2026/03/10
百貨店業界を俯瞰すると大きくは「呉服屋系」と「電鉄系」に分かれる。そしてこの両者を比較すると総じて優勢「呉服屋系」とジリ貧「電鉄系」に色分けされる。呉服系の代表は堅調な業績で推移する高島屋だ。
高島屋の総額営業収益(旧会計基準の売上高相当)は、2020年2月期の9191億円から、コロナ禍の影響から翌年度には6809億円まで減少したが、その後回復し、25年2月期には17年ぶりに1兆円を突破した。同期には新宿店が初めて売上高1000億円を達成している。
同じく呉服屋系の三越伊勢丹ホールディングスも好調で、伊勢丹新宿本店の24年度売上高は前年比12.1%増の4212億円と単独店としてはトップの規模を誇る。
対する電鉄系百貨店の業績は芳しくない。小田急新宿店本館の跡地には、高さ260メートルの高層ビルが建つ予定だが、低層階に小田急百貨店が出店するかは未定となっている。出店しても大幅な規模縮小となるらしい。
そもそも小田急百貨店は他社ほど多店舗展開していないため閉店がさほど目立たないが、業績が悪化している。小田急電鉄の百貨店業売上高は15年度の1537億円から18年度には1428億円となり、20年度はコロナ禍で863億円まで落ち込んだ。
東急も23年に閉店した渋谷本店跡地には、百貨店は再出店せず、地上36階地下4階、高さ164.8㍍の複合施設が出現する予定だ。
西武百貨店は03年にそごうと合併し、09年から23年までの間、セブン&アイ・ホールディングス傘下で営業を続けたが、縮小の一途をたどり、地方や郊外で閉店が相次いだ。
電鉄系ではないが、そごうも同様に店舗を相次いで閉鎖。柏、八王子、川口、徳島店などが対象となった。そごう・西武は現在、米ファンドのフォートレス傘下にあり、西武池袋本店の不動産はヨドバシホールディングスに売り渡された。
呉服系は富裕層やインバウンド需要を取り込んだため業績悪化を免れることができた。そもそも呉服屋系は大都市圏に集中しており、一等地に店舗を構える高島屋や三越伊勢丹HDなどは集客に有利なことが奉功した。
勝者組は富裕層向けの強化を進めている。新宿高島屋では高級ブランドフロアの改装や、ゴルフ売場の拡大などを進めた。24年には富裕層の運用助言会社を買収した。三越伊勢丹HDは22年に「外商統括部」を新設。伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店で分かれていた外商部門を統一し、品ぞろえや営業体制を強化した。
一方で西武のように郊外が主軸の電鉄系は富裕層を取り込めず、中間層離れによって、業績が長期的に低迷した。
高島屋や三越伊勢丹、新生・西武池袋などは庶民にとっては知らない高級ブランドばかりになった。ハードルが高すぎクン!(梛野順三)
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