政治•経済 社会•事件 独走スクープ連載 『我が国の砲身はどこに向けられているのか』~知られざる防衛前線を追う~ 第5回
独走スクープ連載 『我が国の砲身はどこに向けられているのか』~知られざる防衛前線を追う~ 第5回
政治•経済 社会•事件

2025/12/15

高市政権になって〝防衛〟は最重要キーワードとなった。補正予算では防衛費増強だけが主眼となっている。そんな状況の中、猿ヶ森では防衛省による土地買い占めの動きが人知れず進行している。このことは文字通り水面下でひっそりと進行している。何のために。その答えは本連載第4回の中で出ている。地元地権者の一人、蟹ヶ谷久一の証言である。

ここ猿ヶ森に曰く、『すっげえ拠点を造る』のである。この渺茫とした砂丘に〝拠点〟を造る。前の対戦中日本軍(海軍)は鎮守府なる根拠地をこしらえ連合軍に対峙した。横須賀や呉、佐世保、舞鶴である。蟹ヶ谷のいう『すっげえ拠点』なる表現はまさにかつてあった鎮守府を連想させる。それも直ちに、だ。ここ猿ヶ森は鎮守府になるのか。そうとでも解釈しない限り、今、猿ヶ森の土地を求めて防衛省が地元地権者のもとを訪れている行動の意図が理解できないのだ。何の意味もなく、余っているとしても大事な予算を費消するその意図は見いだせない。

この事態だけでも慄然とせざるを得ないのにさらなる異常な動きが出てきた。猿ヶ森の古い地権者である宮崎作蔵(81仮名 漁業)がいう。

「わしんとこも(わたしのところにも)わしの持っとる地べた(土地)を買いに来たもんがおるんだ。防衛省?ちがうだ。防衛省のもんとは違うんじゃ。買いに来たもんは日本人ではないだべ。どこのもんかて(どこに人ですかだって)?それがの中国だべさ(※宮崎はその中国人の名前をハッキリ筆者に明かした)。ちゃんとした通訳の人と一緒にやって来ただべ。中国からやってきて猿ヶ森の土地を買うんじゃと。おら、ぶったまげた。なんてことじゃ、はじめは冗談かとおもったが、そりゃ熱心に(土地を)買いたい、買いたいというんだ。今の土地代(地価)の倍、いやあ最後は三倍だすて言ってきた。おら、怖くなって帰ってもらっただ。最後はわしが追い出しただよ」。

宮崎の話はまさしく瞠目に値する。防衛省が買い占めに入っていると見られる土地をまるで防衛省を追いかけるようにして中国人が買おうとしている。

この事態の意味はどういうことか。よもや防衛省の秘密裏の買い占めを中国人が支援しようとしているわけではあるまい。

ここ一世紀は何事もなく静かだった猿ヶ森だが、この一年そこそこで大きな動きが勃発してきた。その動きの先には暗い予感しか見いだせない。ただ猿ヶ森の砂丘を噛む太平洋の波は今日も穏やかに見える。(連載終 敬称略)フリーランスライター 廣田玉紀

TIMES

政治•経済 社会•事件