連載•小説 連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.97 『東京の雪で水道が止まる』
連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.97 『東京の雪で水道が止まる』
連載•小説

2026/03/29

 自宅のアパートで洗濯機を回しながら歯を磨いていると、水道が止まった。

混乱した俺は思わず蛇口を閉めた。閉めれば、それは水道が止まってなくても止まるだろうという話なのだが、あまりに急な出来事ゆえそうなってしまった。俺は泡立った歯ブラシを咥えながら、今度は蛇口を開けてみた。やっぱり水は出なかった。次いで洗濯機のふたを開けると水がほとんどなく、衣類がグルグル鈍い音をたてて回っているだけだった。俺はここへ来てようやく、この部屋の水が止まっていることに気付いた。だが、水道代は、家賃に含まれているため払っている。その時、外から大家さんの声が聞こえて来た。窓を開けると、家の前には作業服を着た男と大家さんが立っていた。

「水道管が凍結したんだよ~」

と大家さんが笑っている。昨日、東京で珍しく積もった雪が原因のようだった。

俺は泡立った歯ブラシを置いた。冷蔵庫にあったポカリでうがいをしたら、なかなか気持ち悪かった。

TIMES

連載•小説