政治•経済 韓国・李在明政権の「台湾有事」と日本の対応への視座
韓国・李在明政権の「台湾有事」と日本の対応への視座
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2025/11/29

高市早苗首相が、台湾有事を日本の存立危機事態と明言したことにより、日中関係は一気に緊迫の度を増した。この状況は、極めて微妙な立ち位置にある隣国・韓国にも大きな波紋を広げている。特に、李在明大統領は、中国との経済的結びつきと、同盟国である米国との安全保障上の連携という二律背反の課題を抱えており、日本の対応を極めて複雑な視点から見つめていると推察される。

李在明政権の外交戦略は、「実利外交」を掲げ、米中間でバランスを取ることを基本としている。中国は韓国にとって最大の貿易相手国であり、経済の安定には中国との良好な関係が不可欠である。その一方で、北朝鮮の核・ミサイル開発という最大の安全保障上の脅威に対処するためには、米国との同盟強化は譲れない基軸である。台湾有事において日本が存立危機事態として集団的自衛権の行使に踏み切る可能性を示したことは、韓国にとってこのバランスの維持を一層困難にする要素となる。

まず、韓国は日本の対応を「拡大する日本の軍事力」という文脈で捉える側面がある。李政権内には、高市首相の発言が、日本の「専守防衛」原則からの逸脱をさらに明確化し、「普通の国」への道を着実に進む動きと警戒する声があると考えられる。台湾有事への日本の積極的な関与は、米国が推進する対中国包囲網における日本の役割を増大させるものであり、これは将来的に日本の自衛隊が朝鮮半島情勢にも関与する可能性を高めるものと捉えられかねない。

一方で、安全保障の観点から見れば、日本の明確な立場表明は、北東アジアの抑止力強化につながると評価する側面も存在する。台湾海峡の安定は、朝鮮半島の安定に直結しており、もし台湾有事が発生すれば、その混乱は必然的に韓国にも波及する。日本の存立危機事態認定は、米国との連携を前提とした台湾防衛への強い意思を示すものであり中国の軍事行動に対する一定の牽制力として機能することを期待する見方もあるだろう。

しかし、李政権は中国の反発を最も恐れている。中国が日本の水産物輸入停止のような経済制裁を発動している状況を見れば、もし韓国が日本と同様に台湾問題で中国を刺激する言動を取れば、韓国経済が受けるダメージは甚大である。そのため、李政権は高市首相の発言に対して公式な支持や非難を避け、事態の沈静化を望む静観の姿勢を維持する可能性が高い。外交当局は、日中両政府に対し、十分な意思疎通を通じて地域の平和と安定に貢献するよう、慎重なメッセージを発することに重点を置くであろう。

(ジョワキン)

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