政治•経済 高市政権の顔ぶれから読み取れる外交・安保政策の明確な方向性
高市政権の顔ぶれから読み取れる外交・安保政策の明確な方向性
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2025/11/01

高市政権の組閣人事を詳細に分析すると、そこには、政権運営の「安定」と「トランプ・コネクションの強化」、そして「保守的政策の推進」という、三つの明確な政治的・政策的なメッセージが読み取れる。

第一に、政権の安定と求心力の確保への強い意識である。自民党総裁選を共に戦った小泉進次郎氏を防衛大臣、林芳正氏を総務大臣にそれぞれ抜擢したことは、党内の亀裂を防ぎ、高市政権の基盤を強化しようという意図の表れに他ならない。総裁選でライバルであった主要議員を政権の中枢に組み込むことで、政権運営の不安定さを最小限に抑え、外交上の継続性と安定性を国際社会に示そうという、実務的な計算が見える。

第二に、対米外交の継続と「トランプ・コネクション」の強化、そして経済安全保障の重視である。外交・経済・安全保障の中枢に配置された主要閣僚人事は、特に来たるべき「トランプ・リスク」への強い意識を物語っている。茂木敏充氏を外務大臣に再任したことは、対米外交の継続性を保証するものであり、茂木氏が第1次トランプ政権下の2019年に、経済再生担当相や外相として日米貿易協定の締結交渉で米国側と直接渡り合い、トランプ政権との「交渉術」と「人脈」を有している点が評価されたと考えられる。これは、トランプ氏やその周辺との関係を維持・強化し、日本の国益を損なうことなく対米関係を円滑に進めようという、実利的な狙いがある。
この狙いは、赤澤亮正氏を経済産業大臣に抜擢した人事からも裏付けられる。赤澤氏は石破政権でトランプ関税交渉において主要な役割を担った経験を持つ。経産省は先端技術の輸出管理やサプライチェーン強靭化といった経済安全保障政策の最前線を担う省庁であり、この人事は、米国との間で経済安保領域における連携をさらに深め、特に半導体や重要鉱物といった戦略物資のサプライチェーン構築において、協調体制を確立しようという強い意思を示している。これらの人事は、高市政権が日米同盟を外交の基軸とし、特に経済安全保障の領域で米国との関係を強化することを最優先課題としていることを明確に示している。

第三に、政権の保守的な政治信条の明確化である。政権の事実上のナンバー2である内閣官房長官には、高市氏と政治信条を共有する木原誠二氏、経済安全保障大臣には同じく保守的な小野田紀美氏が起用された。これは、高市政権が単なる実務内閣ではなく、歴史認識や安全保障政策において、保守的な価値観と安倍政権時代の路線を強く踏襲・強化していく姿勢を示唆している。特に経済安全保障大臣に保守派を起用したことは、重要技術の流出防止や特定国への依存度低減といった政策を、イデオロギー的にも強く推進する可能性を秘めている。

これらの人事は、高市政権が明確な外交・安保政策の方向性を持って船出したことを示しているが、同時に、この政権が乗り越えなければならない構造的な弱点が存在することも示唆している。

(ジョワキン)

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