シーズン1から4まで10カ月、写楽が姿を消した理由
連載•小説
2025/11/25
写楽の作品が売れていたことはすでに述べた。が、驚きや称賛の声と同等、もしくはそれ以上に拒絶反応が起こるのは、時代を超えた傑作の証しである。当時、写楽の作品を目にした人々の反応がそうだった。
リリースの翌年、1795(寛政7)年から5年の間に編集・著述した『浮世絵類考』は、その後何度も補筆や増補された浮世絵全般を総覧する史料であり、各々の絵師や作品に対する論評が加えられている。写楽については、同書の編纂・執筆を務めた大田南畝によるこんな記述が残っている。
「あまりに真を画かんとてあらぬさまにかきなせしかば、長く世におこなわれず、一両年にして止む」――つまり、あまりに役者の真に迫る姿を描いたことで、かえって長続きせずに1年程度で消えた、ということである。確かに、描かれた役者本人が激怒しかねないインパクトのある図柄であり、かえって目を背ける者もいたと推測できそうだ。
写楽作品はシーズン1からシーズン4まで実に140点以上がリリースされている。ただし現在の我々が写楽と聞いて連想するあの強烈な大首絵はシーズン1のみ。2、3、4は旧来の全身像の割合が増え、役者絵のほか新顔の役者を披露する顔見世狂言、相撲絵や武者絵も加わったものの、シーズン1のインパクトとは程遠く、質の低下を指摘する専門家もいる。
この間、わずか10カ月程度。写楽はそこで忽然と姿を消すのである。(つづく)
(西川修一)
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