東宝が世界で存在感を高める日本アニメを牽引している。2026年2月期第2四半期の営業収入は、前年同期比17.1%増の1916億円に達し、過去最高を更新した。全体を押し上げた最大の要因は、売上の54%を占める好調、映画事業だ 当たるか、凡打か、ヒット作に業績を左右されやすい映画業界において右肩上がりで成長し、株価は2025年8月に上場来高値を更新。時価総額は1.5兆円に迫っている。 1970年代から1990年代までの東宝は、自前で映画をつくるとしても、確実にヒットする年1本のゴジラ映画くらいといえるまでにリスクを取ってこなかった。 現在の成長の背景にあるのがエンタメのデジタル化だ。配信により、製作費用の償却等が済んだ過去のアーカイブがストック的に稼ぐことで業績が安定し、利益率も上昇した。もう一つの要因にリスクヘッジの構造がある。 アニメはテレビシリーズで反応を見てから映画化できるため見通しを立てやすい。東宝は「名探偵コナン」などの定番IPが安定収益を支えており、新作にも挑戦しやすい余裕を備えている。 映画は水商売だ。当たるかどうかはやってみなければ分からない。映画の成功には5つの要素が必要だ。①物語、②監督、③脚本、④キャスト、⑤音楽だ。この5つを広げていけば、最低でも出資額を回収することができるというコツを東宝はつかんだ。 その結果25年は、日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた「国宝」を含む東宝配給の4作品が興行収入100億円を超えた。 急速に業績を伸ばす東宝を率いるのは、創業者、小林一三の曾孫に当たる松岡宏泰氏。22年の社長就任以前は、長く海外畑を歩んできた。近年はM&Aも積極的に仕掛ける。 興行市場がコロナ前まで戻り切らない中、映画館のTOHOシネマズも「鬼滅」と「国宝」の2つのホームランンで、いい水準まで利益を戻してきている。不動産事業では、あまり多くの投資ができなかったが、それでも利益を出した。 東宝は、自社が100周年を迎えたときにどうあるべきかという10年計画、「ビジョン2032」を設定した。とほうもない挑戦だ。(梛野順三)