社会•事件 ハローワーク職員が前代未聞の求職者になりすまし 功名心からの愚行か
ハローワーク職員が前代未聞の求職者になりすまし 功名心からの愚行か
社会•事件

2025/12/23

 公共職業安定所(ハローワーク)職員が求職者になりすまして求人企業に応募するという信じがたい不祥事が発覚した。ハローワーク墨田(東京都墨田区)のハローワークの職員が、2人分の偽名を使って求職者になりすまし、求人を出した9社に応募。面接を受けて採用が決まった4件を就職件数として国の統計に架空計上していたという。厚生労働省や東京労働局は、重大な公務員倫理規定違反などにあたるとみており、懲戒処分を検討している。

 

◆不正の背景にはノルマも?

 ハローワークでは、就職件数などの目標値が定められており、一部のハローワークでは職員ごとのノルマも設定されているという。今回、求職者になりすました職員は、自身のノルマが達成できなかったことから、「なりすまし」という愚行に走ってしまったとの見方が強まっているようだ。

 厚労省関係者によると、この職員が管理職などではなく、完全に「単独犯」として今回のなりすましに及んでおり、現時点では、他の職員の関与や組織的な不正は確認されていないという。

 本来、求職者側が採用を辞退した場合、就職件数からは除外されるが、今回のケースの場合は、なりすました職員が「求人企業」とやり取りをしながら、「求職者」になりすましていたことなどから除外措置が一切取られておらず、そのまま架空計上されたままになっているとみられる。

 ハローワークの就職件数などの実績は、有効求人倍率などの指標の算出根拠となっておいる。今回の不正はたった4件の就職件数の水増しのため、こうした関連統計に影響はないだろうが、公的統計の信頼を揺るがしかねないゆゆしき不正といえるだろう。

 

◆再発防止の徹底を

なりすました職員にとって、今回の不正で得られる経済的利益は何もない。職員は自らの実績を高くみせ、将来の出世につなげたいといった功名心に駆られたのだろうか。なぜ「自作自演」までして求職者になりすます必要があったのか、疑問は尽きない。

行政側にとって、ハローワーク職員が求職者になりすまし、自ら求人企業の面接を受けるまでの偽装工作は、全く想定されていなかったのだろう。ただ、複数職員で一つの求人案件を対応するなどしていれば、容易に防げる不正ともいえる。厚労省は再発防止に向けた対策を早急に講じるべきだろう。

(桜田亮)

TIMES

社会•事件