2025/07/04
かつて旧ソ連の衛星国家だったいわゆる「東欧」が、EU(欧州連合)派とロシア派(右派)に割れている。どちらに付くか、踏み絵になったのが、5月9日にロシアの首都モスクワで開催された第2次世界大戦のナチス・ドイツに勝利したことを祝う「対独戦勝記念祝典」だ。
ウクライナへの大規模侵攻を続ける「プーチンの戦争」の最中、ロシアとの友好を重視する中国やブラジルなど26カ国の外国首脳がモスクワを訪れ、赤の広場で実施された軍事パレードなどの記念式典に参列した。
欧州からはEU加盟国から唯一参加したスロバキア、EU加盟候補国のセルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナの3カ国首脳が参列に加わった。
スロバキアはロシア産ガスに依存しているが、ウクライナのゼレンスキー政権は、ウクライナ経由の欧州向けパイプライン輸送停止の措置を取り、スロバキアは年間5億ユーロ(約800億円)の損害を受けるとしてウクライナとの対立を深めている。
一方、セルビアとボスニア・ヘルツェゴビナは、EUがパレードへの出席を控えるよう要請したが、これを振り切りモスクワ訪問を強行した。
ちなみに旧ソ連諸国からはベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、アゼルバイジャン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの8カ国。
欧州からはギリシャ、キプロス、スロベニア、スロバキア、チェコ、セルビア、マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴビナの8カ国が参加した。
東欧諸国の中でハンガリーのオルバン首相とスロバキアのフィツオ首相は、EUに批判的であり、ロシアのプーチン大統領との友好関係を構築している。
また、ブルガリアでは極右「復活党」が躍進するなど、東欧全域で右傾化が拡散している。そしてルーマニアでは、近い将来極右政権が誕生する可能性が出てきていた。極右派「ルーマニア統一同盟」(AUR)の党首ジョージ・シミオン氏(38)が大統領選で勝利すれば、NATO(北大西洋条約機構)の東側防衛に支障が出てくることが懸念されたが、シミオン氏は敗れた。
5月18日に行われたルーマニア大統領選挙の決選投票では、第1回投票で第2位だった親欧州派の無党派候補者、ブカレスト市の二クソル・ダン市長(55)が シミオン氏を破り勝利したのだ。
親欧州派のダン氏の勝利は単にルーマニアの未来だけではなく、同国と国境を有するウクライナとNATOにとって大きな戦略的意味がある。極右派のシミオン氏は親ロシア派で、ウクライナへの武器支援には拒否姿勢を示してきた政治家だからだ。
それだけにゼレンスキー氏やEUの欧州委員会ウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長、フランスのマクロン大統領、そしてモルドバのマイア・サンドゥ大統領は、ダン氏の選挙勝利を祝った。
ところで、第1回投票ではシミオン氏が約41%、ダン氏は約21%の得票率で、シミオン氏はダン氏のほぼ倍の得票率を獲得した。2週間後の決選投票でもシメオン氏が断然有利という予測が広がっていた。
にもかかわらず、ダン氏はシミオン氏を破った。シミオン氏の得票率は第1回より約5%を加えただけで過半数には届かなった。その一方でダン氏は21%から54%と倍以上、得票率を伸ばして逆転勝利した。
決選投票の投票率は1回目より高かった。投票率の伸び分はすべて親欧州・反ロシアを掲げるダン氏に流れた。ルーマニア国民は反ロシアを選択したわけだ。
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