第45回 椎野礼仁のTANKA de 爺さん
連載•小説
2026/03/02
夢
安息の保証にもならぬ一畳の囲繞の中で彼が見る夢
警察にいつ踏み込まれるかわからないネットカフェで彼が見る夢
永遠の夢とは畢竟頽廃だ ここがロドスだ、ここで跳べ
人はみな夢見る自由があるという 自由とは権利勝ち取りに行け
一瞬の虹を見たことその虹をいつも心に抱けるということ
空だけが外界へ通じる道というガザの子供が飛ばす風船
2月27日のNHKカルチャーセンター青山の福島泰樹・実作短歌入門講座。解題詠は「夢」の7首連作だった。
ベタで難しい題材だが、かつてこの言葉を使って歌を作ったことがあったのを思い出した。それが1首目だ。殺人犯が逃亡中にネット喫茶で寝泊まりしたとしたら、という架空の設定で詠んだ。だが、いま見ると気取っている。というか昭和30~40年の少年たちのタームで言えば「すかしてる」。具体的に表現せずにこういういい方をするのが短歌だ、うまい事を言った、と作った時(数年前)にはそう思っていた。その頃、僕の歌には「分かりにくい」「独りよがりだ」という批判が投げ付けられていた。
同じことを有体に詠んだのが2首目だ。3日くらい前に作った。わかりやすいことはわかりやすい。が、どこか幼くも感じる。短歌とはどうあるべきなのか、悩んでいる。この間に正解があるのかさえも、分からない。
他の受講生と先生の歌評は、来週に書きます。
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