2月9日、香港の法廷は、香港の「自由と民主」の旗手として戦ってきた黎智英(英語名:ジミー・ライ=76)氏に、香港国家安全維持法(国安法)違反などの罪で禁固刑20年という判決を下した。20年は。国安法の下でこれまでに科された刑罰として最も重い。 欧米だけでなくアジアのメディアも「実質死刑」と中国共産党批判の論陣を張ったが、日本のメディアは、香港の女性民主活動家の周庭氏(アグネス・チョウ、カナダに事実上亡命)のようなハデな扱いはしていない。若い女性は報道の価値があるが、おっさんでは絵にならないということなのか。 ライ氏の問題を巡っては、早くから米議会が高い関心を寄せ、米下院の超党派である「米国と中国共産党の戦略的競争に関する特別委員会」のジョン・ムーレナー委員長も、「議会は弾圧に関与した者らへの制裁措置を主導し続ける。中国の習近平主席に対しても米国との関係改善を望むなら解放こそがその第一歩だ」と強調した。 ライ氏の子息であるセバスチャン氏は「20年という過酷な刑期は、父の生命を脅かす。香港の司法制度が完全に破壊され、正義が終焉した。中国は手遅れになる前に正しいことをし、父を釈放すべきだ」と訴えた。 娘のクレア氏は「胸が張り裂けるほど残酷だ。過去5年間、父の健康状態が劇的に悪化し、収容環境が劣悪になるのを目の当たりにしてきた。父は獄中で殉教者として息を引き取ることになるだろう」と語っている。 世界各地で「ジミーにノーベル平和賞を!」という署名活動が行われており、トランプ米大統領は、4月の訪中(予定)で、ライ氏の釈放を求めると言われている。高市政権もこの問題を看過するわけにはいかないのは当然だろう。 ライ氏は、民主派の地元紙「蘋果日報」(アップル・デイリー)と週刊誌「壱週刊」(ネクスト・マガジン)を発行する香港の壱伝媒国際集団(ネクストメディア・インターナショナル・ホールディングス)の創業者である。 またライ氏はジョルダーノというファッションチェーンの経営で頭角を現した人物として知られている。ジョルダーノは日本の女優も飛びつくほどデザインに優れ、ユニクロの成功モデルとなったSPA(製造小売業)型化に大きな影響を与えたことでも知られる。 米国ギャップ(GAP)社にも影響を与え、GAPとともに隆盛を誇っていた米国の「リミテッド」社に商品を供給するサプライヤーとしても活躍した。 ユニクロを傘下とするファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏は“お手本”と絶賛している。 中国で大成功を収めている柳井氏には、ぜひライ氏救済に動いてほしいものだ。(梛野順三)