政治•経済 連載•小説 鳩山由紀夫元総理に聞く平和への戦略的思考④
鳩山由紀夫元総理に聞く平和への戦略的思考④
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2025/11/24

  向こうで反日を感じられることはなかったのですか?

 

鳩山 なかったです。一切なかった。

(国民民主党の)玉木代表が「鳩山が中国に行けば、プロパガンダに使われる」という批判をされていましたが、 中国では「そういう批判があるから、プロパガンダに使うことはしないよう、冷静に対処することに努めた」ということを言っていました。

私としてもそれは有り難かったし、中国はそういう配慮をしています。 

 

―  抗日関係の史跡等に招待されなかったのですか。

 

鳩山 全体の行事にはあったかも知れませんが、私自身は招待されなかった。天安門と人民大会堂、二日間それだけでした。 

 

  抗日教育が、日本側に伝わり、中国への反感が芽生えてしまうことも考えられませんか。 

 

鳩山 もちろん、その心配はあります。 

 

―  抗日映画を見た少女が、泣きながら“日本人を皆殺しにしたい”などと言ったという話が、日本で流れている。

   

抗日映画を見た5歳の女の子が号泣、「大きくなったら兵士になりたい」

鳩山 日本軍が残虐な行為を行ったのは事実でしょうし、映画がそこを強調しているのかも知れません。でも、中国人全体で反日的なムードが高まることは抑えないといけない。中国政府も当然考えているとは思いますが、日本側も、過去の侵略に対する反省メッセージを送り、“日本が憎い”と思う気持ちは解るにしても、それを乗り超えて、日中関係を良くしたいという気持ちに変わって貰いたいと思っています。

 

―  抗日教育が行われる一方、50代以上の中国人は、高倉健主演の『追捕』という映画。日本では『君よ、憤怒の川を渡れ』という映画を見ていない人が殆どいないそうです。 改革開放が始まった翌年に公開された最初の日本映画で、主役の高倉健とヒロインの中野良子は、当時の中国で凄い人気があったといいます。 

1979年の訪中で子供達に囲まれる中野良子

鳩山 そうらしいですね。東麻布にある中華料理店『富麗華』にしばしば高倉健さんが来られていましたよ。そこの社長が健さんの大ファンで、特別室がありました。中国人にとって、高倉健さんが最高の日本人だったのが、よくわかりましたね。 

 

  80年以降に生まれた中国人には、バスケットボール漫画『スラムダンク』のアニメが凄い人気です。アニメの聖地になった鎌倉には、中国人観光客が大勢来ていますよ。 

 

鳩山 アニメの影響力は想像以上のものがありますし、アニメは世界に誇れる日本の文化だと思います。それが日本びいきになるきっかけにもなりますから。

国と国の外交の力などより、 ああいう一つのアニメがもたらす影響力は計り知れないものがありますよね。非常に大事だと思いますよ。今の日本が輸出できる最大の文化じゃないでしょうか。それは間違いないですよね。 

 

  確かに影響力がありますよね。

 

鳩山 凄いなと思いますよね。私は見てないので良くわからないのですけれど。 

 

  鎌倉では、オーバーツーリズムを迷惑がる人もいるぐらいです。 軍事パレードがあった9月3日も、観光客が来ていた。お金のある人は、日本に旅行に行く。 

 

鳩山 鎌倉が聖地になっているらしいですね。

 

  鎌倉というか、江ノ島電鉄の『鎌倉高校前』駅です。中国人だけではなく、台湾や韓国からも来ています。

 

鳩山 大変大きな役割を果たしていますよね。そういうアニメの影響がね。

 

(聞き手:高橋寛)

先行上映された北京大学(2023年)

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