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二代目“暗黒の君”のスティーブン・ミラーとは?
二代目“暗黒の君”のスティーブン・ミラーとは?

  トランプ大統領の次席補佐官(国土安全保障担当)のスティーブン・ミラーは、二代目の“暗黒の君”(The Prince of Darkness)と呼ぶにふさわしい人物だ。   初代の“暗黒の君”は、ブッシュ政権の国防政策委員会委員長としてイラク・アフガニスタン戦争を主導したリチャード・パールである。  パールがネオコンと呼ばれる思想集団に所属していたことは知られている。ネオコン(Neo-conservative)」とは、新保守主義を意味し、アメリカの外交・安全保障政策において、民主主義の普及と法の支配を掲げ、必要であれば軍事力行使だって辞さない強硬な介入主義を主張する勢力を指した。その起源は、アメリカ共産党を追放されたトロツキストに遡る。スターリンの一国社会主義に対し、世界革命(永続革命論)を主張、労働者階級による民主主義的社会主義の実現を目指したグループで、彼らの多くがユダヤ系の元社会主義者だった。  ネオコンの創設者は、ネオコンのゴッドファーザーと呼ばれたアーヴィング・クリストル(1920年1月22日 ~2009年9月18日)。リチャード・パールの師匠は、アメリカ合衆国の核戦略研究家として知られるシカゴ大学教授のアルバート・ウォルステッターで、二人ともユダヤ系だ。  ミラーは、極右、反移民、白人至上主義とされるが、パール、クリストル、ウォルステッターと同じユダヤ系。彼の先祖は、ロシアのポグロムから逃れるためにアメリカに移民したアシュケナージ・ユダヤ人である。  本来、ユダヤ人の白人至上主義者など、自己矛盾に等しい。なぜなら、ユダヤ系もアメリカの白人社会で差別されてきており、それ故、ユダヤ系アメリカ人には、リベラル派が多い。KKKのような伝統的な白人至上主義団体には、黒人と同様、ユダヤ系も入会できない。ユダヤ系にして白人至上主義者であるミラーは、在日右翼のような存在と言えよう。  スティーブン・ミラーが、「国際的な礼儀についてはいくらでも語れるが、私たちは力と強さによって支配されている」と自己の信念を口にしたように、世界は弱肉強食であり、強い者が弱い者より優先されるのは当然といった考えだ。  初代“暗黒の君”パールでさえ、民主化や自由化といった名分を使っていたが、そうした体裁すらしない。まるでヨーロッパのユダヤ人を虐殺したナチスのアドルフ・ヒトラーのように、むき出しの力を誇示している。  アメリカとの付き合い方を考える上で、トランプ政権を裏で操ると言われるミラーが、こうした思想を持つに至った背景を分析しなければならないだろう。 (青山みつお)         ミラー米大統領次席補佐官の妻がX(旧ツイッター)に投稿                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      

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2026.01.24

高市内閣の高支持率に牽引されて自民党が衆院選で圧勝か
高市内閣の高支持率に牽引されて自民党が衆院選で圧勝か

 高市早苗首相が通常国会の冒頭で衆議院を解散し総選挙を行う意向を明らかにしている。石破茂政権時代に行われた衆院選と参院選では大惨敗を喫して自民党は衆参で過半数を割り込む状況。政権運営上、野党に何らかの協力を得ることが不可欠な状況にある。これは飽くまで石破氏を旗頭に選挙を戦った結果である。高市氏に責任はないかと言えば同じ自民党の幹部であるからゼロではないが希薄だと言える。高市首相にとって自身が招いた状況ではないし、多くの同士が落選の憂き目にあっている。高市氏が自民党総裁選に立候補した際の推薦人20名の中でも茨城5区石川昭政氏、愛知7区鈴木淳司氏、大阪19区谷川とむ氏、新潟5区高鳥修一氏、長野1区若林健太氏、宮城1区土井亨氏、埼玉13区三ツ林裕巳氏、比例杉田水脈氏ら8名が落選して浪人中だ。自民党全体では2024年10月の衆院選で56議席、2025年7月の参院選で13議席を失っている。政治資金の不記載問題があったにせよ実に69議席を石破茂政権時に失ったことになる。高市氏が同僚議員たちを早期に復活させてあげたいと慮る心情は容易に察することができる。なにしろ、高市内閣の支持率は78%に上る。20代の支持率に至っては90%を超えている。NHKの調査によると自民党の政党支持率は32%(1月時点)、自民党に次ぐ支持率の立憲民主党が7%であることから圧倒的な政党支持率を得ている。高市氏がこの好機を逃すわけもなく衆議院の解散を決意したわけだ。 この自民党の圧勝ムードの中、数少ない高市政権の攻めどころはやはり予算。通常国会が選挙で停滞してしまうと今年度予算の審議も成立も日程的にずれこむ可能性が高い。昨年の臨時国会で組成した補正予算では物足りない。高市氏が公約としている積極的な財政出動の効果は本予算の執行次第である。高市氏が矢継ぎ早に政策実現を進めてきたことは称賛に値するが物価高対策や賃上げ、基礎控除額の恒久的な見直しなど目先の課題は残されている。高市氏としては支持率が高いうちに衆院選で勝利し自民単独で過半数越えの議席を確保し、政権運営の基盤を強化し、政策実現を円滑に進めたいという目論見だろう。 公明党と袂を分かった高市自民党であるがたいした影響はないのではないか。公明党の支持率は3%以下、連立した日本維新の会より低い。公明党の中では自民党から完全に離れるわけにはいかないどっちつかずの選挙区も多い。比例中心の選挙で小選挙区では公明党はコマ不足。公明党は恐らく自主投票の方針になると予想されるが自民党に流れる票は多いはずである。 というわけで自民党圧勝の下馬評が覆ることはないと思料する。(坂本雅彦)

政治•経済

2026.01.23

トランプ氏が狙うベネズエラの石油の正体
トランプ氏が狙うベネズエラの石油の正体

 米国トランプ大統領がベネズエラの石油インフラ再建のために15兆円以上を投じる構想を明らかにした。この構想の原資は米国政府の出資ではない。民間の米国石油大手企業の投資を要請している。今のところ現地で既に操業しているシェプロン社を除いてほとんどの大手企業は投資額が巨額なために慎重な姿勢を見せている。これまでトランプ氏は数千億円程度の投資で老朽化した施設の再建を行う意向を示していたがその額を大幅に増額した。その背景にはベネズエラの原油の利権を丸ごと米国が保有することで石油大手にも莫大な利益をもらすであろうという目論見がある。米国はベネズエラから最大5000万バレルの原油を得るのみならずベネズエラの原油販売を無期限で管理する方針である。  米国はベネズエラから巨万の富を得られるのだろうか。実はそう簡単なことではないようだ。ベネズエラの石油採掘は施設の老朽化の問題だけではない。最も大きな問題は採掘された原油が粘稠性であることだ。サワー原油と呼ばれる重質もので粘度が高い。軽質原油よりも炭素濃度が格段に高い。ベネズエラの重質な原油は液体として油井から取り出すことができず貯留槽に蒸気を送り込む必要がある。硫黄残留量も多くガソリンなどへの精製はコスト的に合わない。掘削と精製に通常の2倍以上の炭素を排出してしまうことから環境への負荷も高い。これらのことを技術的に解決できないとトランプ大統領が目論んだ石油利権の独り占めは無用の長物となる。  そもそもトランプ大統領がベネズエラを攻撃したのは米国への麻薬流入の要因になっているからだったのではないのか。自国民の安全や健康の保全や保護のためという大義名分をかざしつつ、実際に奪いたかったのは原油だったのならそうは問屋が卸さない。原油の掘削技術と精製技術に革新が生まれない限り目的には達しない。ましては民間企業による巨額投資に頼る事業であるのなら失敗すると尚更罪深い。トランプ政権の足元を揺るがしかねないギャンブルにしか映らない。(坂本雅彦)

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2026.01.21

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