社会•事件 裁判所の責任問う 袴田さん国賠提訴 6億円賠償請求
裁判所の責任問う 袴田さん国賠提訴 6億円賠償請求
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2025/10/22

 冤罪や誤判を防ぐためには、裁判所自ら、厳格な姿勢で自身の責任を判断する必要がある。静岡県一家4人が殺害された事件で死刑判決が確定し、その後に再審無罪となった袴田巌さんが国と県を相手に、約6億円の損害賠償を求める国家賠償請求訴訟を静岡地裁に起こした。再審を巡る訴訟で、賠償請求額が過去最高額になったのは特筆すべきだが。それよりも目を引くのは、死刑判決を確定させた裁判所の責任も法廷で追及する点だ。国家賠償請求訴訟は、主に捜査機関側の責任を問うのが通例で、裁判所の責任を問う異例の訴訟となる。裁判所にとっては、自らの過ちを検証できるまたとない機会と捉えるべきだろう。

■47年の身柄拘束

請求額は、袴田さんが死刑執行の恐怖に長年にわたりさらさ、釈放後も拘禁症状が続いていることへの慰謝料など含まれ、再審無罪を巡る国家賠償としては過去最高額となった。逮捕から釈放まで、身柄拘束は47年にもわたったわけなので、人生の大半を拘置所で過ごした袴田さん側からすれば当然の請求だ

 事件を巡っては、地裁、高裁、最高裁、再審と長年にわたり裁判が続き、捜査機関の問題点は裁判所が判決で言及してきた。今回の国家賠償訴訟で、弁護団は、冤罪に至った原因と経緯の解明を目指している。警察と検察のみではなく、冤罪を導く判断を繰り返した裁判所の責任を初めて追及することは、弁護団にとって極めて重要となる。

■裁判所の覚悟はいかに

これまでの冤罪や誤判において、裁判所が自らを検証した実例はない。憲法に守られているのが理由だが、国民の理解は到底えられず、説明責任を果たせていない

裁判所は自らの責任にどの程度向き合う覚悟があるのか。今回の袴田さんによる国家賠償請求訴訟は、司法の今後の信頼を回復していく上でも重大な意味を持つ。袴田さんの刑事裁判において証拠評価や訴訟指揮に問題はなかったのかなど、詳細な分析を客観的に進めていく必要があるだろう。

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