結束することで加盟国ごとの軍事予算が縮小してきたことがロシアのウクライナ侵攻に繋がったと言えなくもない。 日本の自衛隊も人員確保には苦戦しており、慢性的に安全保障上必要な要員が不足している状態にある。いずれは給料等の待遇を飛躍的に向上させるか、法的強制力をもって費用要員を満たすかを迫られる時がこよう。欧州の緊張状態は決して対岸の火事ではない。中国は軍備拡大に膨大な予算をつぎ込み足早に進めている。台湾海峡はかつてないほどの緊迫した状況となっている。ロシアや中国と友好関係にある北朝鮮は核実験やミサイル発射など相変わらず脅迫的行為を繰り返している。「自分の国は自分で守る」という原点に立ち返って考えるとそう遠くないうちに予備役を義務化することを真剣に検討せねばならない時がくるのかもしれない。 (坂本雅彦)
2025.12.19
高市早苗総理の一連の発言に対する習近平政権の反応で、日中の対立が激化しているように見える。 だが、日中間に深刻な利害の対立など本来なかったのだ。前政権の石破政権の時は、全く何の問題も起きていないし、中国側も石破政権を評価していた。従って、これは高市総理のパーソナリティーが引き起こしている不必要な摩擦と言えよう。 もともとアメリカのトランプ政権の無茶な関税政策で、日中を含めてアジア諸国には連携する機運があった。 ところが、高市総理の台湾有事・存立危機答弁が全てをぶち壊した。平和な関係を維持するには努力が必要だが、壊すのは比較的容易なのだ。 台湾有事など作られた幻想に過ぎない。テレビのコメンテーターとして出演する元自衛隊OBには、元同僚や先輩・後輩が、軍事関連企業の顧問になっていたり、再就職している。彼らは、軍事産業のスポークスマンと見るべきだ。 ある元自衛隊OBは、台湾海峡やバシー海峡(台湾とフィリピン間)が封鎖されたら、中東の石油・天然ガスが輸入できなくなり、日本の生命線は絶たれると言っていた。世界地図をみればわかるが、日本からはフィリピンの東側を通ってもペルシャ湾に行けるし、太平洋を東進してパナマ運河や南アメリカの南端を通ることだってできる。 専門家でさえ、このレベルだから、他は推して知るべしなのだ。 西側諸国と中国には、武力による現状変更をしない限り、西側諸国は一つの中国を尊重して台湾独立を支持しない。中国も、西側が台湾独立を企てない限り、平和統一を目指すという暗黙の了解があった。 ところが、高市総理の国会答弁は、中国が武力で台湾を併合することを前提に発言したから、中国が怒ったのだ。 問題となった国会答弁で「中国政府が『江八点』(1995年1月30日に江沢民が台湾問題の平和的統一に向けて発表した8つの政策提案)や、『習五項目』(2019年1月2日に発表された習近平の五項目からなる包括的対台湾政策)が示した従来の方針に則り、平和統一を目指す限り、政府は、台湾独立を支持しないし、存立危機事態など起きません」とでも言っておけば、問題にはならないし、武力による現状変更は認められないとのメッセージも伝わった。モノは言いようであり、政治家、特に一国の指導者は、言葉選びが大切だ。 ところが、高市総理の周囲には、台湾独立支持者がいる。また中国との対決を望んでいるかのごとき右派も多い。だが、彼らとて戦争の覚悟があるわけではない。アメリカ頼みなのだ。ナチスドイツの勝利を前提に戦略を立てていた戦前の軍国主義者と変わらない徒輩だと言えよう。 外務官僚は戦々恐々としている。高市総理が台湾独立の可能性や、国家承認について国会答弁や記者会見で、うっかり言及したりしないだろうか、とハラハラしている。高市総理だって、そこまでアホではないと思いたいが、何しろ受け狙いの発言が多い人物なので油断がならない。 それに台湾有事は、もはや高市総理個人の資質の問題でなくなりつつある。中国政府が対日批判をトーンダウンしたのも、この懸念があったからだ。 (青山みつお)
2025.12.18






