政治•経済 インドでテロ 過去には日本人も犠牲に
インドでテロ 過去には日本人も犠牲に
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2025/11/21

インドの首都ニューデリーにおいて、11月10日に車両爆発事件が発生し、インド政府が「テロ事件」として認定したことは、インド国内の治安情勢に対する懸念を再び高める出来事となった。この事件は、多数の死傷者を出し、大規模なテロが計画されていた可能性も指摘されている。世界遺産「レッド・フォート」の近くという注目度の高い場所での発生であり、国内外に進出している企業や滞在する外国人にとって、その脅威を再認識させるものである。

この度のニューデリーの事件は、テロの脅威が現実のものであることを改めて示すこととなったが、過去にもインドは甚大なテロ被害を受けている。特に記憶に新しいのは、2008年11月に発生したムンバイ同時多発テロ事件である。イスラム過激派組織のメンバーとされる武装集団が、タージマハル・ホテルやトライデント・ホテルなどの高級ホテル、鉄道駅、ユダヤ教施設といった多数の民間施設を襲撃し、166人もの命が奪われた。この犠牲者の中には、日本人1人も含まれており、インド国内におけるテロが、現地に滞在する日本人や進出企業にとって決して対岸の火事ではないことを痛ましくも示している。

このテロ事件では、襲撃対象となったのが外国人観光客やビジネス客が多く利用する施設であったため、インドに進出している日本企業や、駐在員・出張者を派遣している企業は、この種の「ソフトターゲット」を狙った攻撃への警戒を強める必要性に迫られた経緯がある。

経済発展の目覚ましいインドは、日本企業にとって魅力的な進出先であり続けているが、地政学的リスクや国内の治安情勢は無視できない課題である。テロの脅威は、予期せぬ形で企業活動を中断させ、最悪の場合、駐在員の生命を脅かす可能性がある。したがって、日本企業は、単なる経済活動だけでなく、社員の安全を最優先としたリスク管理体制を構築しなければならない。

具体的には、テロ警戒情報の収集と共有の徹底が不可欠である。外務省や現地大使館からの最新情報を常に把握し、駐在員や出張者へ迅速に伝達する体制を整備する必要がある。また、テロ発生時の緊急連絡網の確立、そして避難経路の確認といった基本的な行動計画を、定期的な訓練を通じて社員に徹底させるべきである。

さらに、日頃の行動においても、駐在員に対し、不必要な人混みやデモが発生している地域への立ち入りを避けさせること、そして、外国人が多く集まる施設や時刻を考慮した行動を取るよう指導することも重要である。ホテルの選定一つをとっても、警備体制が厳重な施設を選ぶなど、「安全」をコストと捉えない意識を持つことが求められる。

インド政府は今回のニューデリーのテロ事件に対し、捜査を強化しているが、テロの脅威が完全に払拭されることは難しいのが現状である。進出日本企業は、過去の悲劇から学び、今回の事件を教訓として、常に最悪の事態を想定した危機管理体制を維持・強化していくべきである。社員の安全確保は、企業の持続的な成長を支える基盤であり、その重要性はインドにおけるビジネス展開において最も優先されるべき事項である。

(ジョワキン)

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