政治•経済 レアアースの安定供給をどう維持するべきか
レアアースの安定供給をどう維持するべきか
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2025/10/28

レアアースは、ハイブリッド車モーター、風力発電タービン、先端半導体、高性能 磁石など、日本の基幹産業と安全保障に不可欠な戦略物資である。その供給は、採掘から精製に至るまで、中国が一国で世界全体の大部分を握る構造にある。この対中依存は、日本にとって戦略的自律性を脅かす主要なリスクとなっている。

このリスクは、これまでも現実のものとして繰り返されてきた。象徴的なのは、2010年9月の尖閣諸島沖で発生した中国漁船衝突事件で、中国は対日報復措置として日本向けのレアアース輸出を一時的に制限した。近年でも、日本が先端半導体の輸出規制で米国と歩調を合わせたことに対し、中国は半導体製造に欠かせない希少金属ガリウム・ゲルマニウムの輸出規制強化や、日本産水産物の全面輸入停止といった経済的圧力をかけた。

さらに、新たなリスクとして浮上しているのが、保守的な政治心情を貫く高市政権の発足である。高市氏は女性安倍とも表現されるが、日米関係のさらなる深化を外交上の最優先課題と位置付ける。高市政権の人事では、外相に茂木氏、経済産業大臣に赤澤氏が抜擢されたが、両氏ともトランプ政権と経済・貿易分野で交渉経験が豊富であることから、日米関係のさらなる深化を第一に目指すことは間違いない。しかし、米中対立の中、この対米重視路線の姿勢は、中国からの報復的な経済措置を招く新たな引き金となりかねない。中国自身も、高市氏の保守路線に懸念を示している。

このような中、対中依存のレアアース問題をいかに解決し、日本の戦略的自律性を高めるかは喫緊の課題である。しかし、先に結論を述べれば、中国が世界のレアアース市場を握るという現実は短期間には変えられず、日本ができることは、中国依存から完全に脱却することではなく、いかに依存度を低下させ、供給途絶リスクへの耐性を高められるかという現実的な目標設定である。

では、どのような対策が考えられるのか。地政学的な観点から言えば、日本はまず、調達先の多角化を強力に推進する必要がある。特に、中国以外の新たな鉱山開発プロジェクトや精製施設の整備が進むアフリカ諸国への積極的な投融資と技術協力を通じた連携強化は極めて重要だ。アフリカは未開発のレアアース資源ポテンシャルが高く、長期的なサプライチェーンの安定化に資する新たな供給源となり得る。南アフリカやタンザニア、ケニアなどで鉱山開発プロジェクトが近年積極的に進められており、日本企業のアフリカへの関心が強まっている。

また、米国やオーストラリア、インドなど、価値観を共有する同盟国・友好国との間で、採掘・精製・利用に至る強靭なレアアース・サプライチェーンを共同で構築し、経済安全保障上の連携を深めることが不可欠である。最近でも、トランプ大統領とオーストラリアのアルバニージー首相がホワイトハウスで会談し、レアアースおよび重要鉱物に関する協定の合意文書に署名したが、これには日本が関係するプロジェクトも含まれるという。価値観を共有する同盟国・友好国との連携により、中国による経済的威圧に対する集団的な抑止力を高めることができ、高市政権下の対米重視路線がもたらし得る新たな中国からの報復リスクも最小限に抑えることができる。日本などがレアアース同盟のような連携を強化することは、中国にとっては経済的圧力としての外交カードを失うことを意味する。

(ジョワキン)

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