社会•事件 26年越しの逮捕 愛知県警への称賛は妥当か? 初動捜査は尽くされていたのか検証を
26年越しの逮捕 愛知県警への称賛は妥当か? 初動捜査は尽くされていたのか検証を
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2025/11/14

名古屋市西区のアパートで1999年11月、主婦の高羽奈美子さん(当時32歳)が殺害された事
件で、愛知県警が10月31日、高羽さんの夫の同級生だったアルバイト安福久美子容疑者(69)を
殺人容疑で逮捕した。26年越しで容疑者逮捕に至り、長期未解決事件が大きく進展したため、「
愛知県警の執念が実った」との論調で県警を称賛する報道が相次いでいる。ただ、結果的に容疑
者は夫の知人で、さらに同じ市内で長年暮らしていた女だった。身近に容疑者がいたにも関わら
ず、解決までこれほど長期間を要したのはなぜか。初動捜査が適切に尽くされていれば、事件は
早期解決していた可能性もあり、警察庁などによる検証が必須といえるだろう。

■DNA型が一致
捜査関係者などによると、安福容疑者は10月30日午後、捜査本部のある愛知県警西署に一人
で出頭したという。アパートの部屋から採取した血痕と、安福容疑者のDNA型が一致したため、県
警は31日夕に逮捕し、そのまま夜に逮捕を公表する流れとなり、一気に事件が動いた形だ。
 発表によると、安福容疑者は99年11月、名古屋市西区稲生町のアパートの高羽さん一家が暮ら
す一室で、高羽さんの首を刃物で複数回刺すなどして失血死させた疑いが持たれている。
安福容疑者は、高羽さんの夫の悟さん(69)と高校時代の同級生で、部活も一緒だった。その後
の調べでは、学生時代に安福容疑者が悟さんに好意を寄せていたことなども明らかになり、学生
時代からの異常な恋愛感情が、事件の背景にある可能性も浮上している。
愛知県警は逮捕時の記者会見で、捜査1課長が「遺族の無念を晴らすという一念で、こつこつ
捜査を積み上げた結果だ。まもなく26年という長い年月がたってしまったことは被害者と遺族に対
して大変申し訳ないと感じている」と述べた。
まさに、この「申し訳ない」という発言には、警察として、初動捜査やその後の継続捜査の過程に
問題があったという自覚のあることが伺える。

■コールドケースは防げたのではないか
安福容疑者の取り調べは本格化しているが、詳細な動機はまだ解明されていない。ただ、大筋
で容疑を認めているといい、急に否認に転じることがない限り、今後は淡々と起訴され、公判で有
罪となる可能性が高いだろう。
学生時代の恋愛感情が殺人に至るという、猟奇的な事件とも言え、マスコミの注目を集めている
今回の事件。ただ、最も検証すべきは、警察のこれまでの捜査のあり方である。親族や友人、過去
の同級生ら関係者を捜査していくのは、殺人事件の基本で、26年越しで事件は解決したものの、
警察は喜んでばかりはいられないだろう。当時、安福容疑者にからDNAを採取して照会できてい
れば、コールドケースになるような事件ではなく、早期に解決していたはずだ。愛知県警は初動捜
査でどこまで男女関係について総洗いしていたのか。
今回の事件では、身近な関係者だった安福容疑者の逮捕が、世間や捜査関係者に与えた衝撃
や教訓は大きい。警察当局には反省と共に、捜査の徹底的な検証が求められる。

(桜田亮)

 

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