2025/12/17
中国外務省が日本への渡航を自粛するよう注意喚起してから1か月になるが、青森沖で発生した地震を理由に12月11日、再び当面の渡航自粛を呼び掛けている。中国国営放送によると「日本の本州東部付近の海域で連続して地震が発生しており、地震により多数の負傷者がでているほか、日本各地で津波が観測されており、日本の関係当局はより大きな地震が発生する可能性があると発表している」としている。
今回の中国の渡航自粛の呼びかけは地震の危惧は表面上だけのことであり、実際には高市首相の台湾有事に関する答弁を受けての抗議の一種であることは間違いない。中国政府は訪日中国人観光客によって日本の経済に与える影響を過大に評価しすぎているのではないか。経済界から中国人観光客が減少することによって窮状を訴える声はあまり耳にしない。
実際には最も困っているのは中国人エージェントなのではないか。日本に居座る中国系エージェントはバス、免税店、ホテル、飲食店など中国系企業が連携して客の囲い込みを行っている。そもそも中国人観光客の金は日本に落ちることはほとんどない状態にある。結局、実際に打撃を受けるのはむしろ中国系の企業と言ってよい。ブーメランというか、身から出た錆というか、因果応報というか、自業自得なのである。
中国人観光客はモラルやマナーが悪く他国の文化への敬意に欠けると度々指摘されてきた。中国人観光客が減少したらこれまでオーバーツーリズムによって敬遠していた日本人観光客が増えるのではないかと期待する観光関係者も多い。国内需要を喚起することで観光産業の健全化を試みるべき時期にあるのかもしれない。
中国政府は高市首相の台湾有事に関する答弁に対抗して、観光だけでなく日本産水産物の輸入手続きを停止している。表向きは東京電力福島第1原発の処理水に関する監視を理由にあげている。日本産牛肉の輸出再開に向けた政府間協議も中国側の意向で中止になっている。中国政府は他国に言う事を聞かせるために理不尽な圧力を加える行為を平気で行ってきた。以前にも日本製のホタテを中国が禁輸して北海道の漁協が損失を被ったことがあった。中国依存のリスクを承知した日本企業は近年、中国依存の解消に取り組んでおり貿易先を分散させてきた。今では日本から中国への輸出は全体の3%強に過ぎなくなっている。要するに中国政府による恫喝的な経済制裁の効果はほとんどなくなっているのだ。むしろ、日本に対する制裁の被害は中国の事業者の方が大きいであろう。チャイナリスクは今や死語。リスクを負っているのは中国側なのだから傑作である。
(坂本雅彦)
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