政治•経済 厳しさ増す中国渡航のリスク:改正反スパイ法と不透明な日中関係の下、日本人が気を付けるべきこと
厳しさ増す中国渡航のリスク:改正反スパイ法と不透明な日中関係の下、日本人が気を付けるべきこと
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2025/10/25

 近年の日中関係は不透明さを増しており、特に2023年7月に施行された中国の「改正反スパイ法」は、中国に渡航する日本人にとって新たな、そして深刻なリスク要因となっている。この法律は、「スパイ行為」の定義や対象範囲が極めて曖昧であり、当局による恣意的な運用や邦人拘束のリスクが高まっているため、細心の注意が必要とされる。中国への旅行やビジネスでの渡航を考える際、日本人が具体的にどのような点に気を付けるべきか、重要度の高い項目を中心に解説する。

まず、最も注意すべきは「スパイ行為」と見なされかねない行動を厳に避けることである。改正反スパイ法では、「国家の安全と利益に関わる」文書、データ、資料の収集・提供などが新たにスパイ行為として対象に加わり、その範囲は大幅に拡大された。この曖昧な規定の下では、写真撮影一つ取っても予期せぬトラブルにつながる可能性がある。軍事施設はもちろんのこと、政府機関や特定のインフラ施設、治安維持に関わる場所など、撮影が禁止されている場所や、その近くで写真を撮ることは厳に慎むべきである。街中での何気ない撮影であっても、背景にそうした施設が写り込んでいただけで問題視されるリスクがあるからだ。また、業務や研究、あるいは単なる好奇心であっても、許可なく中国国内の経済、社会、地理などの統計データや資料を収集する行為は、場合によっては「国家の安全」に関わるとしてスパイ行為と見なされる可能性がある。安易な情報収集は避けるべきであるし、内容によっては「国家秘密」を盗み取ろうとしたと見なされる可能性があるため、古い地図や機密情報を含んでいそうな古本・地図の購入や持ち出しも控えた方が賢明である。

次に、電子機器の管理と情報漏洩リスクへの対策も喫緊の課題である。中国国内では、スマートフォンやパソコンなどの電子機器が検査・監視の対象となる可能性がある。機密情報や不適切なコンテンツの持ち込みは、深刻な事態を招きかねない。出張で渡航する場合、会社の機密情報や個人情報を必要最小限に留めた専用の端末を使用し、機密度の高いデータは可能な限り持ち込まないようにすべきである。クラウドサービスの利用や、帰国後にデータを消去するなどの対策も有効であろう。さらに、中国当局は通信内容を監視している可能性があることを意識し、政治や情勢上の機微な話題、中国の体制を批判するような内容をSNSやメールで発信・受信することは厳に避けるべきだ。端末内の写真や動画についても、上記の「撮影禁止場所」などが映り込んだものがないか事前に確認し、不必要なものは削除しておくことが自衛策となる。

最後に、もしもの時のための準備と心構えも怠ってはならない。万が一、中国当局に拘束されたり、トラブルに巻き込まれたりした際のために、在中国日本大使館や総領事館の緊急連絡先をすぐに確認できる場所にメモしておくべきである。もし当局に拘束された場合、安易に提示された書類にサインをせず、必ず日本大使館・総領事館の領事館員との面会を求め、指示を仰ぐ姿勢が重要となる。また、落ち着いて行動し、無用な抵抗をしないことが求められる。不透明な日中関係と厳格な法の執行の下では、「まさか自分が」という意識は禁物であり、渡航中は常に周囲の状況に気を配り、不審な行動や誘いには乗らないよう、高い警戒心を持つことが安全を確保するための鍵となる。

(ジョワキン)

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