政治•経済

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高市早苗首相の台湾有事発言で中国問題が深刻化(5)
高市早苗首相の台湾有事発言で中国問題が深刻化(5)

 前回まで高市早苗首相の台湾有事発言が原因となった中国との軍事的緊張関係について語ってきた。さらに日本と台湾の関係、中国と台湾の関係など、歴史的に密接であったことを説明した。今回は中国と台湾が政治的に対立しているように見えながら、経済的には反目しあっているのではないことを確認していきたい。 台湾の最大の貿易相手国は中国(中華人民共和国)である。しかし政治的対立に加え、アメリカ・トランプ政権による2018年および2025年の対中追加関税の発動などの影響を受けて若干亀裂が生じている。台湾は米中貿易戦争では中立的なポジションを保ちながら、アメリカ寄りの立場を取らざるをえない状況にあるからだ。前回語ったように国民党の蒋介石が中国共産党に敗れて台湾に逃げ、そこで支配を確立する過程で、アメリカの軍事力の支援を受けていた。そんな歴史もあり、アメリカとの関係を今日まで維持しているからだ。特にバイデン政権のときは豊かな資源を狙って「有事の危機」を演出し、介入を目論んでいた。 しかし、蒋介石が中国共産党と戦う力があったのは浙江財閥の経済力があってのことである。蒋介石は青幇(チンパン)という上海のマフィア組織と結びついていた。蒋介石と青幇のボスである杜月笙が手を組み、裏社会の勢力を動かしていく。その青幇の力を借りて浙江財閥ともつながり、政治的な影響力を形成していった。 浙江財閥はもともと浙江省・江蘇省出身の金融資本家集団で、中国の経済を支配してきた財閥だ。また青幇は大運河の水運業ギルドから発展した巨大な秘密結社である。蒋介石は辛亥革命のときから、青幇と交流し、浙江財閥ともつながり、大きな政治勢力となっていく。現代では浙江財閥の影響力も低下しているが、経済協力は今も健在だ。(早見慶子)

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2025.12.28

日銀の利上げが賃上げを困難にする
日銀の利上げが賃上げを困難にする

 日本銀行が19日開いた金融政策決定会合で追加利上げを決めた。政策金利である無担保コール翌日物レートの誘導目標を0.25%引き上げて0.75%とする。報道によると、政策金利は1995年以来、30年ぶりの高い水準となる。2026年以降も利上げを継続して行っていく方針だと言う。 マスコミの論調では金融正常化の下で利上げは正しい選択だとしていることが大勢であり、高市内閣の掲げる責任ある積極財政が間違っているという論調が目立つ。今回の利上げは日銀の政策委員9名の全会一致で決定したというのだからマスコミの論調が正当であるかのように見えるが果たしてそうだろうか。 短期金利を0.25%引き上げると、GDPが1年目に0.1%減、2年目に0.25%減、3年目に0.3%減になると予想され、後年ほど悪影響が大きい。今は物価上昇に賃上げが追い付いていない状況を受けて補正予算においても物価高騰対策が措置されている。利上げは円安を是正するが企業の借入コストが増加する。併せて急激な円高が進むと自動車など主要産業の業績が予想と大きく乖離して利益を圧縮することは不可避となる。企業の収益力を削ぐことは賃上げを困難にする。政府は企業に賃上げを強く迫るが、その一方で日銀が企業の利益を縮小される政策を行っていては歯車が嚙み合わない。その皺寄せは国民生活に直撃する。経済成長率が1%程度、実質賃金も消費も上がっていない環境下で利上げを行うことには強く危惧する。高市内閣は積極的に財政出動し本格的な経済成長を目指そうとしているが、その実を日銀の利上げが食いつぶそうとしている。マクロ経済の実態を無視した日銀の政策決定会合には憤りを抱くし、政策委員全員が利上げに賛成したことに30年以上の日本経済の低迷の原因を見たような気がする。 (坂本雅彦)

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2025.12.26

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