2024/12/24
100年前のら一向に変わらなかった再審法
それにしても無罪確定までの時間が長すぎた。最高裁は1975年、「疑わしきは被告の利益に」との原則が再審請求審にも適用されるとの決定を出した。この原則に立てば、もっと早く無罪が届けられたはずだ。死刑確定の翌年に第1次の再審請求がされたが、再審が確定するまで実に42年もかかった。無実の人を罰する不正義。真犯人を取り逃がす不正義。無罪まで長い歳月を要する不正義。冤罪には3重もの不正義がある。これはあまりに絶望的である。とりわけ死刑事件である。検察はもっと全証拠に神経をとがらせ向き合うべきだった。今後、求められるのは冤罪を生んだ捜査や裁判の検証である。真摯に取り組んでほしい。少なくとも袴田さんの無罪確定はゴールではなく、刑事訴訟法の再審規定(再審法)を改正するためのスタートの号砲とすべきだと考える。再審法はおよそ100年前の条文を使って、戦後もずっと放置されてきた。わずか19条しかない。つまり再審手続きについての規定がほとんどなく、裁判官のさじ加減で運用されているのだ。この機会を逃さず、再審法の改正に踏み切るべきである。例えば無罪にたどり着くまで長い時間を要するのは、再審開始決定に検察官が不服申し立てをできる仕組みがあるからだ。 袴田さんの場合も、2014年に地裁で再審開始決定が出ながら、検察官が即時抗告をしたため、再審開始が確定するまで約9年も経過してしまった。いったん再審が決まれば、検察官の不服申し立ては禁止する法規定が必要である。冤罪の被害者は一刻も早く救済すべきなのは当然であろう。証拠開示の在り方も大きな問題だ。再審については明文の規定が存在せず、裁判所の裁量に委ねられているにすぎない。「存在しない」と検察側が主張していた「5点の衣類」のネガフィルムが保管されているのが判明したのは2014年のことだ。証拠隠しともいえる行為が再審の扉を閉ざしていたに等しい。このような不正義を防ぐためにも、無罪に結びつく、すべての証拠を検察側に開示させる法規定を設けねばならない。現在、超党派の国会議員による「再審法改正を早期に実現する議員連盟」ができている。衆参計340人以上の議員が名前を連ねる。議員立法で進めてほしい。再審法改正を求める市民集会も開かれている。世論の後押しこそ大事だ。捜査にも裁判にも誤りは起こる。無実の人を罰するのは究極の国家犯罪といえる。理不尽な刑事司法とはもう決別すべき時だ。
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