2026/01/24
人工知能(AI)需要に伴ってデータセンター(DC)市場が急拡大している。DCとは、AIの学習や推論、クラウドサービスの利用時に送受信されるデータを保存し処理する施設だ。実はこのDC、電力を爆食する。
昨年NTTデータグループのデータセンターが上場(シンガポール証取)し、NTT本体が世界で1.5兆円の投資に走るなど日本経済を牽引する一方で、電力需給にひずみをもたらす懸念も指摘されている。何と首都圏・関西に9割集中するDCだけで原発9基分を飲み込むのだ。
千葉県印西市には、国内企業からハイパースケーラー(大手クラウド事業者)まで、幅広い事業者のDCが集積することから「DCのメッカ」と称せられている。
この地にDCが集積するようになったのは、いくつかの理由があるが、最大の理由は、地下に距離にして10.1キロメートルにおよぶ東京電力パワーグリッド(東電系)による275キロボルトもの超高圧電流が流れているからだ。
もうひとつの懸念は、DC建設地における地元住民の反対運動だ。2023年9月、DCの開発事業に参入した三井不動産は、日野自動車工場敷地の4分の1の土地にDCの建設を公表した。
この計画に待ったをかけているのが周辺住民だ。その理由はDCからの「排熱」によるヒートアイランド現象への懸念で、酷暑にさらに追い打ちを掛けるというのがその理由だ。
最後に原発。福島第1原発の事故以前、日本には54基の原発があり、わが国で使う電力の約25%を賄っていた。事故から14年以上が経過したが、地元の同意を得て再稼働した原発は14基のみ。多くは休業状態だ。廃炉を決定した原発は21基ある。
つまりDCの電力爆食は、エネルギーの需要と供給に莫大な歪をもたらす可能性が大だ。さらに大きな懸念を深堀りしよう。
日本の原子力を担う人材は、稼働停止が相次ぐ中、極度な不足状況にある。電力会社の優秀な人材は、少なからず脱走(退職)し、大学・大学院の原子力関連学科・専攻の学生・院生の数は、30年前と比べると約3分の1に減り、原子力分野を専門とする大学教員数や研究炉も減少という有様なのだ。
AIブームを追い風にした米国におけるDC林立は、米国最大の電力網運営会社を供給危機の瀬戸際まで追い込んでいる。
今後DC建設計画は目白押しだ。AIや量子通信などの技術の高みを目指したところで、ここまで原発=極悪の世論が根付いてしまうと、せっかくの成長分野の芽を摘むことになるのは間違いない。(梛野順三)
TIMES
社会•事件








