連載•小説 連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.67『ひとり木下大サーカス~その3・最終回』
連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.67『ひとり木下大サーカス~その3・最終回』
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2025/12/03

売店で買ったポテトを食べる間がないほど、ショーは止まらなかった。その後も、休憩を挟んで、ゾウの曲芸、バイクスタント、空中ブランコなどで盛り上がった。休憩中にポテトを食べることはできたが、それでは普通のポテトになってしまう。俺はサーカスのポテトが食べたかった。

今回、最も印象的だったのは、15mの空中大車輪である。左右に車輪が一つづつ付いたシーソーの如き乗り物。そこに二人の団員が左右に乗って回転させるのだ。命綱も何もない。生身の人間が車輪の中、さらには上にも登って、目隠しまでして飛び跳ねている。

落ちる!と誰もが固唾を飲む。その時、隣の席の男の子が

「ぴょんぴょん!」

と真似をはじめた。座席の振動が伝わって俺も大車輪に乗っている感覚になった。と、その瞬間

「あっ」

俺は声を出した。ずっと片手に持っていたポテトが床に落ちてしまったのだ。

大車輪の英雄二人を観ながら、俺は落ちたのがポテトでよかったと安心した。

 

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