政治•経済

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人口減少と経済成長とは相関関係にはない
人口減少と経済成長とは相関関係にはない

日本の人口が14年連続で減少している。2024年の減少は55万人となった。内閣府は人口減少による経済へ及ぼす影響として「人口増加率が鈍化したりマイナスになるなかで、他の条件が一定であれば、経済全体としての成長率も低下ないしマイナスになる可能性が高い」という認識を示している。政府のネガティブな認識における発信によって、「人口減少が進む中での経済成長は見込めない」、「人口減少社会下では公共工事は税金の無駄使いだ」という風潮が大勢を占めるようになっている。だが、本当にそうなのか。経済成長は労働者の頭数に比例するものではない。経済成長は生産性の課題である。効果的な投資を行い、生産性を向上すれば、それに伴い経済は成長する。例えば、シンガポールは少子化が急速に進み2024年の特殊出生率が0.97となっており日本の1.15を大きく上まわる。シンガポールの2024年の経済成長率は4%、日本は0.8%であり大きく水をあけられている。シンガポールでは積極的に投資してきた半導体などの製造業が経済成長を支えている。一方、日本はというと半導体はもとより世界に冠たる日本メーカーの多くは外資に売却されてきた。ソニー、中外製薬、日本ペイント、日産、ドン・キホーテ、シャープ、日立金属、日興コーディアルなど数えきれないほどの日本の代表的な企業が外資に支配されている。政府が適切な投資を促し企業の生産性の向上をリードしていたらこのような経済の空洞化は起こりえなかった。少子化が進む中で経済成長を遂げてきたのはシンガポールだけではない。タイも韓国も同様に人口減少下で経済を成長させてきた。ジョージアは直近30年間で20%以上も人口が減少している。それでも直近10年で平均して毎年4%程度の経済成長を果たしている。ジョージアの経済成長は政府主導の魅力的なビジネス環境によるものが要因として挙げられるが、それと並行して、労働者一人当たりの資本装備率を高めることが生産性の向上に繋がっている。 かつて日本の高度成長期は生産性が7%も向上していた。国によるインフラ投資、企業による設備投資など必要な整備を適切に行えば人口減少とは関係なく経済は成長するのである。人口減少を受けて投資を怠ると日本の貧困化が更に進むことになる。多くの国々が人口減少下であっても日本を遥かに上回る経済成長を遂げているという事実から政府は目を逸らしてはいけない。(坂本雅彦)  

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2025.11.09

外国人対応を厳格化する政策が始動
外国人対応を厳格化する政策が始動

高市早苗首相は11月4日、総理官邸で開催された「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」に出席し、来年1月を目途に現行の総合的対応策を改訂する意向を表明。小野田紀美外国人政策担当相ら関係閣僚に、準備を加速化させるように指示した。外国人対応厳格化に向けて、高市政権が走り出した。 外国人政策の関係閣僚会議における高市首相 出典:首相官邸公式サイト    高市首相は「違法行為やルールからの逸脱に対して、国民が不安や不公平を感じている」と指摘した上で、「既存のルールの遵守・各種制度の適正化」および「土地取得等のルールの在り方を含む国土の適切な利用・管理」という二つの取り組みを強化することを掲げた。   例えば、外国人解体業者の車両過搭載、外国免許の切り替え、国民健康保険料未納問題といった問題はこれまで、SNS上で問題視する声が上がっていた。   しかし、政府の総合的対応策(石破政権下の今年6月6日に改訂)は、外国人に対する日本語教育の整備、相談窓口の強化、ライフステージに応じた支援といったように、もっぱら外国人との共生に重点を置いた内容であった。   高市政権が始動した外国人対応厳格化は、こうした従来の政府方針を転換させるものになるだろう。   注目されるのは、取り組み二本柱の一つとして「土地取得ルールの在り方」が言及されたことだ。北海道等での水源地買い占め問題等、国民的関心が高まっている領域だ。   高市首相は、野党議員時代の2010年に「日本の水源林を守る議員勉強会」(後に「安全保障と土地法制を研究する議員の会」に改称)を立ち上げて以来、この問題に深い関心を抱いてきた。   2011年には独自の「安全保障土地法案(骨子案)」(高市早苗私案)を提示。自民党内での政策議論を牽引し、2021年に「重要土地等調査法」の制定にこぎつけた。   日本はWTOのGATS(サービスの貿易に関する一般協定)を、外国人による土地取得を規制する留保事項を織り込まないで締結している。安全保障を理由とする例外(Security Exceptions)を主張する手もあるが、なかなか簡単ではない。高市首相がこの問題をどうさばくか、注目される。   (北島純・社会構想大学院大学教授)

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2025.11.08

日本人が多い国ランキングを作ってみた
日本人が多い国ランキングを作ってみた

多くの万博アンチが危惧していた大阪・関西万博は盛況の中に終わりを迎えた。色んな外国の一端を知れるという意味では中々おもしろい催事だったと言える。ただ未来感あふれる先端技術を体験したり見れたりという感には乏しい。SDGSの押し出しは万博でなくても街中に溢れていて既におなか一杯になっている。 前置きが長くなったがそんな国際的なイベントを体感してふと思ったのが外国に住む日本人についてである。昨今、国内問題として大きく取り上げられているのが移民問題。外国人が特定技能制度や留学生や難民申請をして大挙して日本にやってきていることが地域社会と摩擦を起こしたり、社会福祉制度のフリーライドが問題になったり、不動産をのべつくまなく買い漁られたりとその軋轢は日に日に大きくなっている。多くは中国、韓国、インドネシア、ベトナム、タイあたりからの外国人が多いが、中にはトルコのクルド人のように特定の民族が日本国内の一定地域にコミュニティを形成しているケースもある。その是非についてはここでは問わないが、逆に日本人は外国に移住している状況はどうなのだろうか。そこで日本人が多く住む国のランキングを20位まで作ってみた。 (外務省 海外在留邦人数調査統計 令和5年) 以上のような結果になった。この数字はあくまで日本人に関してのみであり日系人は含んでいない。日系アメリカ人などを含めるとアメリカの在留人数はもっと多くなるとみられる。ちなみに世界各国での日本人の長期滞在者と移住者の総数は約130万人となっている。日本国内にいる在留外国人の総数は法務省の発表で約377万人となっている。人口の約3%に相当する。政府は特定技能や2027年に開始予定の育成就労制度を用いて外国人労働者の受け入れを現在の3倍から4倍に増やす計画である。欧州各国や北米では移民政策の失敗によって取り返しのつかない治安悪化を招いている。日本政府も移民先進国から学ぶべきところは学ぶ必要があろう。(坂本雅彦)

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2025.11.07

失われた30年の真犯人  異常な低金利政策が続く理由を考える
失われた30年の真犯人 異常な低金利政策が続く理由を考える

植田日銀総裁は、10月30日に政策金利を現行の0.5%程度に留め置き、利上げの先送りを決めている。 かねてより日本経済は、「流動性の罠」の状態に陥っているのではないか? と言われてきた。 まずは「流動性の罠」という経済用語を理解する必要がある。 「流動性の罠」とは、異常な低金利下では、金融緩和でも金利がこれ以上下がらず、金融政策が経済を刺激する効果がない経済状況であり、中央銀行がいくら資金供給を増やしても、景気回復につながらない状態。投資による儲けが期待できないので、現金が好まれるようになる。ゼロ金利政策の下でマネタリーベースを増やしても、健全な投資を増やす効果は弱く、過剰な資金は投機に向うようになる。 経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、「ジョンブル(イギリス人のこと)は、たいていのことは我慢するが、2分の利子率には我慢できない」と述べ、2パーセントを下回る利子率の債券は、売れ行きが極端に悪くなると指摘した。    日銀金利は、90年代前半に2%をきってから、一度も2%を超えたことはない。30年以上低金利が続いている。なぜ、このような政策が取られたのか。その理由は、バブル崩壊の後始末を、当時の大蔵官僚たちが護送船団方式で金融機関を潰さずに乗り切ろうとしたからだ。つまり低金利で不良債権を抱え込んだ金融機関の負担を減らそうと彼らは目論んだ。有り体に言えば預金者(国民)の犠牲によって、官僚の天下り先でもある金融機関を救済しようとしたのだ。    だが、大蔵官僚の目論見は脆くも崩れる。97年にタイバーツを皮切りに始まったアジア通貨危機は、アジア地域の経済に大混乱を引き起こし、この地域に投資してきた国内金融機関にも波及して金融機関の連鎖破綻となった。日債銀や長銀をはじめ、破綻した金融機関や不良債権が、ハゲタカファンドにただ同然で売られた。時を同じくして、98年には大蔵省接待汚職事件が発覚。大蔵官僚が銀行から接待された“ノーパンしゃぶしゃぶ”や“女体盛り”は、海外メディアもこぞって報道した。    それでも低金利が続くのは、利上げは国の借金の利払いが増えるので、財務官僚が嫌がるのである。また多くの官僚やエコノミストが、低金利こそが経済成長を促す政策である、と信じているのだ。    確かに低金利政策は、通常は景気刺激策として有効な経済政策だが、“過ぎたるは及ばざるがごとし”というのが、「流動性の罠」なのである。     (青山みつお)

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2025.11.06

最低賃金の引き上げが雇用を減らすかも
最低賃金の引き上げが雇用を減らすかも

今夏の参議院議員選挙では野党が挙って賃上げ、もしくは減税、またはその両方を主張 して国民の支持を得ようと躍起になっていた。少なくとも国民民主党は消費税減税と居特 税控除の引上げ、ガソリン暫定税率の廃止などを公約に掲げ昨年の衆院選に続いて躍進を 遂げた。電機連合、電力総連、自動車総連、UAゼンセンなど大手の労働組合を支持母体と する国民民主党は昨年の衆院選以前は変わらず賃上げ一辺倒の公約を掲げてきたのだが国 民の反応はイマイチだった。それもそのはず、賃上げは政治家の努力だけでは進まない、 どちらかというと経営者側に負担をお願いしないといけない政策である。一方、減税によ る可処分所得の拡大は政治家の立法によって可能である。政党が掲げる公約や政治家の力 によって実現可能なものでなければならないと気付くのに国民民主党は5年以上かかって いる。それでも自助努力に拘る公約に切り替えた直後に躍進が始まったのだから遅ればせ ながらビンゴであった。 一方、与党自民党は2029年までに最低賃金1500円にする方針を示している。最低賃金の 引き上げによる賃上げは労働組合が目指す賃上げとは違う。労使で協調するのではなく強 権的に使用者側の負担を増大させる政治的行為である。最低賃金は最低であるのだから労 働市場の賃上げをリードするべきではない。あくまで下支えであるべきだ。石破内閣の意 向を汲んで厚労省審議会は8月4日に最低賃金の過去最大幅となる63円を引き上げる方針を 決めた。これによってすべての都道府県で最低賃金が1000円以上となる。自民党は「賃上 げこそが成長戦略の要という基本的な理念」などというが国民民主党はそうではなく国民 負担の軽減こそが経済活性化に繋がることに開眼し一気に支持を広げた。つまり、自民党 は国民ニーズを掴み切れないどころか逆進的な政策を打ち進めてしまっている。 企業経営にとって売り上げに見合った人件費率でしか採算を確保できない。飛躍的な売 上の向上が見られない場合は最低賃金が上昇した場合は労働者数を減らされるか労働時間 を絞られることが予想される。効率性や生産性を向上させて労力負担を減らすようになる 。労働者にとって働く機会が減少することによって労働環境が不安定になる。賃上げと引 き換えに働くチャンスを失っては本末転倒だ。今、政府がするべきことは企業が十分な収 益を確保すするためのバックアップを強化すること。設備投資などの後押しも欠かせない 。そして、地域間格差の解消に関しても最低賃金ランク区分の見直しなどで対応するべき だ。 頭ごなしに最低賃金の引き上げを否定するつもりはないが、減税による経済成長を優先 する方がわかりやすいしモチベーションもアップしやすい。少数与党による政権運営であ るからこそ、お互いの公約の良いところをバランスさせて欲しい。 (坂本雅彦)

ガソリン暫定税率の年内廃止の合意書に潜むトラップ
ガソリン暫定税率の年内廃止の合意書に潜むトラップ

自民、日本維新の会、公明、立憲民主、国民民主、共産の6党で遂にガソリンの暫定税 率の廃止について合意した。ガソリン減税は地方在住者にとって大きな恩恵である。多く の国民が与野党の合意を歓迎しているが合意書の中には釈然としない文言も明記されてい る。 まず、「ガソリン・軽油の暫定税率廃止のための安定財源確保については、以下の方針 に基づいて検討し、結論を得る。」と明記されており減税のための財源確保の必要性が盛 り込まれている。財政出動のための財源を唱えるならば理解できないこともないが、減税 のための財源を唱えるとは理解不能だ。政府の支出に対する回収が税であるが、その回収 を減らだけのことであり財源とは関係ない。 それにも関わらず合意書には次のような増税を匂わす文章を盛り込んでいる。 「国際競争力の確保、実質賃金の動向等を見極めながら、法人税関係租税特別措置の見 直し、極めて高い所得の負担の見直し等の税制措置を検討し、令和7年末までに結論を得 る。」 これは金融所得課税の強化を意味するのだろうか、人数が少なく税単価が良い高所得者に 対する増税を意図することが察せられる。もう一つは、 「道路関連インフラ保全の重要性、物価動向等やCO2削減目標との関係にも留意しつつ、 安定財源を確保するための具体的な方策を引き続き検討し、今後1年程度を目途に結論を 得る。」 環境保全を大義とする自動車関連税の創設を予告するような一文である。自動車関連税を 減税して自動車関連税を新設することを目論むとは国民も舐められたものである。 この紛れ込まされたトラップを令和8年税制大綱に盛り込まないように与野党6党合意 に参加していない参政党、日本保守党、れいわ新選組は監視を強めて増税を阻止してもら いたい。それにしても自民党税調や財務省は往生際が悪い。1.5兆円のガソリン減税なんど GDPのコンマ以下の微々たるもの。恐るるに足らずである。(坂本 雅彦)

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