連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.55『変な部屋』
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2025/10/22
俺の部屋の窓から見えるマンションの最上階のベランダに、赤い提灯がぶらさがっている。
窓を開ける度に視界にはそれが入ってくる。通常、提灯があるなら、それは「店」或いは「祭り」という場所で、ベランダに赤い提灯というのは見たことがない。
そう思っていたら、十日ほど前、提灯が撤去されていた。代わりに、なぜか、風車が飾られ回転していた。恐山のようだった。
ひょっとしたら、提灯は儀式的なもので、あの部屋は空室だったのかもしれない。と、突然、事故物件のイメージが湧いた。
そして先日、その風車も撤去された。今度は空気が入ったままの子供用プールがぶらさげてあった。俺はそれをジッと見ていると、ベランダに人が出て来て目が合った。
「もしかして落語家さん?」
「なぜそれを?」
「いつも外に着物を干していたり、干しながら独り言を言っているからです」
そんなことを言っている目に見えた。
俺の方こそ、変な部屋かもしれないと心配になった。
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