第29回 椎野礼仁のTANKA de 爺さん
連載•小説
2025/10/27
寺山修司から言葉を借りて
得意げに両手を広げる少年よ 君もほんとは海を知らない
ふりむけば思いでボロボロ敗北の 一人の女のほつれ髪嗅ぐ
答えようたったひとつの質問に 私の次の短歌を読めと
ベンジンを染ませ女の香の移るマフラーを焼け我が精の果て
お祭りに母は行かしてくれずなり水飴のなか真赤な梅干し
コーラ瓶の中で太った蜥蜴ども底を破って出てはこれまい
10月24日のNHK文化センター青山の「福島泰樹の実作短歌入門」で寺山修司の講義があり、その日出た課題詠が「田園に死す」。エーッつ、難しい! といっせいに受講生の悲鳴。その結果、先生が「3首でも1首でもいい。できなければ自由題でもOK」と妥協。でも僕は、あの講座の良さはとにかく7首、連作を作らされることにあると思っているので、初志貫徹。とはいうものの、さすがに「田園に死す」をテーマにするのは手に余る。そこで、寺山の短歌や詩や芝居の中から言葉を選んで、そこから連想されるものを勝手に作った。
果たして短歌として成立しているのか。熱烈な寺山フォロワーの伊藤裕作は何というか。聞いてみたい。
TIMES
連載•小説






