政治•経済 社会•事件 検察が不適切な取り調べで逆境 岸田前首相事件で検事が「人格否定」発言
検察が不適切な取り調べで逆境 岸田前首相事件で検事が「人格否定」発言
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2024/12/11

 検察が不適切な取り調べを理由に逆境に立たされている。和歌山市で昨年4月に岸田前
首相の選挙演説会場に爆発物を投げたとして、殺人未遂罪などで起訴された木村隆二被告
(25)を取り調べた男性検事が、「検事は大リーガーで木村さんは小学校低学年レベル
」などと被告の人格を否定するような発言を重ねていたことが判明したのだ。この検事は
和歌山地検の「エース」とも称される中堅検事のようだが、被告側に加えて警察関係者か
らも「検事がメジャーで、警察は草野球とでもバカにしている印象が強く、不愉快だ」な
どと反発が出ており、今後も検察の取り調べに厳しい目が向けられるのは必至だ。

▼「検事は大リーガー」

 各新聞やテレビの報道によると、木村被告は昨年4月の逮捕以降、一貫して黙秘を貫い
ていたが、担当検事が取り調べで「憲法や法律の知識に関して我々検事が大リーガーだと
すると、木村さんは小学校低学年レベル」「(事件を起こすまでは)引きこもっていて、
出てきたら迷惑をかけるんだから、愚かな木村さん」などと発言したとされる。
 一連の取り調べは、被告の人格を否定する発言で、黙秘する被告に次々と質問を投げか
けること自体が黙秘権の侵害にあたるとして、木村被告の弁護団は最高検に苦情を申し立
てた。苦情を受けた最高検が調査に乗り出し、検事の一部の発言については「不適正だっ
た」と認定したのだ。

▼特捜事件でも不適正な取り調べ

 検察の取り調べを巡っては、2019年参院選の元法相夫婦による大規模買収事件で、
東京地検特捜部の検事が元広島市議の供述を誘導したとされる問題が昨年8月に発覚。最
高検は同年12月、検事の発言が「不起訴となることを期待するのだったことは否定しが
たい」として取り調べが不適正だったとする内部調査結果を公表した。
特捜部が手がける事件は政治家の汚職事件など知能犯が多く、直接証拠も少ないことか
ら、検事と被疑者らの間で際どい攻防が繰り広げられるのが常だ。検察の取り調べが厳し
くなるのは当然で、被疑者・被告人側が「取り調べが不適切だ」と主張し、特別公務員暴
行陵虐容疑などで刑事告発したり最高検に苦情を述べたりするケースはこれまでにも度々
あった。だが、多くが被疑者らによる「大げさな言いがかり」として淡々と処理され、問
題になるケースはほとんどなかった。
 このため、昨年12月に最高検が特捜検事の取り調べを「不適正」と認めた当時、検察
内外に衝撃が走ったのは言うまでもない。今回の木村被告のケースでは、特捜事件以外の
一般の刑事事件でも、検事による不適正な取り調べが蔓延している実態を浮き彫りにした
ともいえ、検察としては由々しき事態だ。来年2月に和歌山地裁で始まる木村被告の公判
に影響を与えるのはもちろんだが、検察全体として大幅な意識改革が求められるは当然だ
ろう。
ただ、被告人らによる告発を懸念して取り調べが甘くなれば、巨悪は見逃され、本来罪
に問われるべき者が野放しになる恐れもあり、本末転倒だ。「適正な取り調べ」を推進し
、起訴すべき者をしっかり起訴できるよう、検察の組織全体のあり方が問われている。

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